地域に生きるムラタ

Murata's Sales and Marketing Center in this World-Famous Megalopolis Enhances its Commitment to Developing Scientific Human Resources and Creating New Energy Business

東京支社[東京都渋谷区]

21世紀に入った頃、IT産業の集まる街として「ビットバレー」と呼ばれた渋谷。

東京の情報発信拠点として、最近では流行のファッションや「渋谷語」発祥の地として存在感を高める。

ムラタは1999年に東京支社を竣工した。

京都らしさを追求したオフィスビル、首都圏の拠点を集約、東日本での存在感を高める

東京支社のビルが竣工したのが1999年。ムラタが手がけた初めてのオフィスビルで、格子状の外観や窯業系素材を利用した壁面、木のぬくもりを感じさせる1階エントランスなど、京都の企業らしさを追求。また、二重ガラスを採用し日射と騒音を軽減、雨水を利用して植栽への散水と非常用水を確保するなどの特長も併せ持つ。

Shibuya's map

東京支社の設置にともない、首都圏に点在していた拠点を統合、営業機能の強化が図られた。現在は営業本部が置かれ、国内外の販売・マーケティングの中枢として、情報収集と新製品開発につなげるための情報発信を行う。得意先をはじめとする外部との連携の中核拠点であり、さらには東日本の大学・研究機関との共同研究や共同開発、人材確保のための拠点という役割も担っている。

特に人材確保の面では、東京支社ができたことで全国的な知名度が上がり、東日本の大学などからの応募者増に貢献している。

ものづくりの大切さ、理科の楽しさ、全国へと広がった電子工作教室

地域・社会貢献活動の一環として、2007年10月から「電子工作教室」を行っている。小学校高学年を対象に、ものづくりの大切さや理科の楽しさを伝え、電子部品の存在を知ってもらい、次世代の理工系人材を育てようという取り組みである。2009年8月からはオリジナル教材を用いて年2回、夏季と冬季に定期開催するようになり、すでに6回開催。平均24組が参加し、のべ150名以上が参加した。

募集は子ども向けの科学雑誌とムラタのウェブサイトなどで行われ、通常は1.5倍から2.5倍の競争率で抽選となる。作るのは、「ブルブル星人&トントンリモコン」というムラタのエンジニアが中心となって開発した電子工作教室専用のキット。子どもたちは、工具の使い方を教わり、はんだ付けをして完成させる。最初は恐る恐るはんだごてを持ち、ドライバやラジオペンチを使っていた子どもたちも、1時間半の工作時間を経て見違えるほど上達する。完成したらテスト走行を行う。

リモコンをたたくと本体に赤外線で信号が送られて走り出し、子どもたちの歓声が上がる。一緒に参加した保護者からは「普段は教えられない部品やはんだ付けのことを教えてもらった」「家でも親子でやってみたい」など評判は上々。東京支社内から、講師1名と不具合が発生したときに対応できるドクターと呼ばれる理工系のスタッフ、当日の指導スタッフなど、合わせて10名程度をボランティアで募って開催する。最近では、同様の取り組みを渋谷区の教育委員会とも連携して行うようになった。

「こども科学センター・ハチラボ」で開催したもので、電話による先着申し込みは、わずか1時間で満席に。この東京支社発祥の電子工作教室はマニュアル化され、横浜や京都、八日市、小松など、全国のムラタの拠点へと広がりを見せ始め、各地の地域貢献に役立てられている。

電子工作教室

主に小学校高学年が対象で、ドライバやニッパ、はんだごてを使って電子工作キットを組み立てる。

取組みは東京支社で2007年から始まり、当初は市販教材を用いて開催していたが、2009年には横浜事業所が中心となってオリジナル工作キット「ブルブル星人&トントンリモコン」を開発。

部品にはセンサやコンデンサ、ダイオード、トランンジスタ、モーターなどが使用されており、1~2時間で組み立てられる。

ボタンのない「トントンリモコン」の側面をたたいて赤外線センサを起動させ、ロボットを動かす。

Vibrating Alien & Tap-tap Remote Controller

ブルブル星人&トントンリモコン

エネルギーロスをなくすタスクアンドアンビエント、市場軸をベースにした新たな事業展開

ムラタが掲げる3つの成長分野、「環境・エネルギー」「ヘルスケア」「自動車」。その1つ、環境・エネルギー分野に関するある試みが東京支社で始まった。「タスクアンドアンビエント」といわれる照明環境の構築だ。

これは空間全体の照明と机上の照明を組み合わせるもので、仕事で必要な場所に照明を与え、周辺環境の照明の明るさを抑えて、省エネにつなげようというもの。北欧などを中心に導入されていたが、天井からの照明で机上の明るさを確保する均一照明が多い日本のオフィスでは、長らく実践されなかった。今回、ムラタは自前の技術を駆使して、すべて自動で稼働するシステムを完成させた。人のいる場所をセンサで感知し、外の明るさなども考慮して照明を自動制御。余分なエネルギーを抑えるために、得意とするセンサネットワークで得た情報をもとに、電源を自動でコントロールして最適な照明空間を作り出す。東京支社では、7階の359m2を改装し、71個のタスク照明を設け、30個のアンビエント照明とともにセンサネットワークを構築した。

費用はおよそ6年で回収が可能で、10年間で見込まれるコストダウン効果はおよそ150万円。さらに、すべて長寿命のLEDのため照明器具交換の手間が大きく省ける。東京支社では、このタスクアンドアンビエント照明をベースに、環境・エネルギー分野の営業展開を強化したいと考えている。

従来と異なるのは、センサやネットワーク、電源、プログラムなど、ムラタの持てる技術を横展開し、製品軸でも技術軸でもない、「市場軸」ともいうべき新しい機軸で商品構成をしたことだ。いわば営業主導だからこそ作り上げられたシステムだともいえる。今後は、住宅関連メーカーに照明を納入するメーカーやシステムインテグレーターを対象に、積極的な営業展開を図っていく。

海外との窓口も兼ね備える東京支社 グローバルな販売・マーケティング拠点

東京支社は、東日本の拠点であると同時に、海外からの窓口でもある。海外の売上比率が約85%を占めるムラタにとって、海外現地法人は販売の最前線であり、世界都市・東京に位置し、営業本部を持つ東京支社は、製品の安定供給を支える重要な拠点。海外からの来客の窓口、本社との接点にもなっている。グローバルな販売やマーケティング拠点として、東京支社の存在には絶大なものがある。

東京の中枢地区「東京都渋谷区」

東京における都心5区の一つに数えられ、ターミナル駅である渋谷駅を中心とした地区は副都心の一つにもなっている。
原宿・表参道はファッションの中心として知られ、代官山周辺や恵比寿などには商業施設やファッション関連の産業が集積し、日本の情報発信拠点にもなっている。

世界都市TOKYO

「世界都市」とは、数ある大都市の中でも世界の中枢的業務が過度に集中している都市と定義されている。
多くの調査で高く評価されている世界都市は東京であり、ニューヨーク・ロンドン・パリを含めて「4大世界都市」と位置づけられている。
東京を含む東京圏のGDP (国内総生産) は世界一であり、2025年まで1位をキープするという予測もある (世界の都市GDPランキング、PWCC調査) 。

World City Tokyo

パサージュガーデン渋谷

未来志向企業の集結を目指し、渋谷の新しいビジネス拠点として計画された再開発地域。
日本国有鉄道清算事業団の渋谷駅付近の土地を建物提案方式で入札にしたもので、全体計画をレールシティ西開発株式会社と株式会社日本設計が担当した。
進出企業は渋谷駅南地区のポテンシャルを最大限生かすことのできる、21世紀にふさわしい実力を持つ安定した企業ばかり。ムラタを含む7社が落札し、統一感のある都市景観の整備によって、質の高いビジネス環境を作り出している。

こども科学センター・ハチラボ

科学実験やクラブ活動など、学校の授業では体験できない科学・技術・数学のプログラムを大学や研究機関、企業と連携して提供しようという施設。
区立小中学校への支援の一環として、子どもたちの科学的思考やものづくりへの意欲を育てようと渋谷区が設立した。
東京支社も主旨に賛同し、教育委員会と協力して電子工作教室を行っている。

Science Center for Children Hachilabo

タスクアンドアンビエント

室内空間の中の、人と装置の関係を示す一つの概念。
照明では、タスク (task) はデスクライトを指し、アンビエント (ambient) は全体を照らす照明を指す。
日本では、照明はアンビエントが主流で、人がいなくても稼働させるので、エネルギーロスが大きかった。そこで、タスクを併用することによって必要なところだけに照明を当て、省エネ化を図る。
ムラタはセンサ、通信、電源などの技術を組み合わせて自動化し、戸田建設株式会社・山田照明株式会社と協働して必要最小限のエネルギーで稼働する照明システムを構築した。

Task and Ambient