巻頭言

プロフィール

1951年京都府に生まれる。1974年同志社大学経済学部卒業、株式会社村田製作所入社。
1988年Murata Europe Management GmbH ゲシェフツフューラー。
1989年村田製作所取締役、常務取締役、専務取締役、副社長を経て、2007年代表取締役社長に就任。
趣味は、蘭の栽培、写真撮影。


1980年代の電子機器のデジタル化の幕開けに始まり、21世紀に入ってからは携帯電話やスマートフォンに代表される無線通信機をはじめ、パソコンや薄型テレビなどあらゆるデジタル電子機器が世界的に普及しています。近年、機器設計や製造プロセスの高効率化やコモディティー化が進み、先進国だけに留まらず新興国でもこれら電子機器が急速に浸透しています。さらにはインターネットや無線通信網の拡大が機器同士のネットワーク化をいっそう促進し、ここで得られる情報を集め、整理し、これらをうまく活用することで、多くの生活シーンで便利・安心・豊かな社会が形成されようとしています。

このように生活の中に広く溶け込んでいく電子機器ですが、本号ではその内部を構成する欠かすことのできない部品「タイミングデバイス」にスポットを当ててみたいと思います。「タイミングデバイス」は、圧電体であるセラミックスや水晶の結晶に電圧を加えることで特定周波数を正確に刻み続け、主に通信器の局部発振やデジタル処理回路の信号源として使われる重要な部品です。決して目立つ部品ではありませんが、スマートフォンを代表とする通信機器をはじめ民生機器や車載・産業機器に至るまで、あらゆる機器に組み込まれています。この部品がすべての電子機器動作のきっかけをつくりだしているという点では、まさに機器の中の陰の立役者と言えるでしょう。

これまでムラタは「圧電セラミックス」を応用したセラミック発振子「セラロック®」を製品化し、車載用途を中心に広く市場に受け入れられてきました。そして2013年には、かねてより良好な関係を築いてきた水晶デバイス専門企業である東京電波(株)を完全子会社化するに至り、双方で培った技術の融合により小型・高精度なタイミングデバイスをお届けできるまでになってまいりました。

ムラタは昨年創業70周年を迎えましたが、さらに100周年に向けさまざまなことに果敢にチャレンジしてまいります。革新的な製品を生み出し続けることでお客様とともに明るい未来に向け社会貢献してまいります。本誌を通じて、そんなメッセージがお届けできれば幸いです。