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電界結合方式ワイヤレス電力伝送システム

Development of Capacitive Coupling Wireless Power Transmission System

ムラタは10Wの電力を伝送可能な電界結合方式ワイヤレス電力伝送モジュール (送電モジュールと受電モジュールのセット) を量産化しました。送電モジュールを充電台に、受電モジュールを機器側に組み込むことで、モバイル機器等電子機器のワイヤレス充電を実現できます。

電界結合方式ワイヤレス電力伝送システムは、送電側のアクティブ電極、パッシブ電極、および受電側のアクティブ電極、パッシブ電極で構成される2組の非対称電気ダイポールを垂直方向に配置しています。これら2組の非対称電気ダイポールの結合で発生する誘導電界を利用して電力を伝送します。この構成により、位置自由度が高く、かつ高効率なワイヤレス電力伝送特性を実現できます。

送電側は送電モジュールと送電電極、受電側は受電電極と受電モジュールで構成されています。送電モジュールは当社の電源回路設計技術を駆使したインバータと安全性を確保するための制御回路で構成しています。

Mass-produced module LXWS series (10W output type)

量産化されたモジュール LXWSシリーズ
(10W出力タイプ)

送電モジュールで交流に変換された電力は、送電電極と受電電極で構成されたキャパシタを通して受電側に伝送されます。受電モジュールは整流回路と電圧変換回路で構成されており、バッテリーや機器に安定した直流電力を供給します。

当方式の特長は下記の3点です。

  • 高効率充電エリアが広い
    とくに水平方向の位置自由度が高いため、機器を充電台のどこに置いても充電できるシステムを実現できます。
  • 機器に組み込みやすい
    送電電極、受電電極には数µm以下の非常に薄い電極を使用できるため、機器のデザインを損なわずにワイヤレス充電機能を実現できます。
  • ワイヤレス電力伝送部の発熱がない
    電極部に流れる電流が数mA程度であるため、電流値と抵抗値で決まるジュール熱がほとんど発生しません。そのため、ワイヤレス電力伝送部の温度上昇がなく、バッテリーの近くに配置してもバッテリーへのダメージを与えない安全なシステムを実現できます。

2011年秋にiPad2のアクセサリ用で初の量産を開始しました。また、CEATEC JAPAN 2011、CES2012で、上記の特長を活かしたさまざまなデモを行い大きな反響を得ました。今後はスマートフォン、携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ、タブレット端末、ノートパソコン、玩具、照明、住宅設備など、さまざまな機器での実用化に向けて開発を進めていきます。

ムラタ 電界結合方式の原理

電界結合方式とは?

静電誘導の作用を利用し電力を伝送する方式

ムラタの方式

2組の非対称電気ダイポールを垂直方向に配置

Principle of Murata's capacitive coupling method

CEATEC JAPAN 2011ムラタブースでのデモ機展示状況

CEATEC JAPAN 2011 The demonstration unit displayed at Murata booth

将来イメージ

Recharge wirelessly in the office

オフィスでもワイヤレス

Recharge wirelessly in your room

部屋でもワイヤレス