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佐藤工業、戸田建設、村田製作所、再生可能エネルギーの地産地消実証実験を福島県の補助事業で実施 -建設現場でのCO2削減に向けての蓄電池システムの活用-

2020/04/28

株式会社村田製作所
代表取締役会長兼社長 村田 恒夫 

佐藤工業株式会社(本社:福島県福島市、代表取締役社長:八巻 恵一、以下、「佐藤工業」)、戸田建設株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:今井 雅則、以下「戸田建設」)、株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役会長兼社長:村田 恒夫、以下「村田製作所」)は福島県における再生可能エネルギーの導入促進のための支援事業補助金を活用し、3社共同で建設現場における再エネ活用と移設容易な創蓄システムの実証研究(以下、「本実証実験」)を実施しています。

補助金事業は最長2年間の実証研究であり、初年度は2019 年10 月に採択を受け、2020 年2月に完了しました。現在は2020 年度に継続事業として採択を受け、今後1年間かけてビジネススキームの構築を目指し実証実験を進める予定です。この実証実験を通じて、建設現場における蓄電池システムを活用したCO2排出量の削減を検証します。

本実証実験では、福島県で事業を行う佐藤工業・戸田建設の建設現場に、戸田建設の太陽光発電システムの設置ノウハウを活用し、村田製作所の高い安全性を有した“FORTELION”※1(福島県郡山市の東北村田製作所で生産)を搭載した「All-in-One蓄電池システム」を設置することで、建設現場での再生可能エネルギー利用の有効性を検証しています。さらに、専用のソフトウェアを開発することで長い河川、道路や山間部などの点在する施工現場で蓄えたエネルギーを一括管理するシステムも合わせて検証しています。


実証実験は2019年10月より以下の3箇所で順次実施し、使用した電力の内再生可能エネルギーの占める割合が最大で55%※2であったことを確認し、建設現場での再生可能エネルギー利用の有効性を実証することができました。

2019年度に実証実験を行った箇所
・佐藤工業施工 ミライアル株式会社 東北事業所新築工事現場事務所(福島県福島市)
・戸田・佐藤・東信JV※3施工 福島市一般廃棄物新最終処分場建設工事現場事務所(福島県福島市)
・佐藤工業 伊達支店(福島県伊達市)

 

     

   写真1 太陽光パネル設置状況                写真2 All-in-One蓄電池システム設置状況

※1 “FORTELION”は株式会社村田製作所の商標です
※2  月当たりに太陽光発電システムで発電した電力の全てを、各設置場所で消費した数値
※3  戸田建設、佐藤工業、東信建設の共同企業体の略称

 

本実証実験の特徴

 

1.移設容易な蓄電池システム

独立した電源供給が可能なことから、施工エリアの長い河川や道路工事または山間部など受電が容易でない場所に点在している工事現場でも再生可能エネルギーを活用できます。また、異なる屋根形状(折板葺き屋根と縦ハゼ葺き屋根)でも設置可能で移設容易な太陽光パネルの架台を提案し、今後も多様な屋根への対応を検証します。

 

 

        折板葺き屋根設置状況写真                          縦ハゼ葺き屋根設置状況写真

 

図1 異なる屋根形状に設置可能な架台 

 

 

 

写真3 All-in-One 蓄電池システム

 

2.長寿命で安全性の高い電池を活用した高効率な「All-in-One 蓄電池システム」の導入

All-in One 蓄電池システムには、正極材にオリビン型リン酸鉄リチウムを採用した長寿命で安全性の高い村田製作所独自のリチウムイオン二次電池“FORTELION”(フォルテリオン)を使用しており、大きな衝撃や圧力が加わった場合などでも発火しにくく、高負荷がかかった際も電池の機能を安定的に発揮できます。なお、パワーコンディショナーと蓄電池が一体型のため設置が容易で、太陽光発電と蓄電池を同時に使用できることから安定した電源供給が可能となります。

All-in-one 蓄電池システムの詳細についてはこちら

“FORTELION”の詳細についてはこちら

 

 

3.多拠点一括管理システムの構築

各実証実験拠点に設置した専用リモコンからクラウド経由でデータを集約するシステムを構築し、遠隔から各拠点での発電量、充放電量(蓄電状態)、系統電力の情報を監視できるようにしました。大規模な監視システムを構築することなく多拠点の状況を把握することができるため、建設現場の移設時に専用リモコンをクラウドに接続するだけで、多拠点での稼働状況を確認できるようになります。

 

 

 

図2 多拠点一括管理画面


2020 年度も再生可能エネルギーの利用拡大に向け、蓄電池システム増設、取得データの分析により最適稼働制御機能の追加を行い、福島県内さらには、全国の建設現場への展開に向けて実証実験のエリアを拡大し、建設現場における再生可能エネルギーの利用拡大に貢献していきます。

 

本実証実験での成果報告(初年度2019 年の研究結果)

本システムの導入による1 日の代表的な電力推移を添付図に示す。実際のデータは10 秒ごとにモニタリングしているが、わかりやすくするために1 時間分を積算している。
水色が太陽光パネルによる発電量、オレンジ色がバッテリーの充放電量、緑色が実証実験場所の消費電力を示している。バッテリーの曲線がプラス(上)側が放電、マイナス(下)側が充電を表している。
日照時間外でも稼働する建設現場の事務棟の電力消費に対して、昼間の太陽光パネルでの発電を系統電力線に逆潮流することなく現場で使い切っている(9:00~11:00)。また、太陽光発電の余剰電力はバッテリーに充電し(11:00~13:00)、午後(13:00~15:00)に放電することで、再エネ利用率を向上させている。一般事務所の用途で使用される場合、太陽光で発電したエネルギーを余らせるケースが多いが、建設現場では蓄電池の併設もあり、ほぼ自家消費利用が可能であった。

場所:ミライアル株式会社 東北事業所新築工事現場事務所 (福島県福島市)
日付:2019 年11 月9 日

 


表1 代表的な電力推移

 

 

 


ムラタについて

村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。

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