気候変動対策

ムラタでは、「気候変動対策の強化」を非財務の重点課題(マテリアリティ)とした事業運営に取り組んでいます。
これまで省エネに関して独自の設備投資基準を設け、積極的に省エネ設備投資を行うことで気候変動対策を進めてきました。
また温室効果ガス(GHG※1)排出量の第三者認証を取得し、情報開示も積極的に行うことにより、CDP※2 気候変動調査などの社外からも高い評価を受けています。
しかし、近年の事業拡大による増産に加え、M&Aや新規事業の展開により、温室効果ガス排出量は急速に増加しています。こうした温室効果ガス排出量の増加基調に歯止めをかけ、削減を行っていくために、担当執行役員を委員長とする気候変動対策委員会や下部組織のイニシアチブ推進部会を中心に、SBT※3の考え方に基づく温室効果ガス削減目標の設定や、TCFD※4提言に関する情報公開内容を協議しており、更なる温室効果ガス削減の取り組みを継続して推進しています。
さらに、これまでの設備投資を中心とした省エネだけでなく、自社のセンシングとIoT技術を組み合わせた新たなエネルギーマネジメントシステムを構築し、生産におけるエネルギー使用を最適化することをはじめています。
また国内で気候変動問題に対し野心的に取り組む団体である日本気候リーダーズ・パートナーシップに参画し、社外の知見を活用して自社の活動を加速させるとともに、参加企業との協働により世界の気候変動対策に寄与する事業の立ち上げも検討していきます。
※1 Greenhouse gas。温室効果をもたらすガスの総称
※2 Carbon Disclosure Project。企業や都市などの環境への取り組みを調査・評価し、開示する国際NGO(非政府団体)
※3 Science Based Targets。温室効果ガス削減の長期シナリオに対し、定量的に準拠した科学的な目標
※4 Task Force on Climate-related Financial Disclosures。気候変動のリスクと機会について情報公開を行う企業を支援する組織
温室効果ガス総排出量の算出方法について

グローバルな算出基準であるGHGプロトコルに従い、以下のScope (範囲) で算出しています。

Scope1: 事業者が所有又は管理する排出源から発生する温室効果ガスの直接排出
Scope2※5: 電気、蒸気、熱の使用にともなう温室効果ガスの間接排出
Scope3: Scope2を除くその他の間接排出(従業員の出張や、製品の輸送、配送など)

※5 2015年度より新しいガイダンスが発行され、ロケーション手法によって各国のCO2換算係数を使用し算出しています
(参考Link:ESGデータ集 スコープ3 )
(参考Link:GHGプロトコル ウェブサイト )

気候変動対策の強化

代表取締役を委員長、執行役員を委員とするCSR統括委員会の下部組織として位置づけられる気候変動対策委員会は、生産工場、事業部門、開発部門、スタッフの責任者で構成され、全社的体制で気候変動対策である省エネ・再生可能エネルギーの推進に取り組んでいます。
これまでの具体的な活動としては、省エネ施策の全社への水平展開活動や生産設備へのヒートポンプ導入等を行っており、全体的な省エネに関する投資判断基準を見直し、省エネの取り組みを強力に推進しています。並行して太陽光発電システムの導入や再エネ証書の購入も積極的に行っており、再エネの普及にも貢献しております。
また2020年度より気候変動対策委員会の下部組織として「イニシアチブ推進部会」を新たに設置しました。具体的には、SBT認証取得に向けたCO2算定範囲や算定方法の確立や、TCFD提言に沿った開示情報の内容の協議を進めていく予定です。

温室効果ガス総排出量削減

2019年度は省エネや再エネの拡大やエネルギー使用の合理化により、約1万t-CO2を削減することができました。
一方で2017年度に実施したM&Aによる新規事業所の編入などの要因から、2019年度の温室効果ガス総排出量 は昨年度同様、約162万t-CO2となり、SBTに基づく2021年までに達成すべき目標値の140万t-CO2を上回る結果となりました。
この結果をふまえ、M&Aによる新規事業所も含めて全社としてSBTに沿った目標を達成できるよう、省エネだけでなく、再生可能エネルギーの導入やカーボンプライシングの導入などさまざまな施策を検討し、実施を加速していきます。

GHG総排出量の推移 ※第三者検証受審中

またムラタは電子情報技術産業協会(JEITA)に所属しています。JEITAを含めた電機・電子4団体では、2020年に向けて経団連が策定した低炭素社会実行計画に参加し、生産プロセスのエネルギー効率を年平均1%改善することを目標としています。この目標達成のため、ムラタも工場やオフィスの省エネ施策実施等を通じてエネルギー効率改善に取り組んでいます。

国内工場における原単位改善率の推移

地域別GHG排出割合 ※第三者検証受審中

2019年度におけるSCOPE1およびSCOPE2の排出量内訳(CO2換算)

Scope 温室効果ガス種類 排出実績
[ton-CO2e]
Scope1 CO2 177,565
CH4 0
N2O 0
HFCs 1,920
PFCs 134,853
SF6 0
その他 0
Scope2 CO2 (電力起因) 1,302,133
排出係数はIPCC 4th Assessment Report AR4 100yearを用いて算出
温室効果ガス排出量の第三者検証について

気候変動への取り組みが企業に求められる中、ムラタでは第三者による認証済みの確かなデータで温室効果ガス排出量を管理し、信頼性の高いデータを開示することが第一歩であると考え、温室効果ガス排出量について第三者認証を毎年取得しています。また、ムラタでは太陽光発電の導入にも積極的に取り組んでいることから、太陽光発電量についても認証を取得しています。

Link: 第三者保証報告書

PFCの削減

PFCは地球温暖化の原因となる化学物質であり、京都議定書の削減対象物質です。所属する電子情報技術産業協会(JEITA)の自主行動計画に賛同し、ムラタでは『2020年時点で、液体PFCをCO2換算で2002年度比65%減』という目標を設定して取り組みを推進してきました。2015年以降、液体PFC投入量の多い事業所に順次再生回収装置を導入しており、2019年度は2002年度比76%減と目標を達成しています。

液体PFC投入量と削減率の推移 (国内)

物流における環境負荷低減

ムラタでは、製造段階だけでなく、製品を輸送する物流段階においても環境負荷削減に取り組んでいます。
輸送の効率化でCO2を削減するとともに、3Rを推進することで環境配慮型の物流を進めています。

国内物流CO2と海外物流CO2の実績把握

2015年度までは第5次環境行動計画に沿って毎年目標を設定して物流のCO2排出量削減に取り組んできました。その結果、国内物流CO2排出量について一定の成果 (2007年度比実質生産高原単位で70%以上削減) を挙げてきました。
これを受け、2016年度以降の第6次環境行動計画では、物流CO2の削減の次の目標を設定するのではなく、通常業務として定着させるステップに移行しました。
引き続き、日常のモニタリングによって、環境に配慮した物流管理業務を継続していきます。
  • 2019年度の国内物流におけるCO2排出量は402t/月で、実質生産高原単位2007年度比71%でした。
  • ムラタの全世界における物流CO2排出量は約14,412t/月でした。

物流時のCO2排出量の推移

エネルギー消費量の削減

省エネルギーを実現する電子部品製造装置を開発

ムラタではエネルギー使用効率の高い電子部品製造装置を開発しています。製造装置の省エネ指標は、単位製造製品数あたりの消費エネルギー (数量原単位) で表し、ベンチマーク機 (従来設備) 比▲25%以上削減を目標値として、省エネ型の製造装置を新規に開発しています。
工場で稼働している既存の製造設備においても省エネ改善を進めており、2019年度も引き続き、これまでに蓄積してきた約70の生産設備の省エネ施策の水平展開に取り組んできました。
主な省エネ施策としては (1) 冷凍機設備などの高効率機器への更新、(2) 廃熱回収機の導入、(3) 設備待機電力の低減、(4) クリーンルームの加圧最適化による空調動力低減など、温室効果ガス削減効果の大きい施策を中心に改善を進めてきました。
また生産設備の設計技術者の2年目を対象とした省エネ設計研修会を毎年開催し、生産設備の省エネ設計のノウハウを教育しています。
2020年度は新たな省エネ技術の導入検討や、新しい取り組みとしてムラタで開発したセンサーと無線システムを組み合わせたエネルギー計測システムを構築して、省エネや生産性向上を図っていきます。

開発設備の省エネルギー性

エネルギー消費量の推移

組織力を発揮した省エネ活動

ムラタでは自社技術を活用した、事業におけるエネルギーの見える化に積極的に取り組み、省エネ施策の立案・実行を効果的に行える体制の構築を進めています。具体的にはムラタが開発した無線センサーを使用して工場内の温度や湿度、各種設備の電流値等のデータを収集し、ネット上で共有しながら工場や本社でともにエネルギー使用状況の分析を可能にするエネルギーマネジメントシステムの導入を推進しています。またこの仕組みはグッドデザイン賞、平成29年度省エネ大賞で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。これまでに小諸村田製作所では、このエネルギーマネジメントシステムを活用したエネルギーの見える化によって空調最適化、設備の待機電力低減などを実施し、工場全体の温室効果ガス排出量の2.2%削減を実現しました。ムラタは、今後もグローバルに活動拠点を持つグループ全体に対してエネルギーマネジメントシステムのような先進的な省エネ施策を導入できるよう継続して努力していきます。

再生可能エネルギーの導入

ムラタでは「気候変動対策の強化」の取り組みのひとつとして、事業活動にともなう消費電力における再生可能エネルギー量の拡大に取り組んでいます。グローバル企業として、国内だけではなく中国などの海外でも積極的に太陽光発電の導入を進めてきました。2019年度は、太陽光発電設備による発電など再生可能エネルギー由来の電力が約3,500万kWhとなり、約2万t-CO2の温室効果ガス抑制への貢献量となりました。継続して国内外で再生可能エネルギーの導入を検討し、環境負荷低減に貢献してまいります。
2019年度の具体的な再生可能エネルギー導入の取り組みのひとつとして株式会社岡山村田製作所(岡山県瀬戸内市)が所有する1,200台分の社有駐車場を活用し、日本最大級となる駐車場型メガソーラーシステムを導入し、2020年3月に発電を開始しました。本システムには一般的な表面発電パネルではなく、裏面でも受光可能な両面発電パネルを採用しているため、表面への直射日光だけでなく、駐車車両や地面から受ける反射光による発電も可能であり、設置面積当たりの発電効率を向上させています。本システムによる発電能力は年間で一般家庭600世帯相当、削減できるCO2は1,698tを見込んでおります。また、2021年度中には、さらに駐車場500台分の両面発電パネルの追加設置を予定しております。