プロフィール
1990年入社。研究開発、コンデンサ工場 (日本・北米) 、北米コンデンサマーケティングおよびキャパシタ新規事業部門に5~6年間ずつ勤め、2012年3月より現職。将来の技術戦略を構築しながら、ムラタのエネルギー事業の立ち上げも担っている。
趣味は散歩、料理と異文化を理解すること。
創業以来主に手がけてきたセラミックとは異なる素材を使ったコンデンサ。
いわゆる非セラミック系のコンデンサが、2010年10月に登場。
今後、非セラミックは、新たな事業領域として成長していくことになる。
これも、ムラタの環境・エネルギー分野への挑戦の一つだ。
非セラミックのコンデンサ開発エネルギー分野への進出
セラミック系のコンデンサ開発を担当してきた。およそ5年前からカーボンを使った研究を始め、2010年10月に製品化し発表した。蓄電効率が高く、電子機器の中でバッテリーのような役割を担うことができる電気二重層型のコンデンサで、注目されるエネルギー分野への拡大を考えている。すでにデジタルカメラ、デジタルビデオ、ハイブリッド車などのパワーエレクトロニクス関係に採用されており、車両関係や夜間電力の蓄電などへの展開を模索している。
今のセラミックコンデンサの役割は、蓄電というより電気の整理であり、容量よりも機能が求められている。それに対して、電気二重層コンデンサは、エネルギー密度が高く小型化しやすいため、容量が多くとれる。電気自動車 (EV) などの回生エネルギーを蓄えるのにも使える。
企業間のアライアンスが、これからの成長を支える
エネルギー事業を展開するに当たり、社内の力だけでは不足だと考えている。社内外を問わず、幅広い技術提携が必要。私はこれからの企業は、アライアンス (提携) で伸びていくと思う。最近はM&A (企業の合併・買収) も盛んに行われているが、買収の多くは買う側の企業文化に飲みこんでしまう。お互いが伸びるためには、相手を尊重することが重要で、そのためには提携が適している。エネルギー分野についても、世界的な視野で提携していける企業を探していく。
今回の新製品、電気二重層コンデンサも、オーストラリアの企業との提携から生まれた。2008年に提携したCAP-XX社は、活性炭の技術を持つベンチャー企業。その技術を生かした電気二重層コンデンサは、化学反応を利用せずに、活性炭表面へのイオンの物理吸着のみでエネルギーの蓄積を行う。これにより、一般的な二次電池に比べて充放電が半永久的に繰り返し行えるという特長を持ち、急速な充放電にも対応している。導電性高分子アルミ電解コンデンサは、昭和電工株式会社から譲渡を受けたポリマーを素材とする機能性高分子コンデンサ事業が技術的なベースとなっている。
環境・エネルギー
ムラタは、今後の成長市場として「環境・エネルギー」「自動車」「ヘルスケア」を挙げ、この3分野への注力を表明している。
3分野で2013年3月期までに売上高400億円の目標を掲げ、このうち半分を環境・エネルギー分野が占めると予想している。
この分野では、まず電気二重層コンデンサの量産化を立ち上げ、さらには昭和電工株式会社から事業譲受した、ポリマーを素材とする機能性高分子コンデンサ事業の技術をベースに、新製品の開発を急いでいる。
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