ムラタの人材

ムラタでは、経営資本を”社是の実践を通じて培ってきた価値創造の源泉”と位置付けており、なかでも「人材」は価値創造の中核であると考えています。"Innovator in Electronics"として持続的な価値創造を実現していくために、従業員のやりがいと成長を組織力の強化に結びつけ、人的資本の強化を図ってまいります。

人材の獲得と育成

変化する事業環境に対応するための「人材の獲得と育成」

ムラタの変化対応

ビジネスモデルの多様化や、デジタル化の進展、国際社会の仕組みの変化など、今後も事業環境の変化は急速に進んでいきます。また、コロナ禍をきっかけとしたライフスタイルや働き方の大幅な変化や、M&Aおよび積極的な採用活動による従業員数拡大など、会社内の環境変化も続くとともに、ムラタに対するステークホルダーからの期待もさらに高まっています。
こうした変化に対応するため、変化は常に起きることを前提に、ムラタの将来を自分事として捉え、明確なビジョンを描き、行動に移し、社内外のネットワークを強化しながら共創によるイノベーション創出ができる人材の育成を目指します。

ムラタの獲得と育成

ムラタでは社是に共感し、従業員に求める「自ら考え、自ら行動する」「周囲を巻き込みチームワークを大切にした仕事の仕方をする」「高い目標にチャレンジする」「こだわりを持って、最後までやり遂げる」「スピードを大切にする」の要素を持つ人を採用しています。人によっていずれの要素に強みを持っているかは違うため、それが多様性に繋がると考えています。
また、ムラタでは、人材育成を最重要経営課題として位置づけ、継続的に取り組んでいます。その柱となる考え方として、『個人の「育つ力」、上司・職場の「育てる力」、会社の「育む力」の3つの力を高めていくことで、育ち・育てあう風土を実現する。』という「人材育成基本方針」を制定しており、浸透を図っています。一人ひとりの強み・持ち味を活かし、育み、能力を最大限に発揮できるようになるための教育や業務機会を従業員に提供、各種の育成プログラムやキャリア形成支援を行っています。

「人材の獲得と育成」のためのアクション

アクション なぜこのアクションか? 成果指標
  • 1.人材の惹きつけと獲得
ムラタは、“会社は人そのものであり、「人」こそが価値創造の中核に位置している。”と考えています。
  • ムラタのビジョンや大切な価値観の積極的な発信
  • 社是を理解・共感・実践し、お客様と社会の課題解決できる人材を求める
  • Vision2030の実現に向けた材の積極的な獲得
  • 採用数(計画充足率)
  • 3年以内退職率
  • 2.人材育成
ムラタは、ムラタにおける様々な経験や教育の機会が従業員の成長を促し、会社の持続的な成長の基盤になると考えています。
  • 長期のキャリア形成が前提
  • 複線型の処遇制度を整備
  • ローテーション実施、専門性の能力開発、マネジメント能力育成
  • 従業員一人ひとりの能力や専門性に応じた公正な機会を提供
  • 育ち・育てあう風土の実現
  • 教育投資費
  • 3.次世代幹部候補の継続的な育成
ムラタは、Vision2030のありたい姿の実現や、社会に持続的に価値提供していくために、次世代リーダーの継続的な育成を会社の重要なミッションのひとつだと考えています。
  • 将来の経営幹部候補に対する育成を継続実施
  • 管理職層に向けた選抜教育プログラム(MLP)
  • 自己を深く認識し自己変革を促す内容
  • 直属の上司に加え、複数の役員が本人に直接アドバイスを行う
  • 管理職未満層には長中期計画と連動させた育成プログラムを開始
  • 選抜研修受講者のうちの上級管理職昇格率
  • サクセションポジション充足率
  • 4.DX人材の獲得と育成
ムラタの価値創造プロセスのデジタル化によって、ムラタの強みである「現場変革」は、「個別最適型」から、全体性と進歩性を持つ「自律分散型」に昇華し、社是の実践と変革を起こし続ける企業風土の醸成につながると考えています。
  • バリューチェーン、業務・プロセス・システムの再構築
  • DXの人材獲得・育成(制度・採用・育成開発)
  • データマネジメント・連携・利活用の促進
  • デジタルを活用したモノづくり領域の変革
  • DX人材採用計画充足率
  • DX研修受講者数

1.人材の惹きつけと獲得

ムラタは、“会社は人そのものであり、「人」こそが価値創造の中核に位置している。”と考えています。

そのために、社会との親密な関係を保ち、ムラタのビジョンや大切な価値観を積極的に発信し、絶えず社是を理解、共感、実践し、お客様と社会の課題解決できる人材を求めます。また、Vision2030の実現に向けた経営変革の推進やポートフォリオ経営に不可欠な強みを持つ人材の積極的な獲得にも注力します。

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
採用人数(新卒・経験者) 757 585 517 461 617
計画採用充足率(新卒) 105.9% 99.5% 101.5% 98.7% 100.6%
3年以内退職率(新卒) 2.9% 4.2% 8.5% 2.3% 1.5%
3年以内退職率(経験者) 8.0% 6.7% 6.8% 3.2% 0.7%
  • ※対象範囲:連結(国内)/管理職・総合職
  • ※一部定義を見直し、2018年度以降の実績値を更新しました。

採用に関するデータ

2.人材育成

ムラタは、ムラタにおける様々な経験や教育の機会が従業員の成長を促し、会社の持続的な成長の基盤になると考えています。

ムラタでは、長期のキャリア形成を前提とした、複線型の処遇制度を整備し、会社のニーズと個人のキャリアプランをすり合わせながら、成長を目的としたローテーション、技術開発やモノづくりのための専門性の能力開発、そして、個人の力を組織の力に変えるためのマネジメント能力の育成を実施することで、人的資本をより強固なものにしてきました。今後も個人と組織の力を高め続け、持続的な価値創造につなげていきます。

また、従業員一人ひとりの能力や専門性に応じた公正な機会が提供される状態を目指し、個人の「育つ力」、上司・職場の「育てる力」、会社の「育む力」
の3つの力を高めていくことで、育ち・育てあう風土を実現していきます。

  • 個人の育つ力:すべての従業員の自律的な成長意欲
  • 上司・職場の育てる力:育成への意識、マネジメント力
  • 会社の育む力:上記2つの力を高める支援(場や機会の提供)

※会社の「育む力」とは、個人の「育つ力」と、上司・職場の「育てる力」の双方を高める支援をすることを指します。
たとえば、個人の「育つ力」の支援として、階層研修、選択型研修、選抜研修、職能研修、自己啓発などを実施しています。
また、上司・職場の「育てる力」を高める支援としては、マネジメント力強化研修などを行っています。これらの取り組みを通じて、一人ひとりが安心して自らの強み・持ち味を活かし、育み、能力を最大限に発揮できるような風土の更なる醸成を目指しています。

人材育成基本方針のイメージ画像
関連する取り組み

個人の「育つ力」を高める取り組み事例
「育つ力」の支援として、階層教育・職能研修・選抜教育・自己啓発などを実施しています。

講座数 社内
講師数
(人)
年間開講
回数合計
(回)
延べ
受講者数
(人)
延べ
受講時間
(時間)
受講者一人当たりの研修費用(円) 受講者一人当たりの教育にかかる時間(時間) 受講
完遂率
(%)
階層教育 全体 142 280 750 11,231 124,120 40,358 12 96%
うち、管理職 21 23 133 2,332 27,246 44,884 13 95%
職能教育 237 441 2,323 16,565 153,562 18,339 11 99%
  • ※対象範囲:連結(国内)

2022年度 研修実施実績

階層教育の一例として、新入社員を対象に実施している工場実習では、入社初期にモノづくり現場での就業経験によりムラタの価値創造の源泉を学び、電子部品を通じて社会に貢献することを体感する機会となっています。これにより従業員のエンゲージメントを高め、早期の退職(3年以内)を低減することにもつながっており、事業への好影響を生み出していると認識しています。ムラタの人材育成・教育制度についての詳細は、下記をご参照ください。

Link: ムラタの人材育成、教育制度別ウィンドウで開く

上司・職場の「育てる力」を高める取り組み事例

マネジメント力強化の取り組み
ムラタでは、管理者へのマネジメント力強化の取り組みを積極的に実施しています。そのひとつであるMMB(Murata Management Basic)研修は、約8か月の期間にわたり、集合研修と現場での実践を繰り返しながら取り組むプログラムです。ムラタグループ全体の職種や部門を越えた管理職メンバーが参加し、マネジメントの基本を学ぶとともに、マネジメントを実践する中でのさまざまな課題を語り合うことでお互いを高めあうことを狙いとしています。2008年からプログラムを開始しており、2022年度末時点で累計1,977名が受講しています。
さらに、「管理職候補者を育成する責任は自分にある」というマインドセットの形成と、部下に対して「意図して業務を与える、内省化支援を行うこと」の重要性について理解を深めるワークショップも各地で開催しています。
また、管理職においては組織ごとに年間方針を立てその進捗を含めた内容を評価されます。

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
教育投資費(単位:百万円) 1,476 1,463 1,012 1,363 1,740

公正な評価制度と育成・配置
ムラタでは、職能資格をベースにした職級制度を軸に人事考課制度を制定しており、考課結果を人材の育成、活用、適正な処遇へ反映させています。

公正な評価制度と育成・配置のイメージ画像

半期ごとの職務遂行実績を評価する「業績考課」、年に1回職務遂行能力を評価する「能力考課」によって評価を行い、結果を人材開発サイクルに活用しています。

業績考課

期初に目標を設定し、半期ごとの「目標の達成度」と目標達成にいたるプロセスとなる「行動実践度」を評価します。上司との間で、達成すべき目標や行動をすりあわせし、日常的なコミュニケーション、フィードバックを通じて個人の育成と組織の成果へ繋げます。

業務実績

職務成果達成度
業務の質・量

+

行動評価

行動実践度

能力考課

個人の育成状況をふまえ、発揮される能力を多面的に評価します。

評価する能力

基礎能力

専門知識・職務技能

対人対応能力

育成指導力
影響・説得力
パートナーシップ
リーダーシップ力

課題対応能力

理解・分析力
判断・決断力
計画段取力
業務処理力
創造発想力
企画提案力

個人特性

チームワーク意識
チャレンジ精神
経営意識
外部感覚

一連の考課サイクルを、人材配置、人材育成につなげ個人と組織の持続的な成長を図っています。

3.次世代幹部候補の継続的な育成

ムラタは、Vision2030のありたい姿の実現や、社会に持続的に価値提供していくために、次世代リーダーの継続的な育成を会社の重要なミッションのひとつだと考えています。

創業以来絶えず会社組織を進化させながら、時代の変化を捉えた事業運営のために経営層がリーダーシップを発揮してきました。今後も、事業環境の変化を見据えながらも、社会に価値を提供し続けるため、事業を牽引するリーダーを輩出し続けます。そのため、将来の経営幹部候補に対する育成を継続して実施していきます。

関連する取り組み

各層別教育プログラム
ムラタでは、将来の経営幹部候補育成の主な取り組みとして、管理職層に向けた選抜教育プログラム(Middle Leadership Program)を実施しています。受講生が2年間のプログラムの中で自己を深く認識し自己変革を促す内容となっており、直属の上司だけでなく、複数の役員が直接関与し、アドバイスを行うことが特色です。研修と業務における実践を育成の両輪としており、2016年にスタートして以降、2022年度までのMLP受講生66名のうち33名が部長級に昇格するなど、積極的な機会付与が実行されています。さらに、経営層自らが次世代幹部候補の育成について真剣に議論する場を設けています。毎年10-20名を対象とし、経営メンバー間で個別の育成プランを議論するなかで、必要経験のための異動の実現や、経営層による幹部候補人材の認知とその後の成長支援につなげています。なお、2022年度の新規参加者は10名で、全従業員数の上位0.1%未満の選抜されたメンバーによる研修です。
また、これから管理職をめざす層に対しても、経営方針(Vision2030・中期方針2024)と連動させた育成プログラム(Make2030)を2022年度から開始しています。環境変化への感度を高め仮説思考を強化し、組織の壁を超えた連携を促し、会社の将来を主体的に考え行動につなげていくことを、より早期のタイミングから経験するためのプログラムになっています。なお、こうした次世代幹部候補の育成は、日本国内向けに留まらずグローバルでも実施しています。ムラタは海外売上高比率が約9割とグローバルでビジネスを展開しており、さらに今後の事業拡大にともない海外生産比率も高めていく必要があるなかで、海外ローカル人材リーダーのイニシアティブも持続成長において欠かせません。ムラタではグローバル共通の次世代リーダー向け選抜研修(Global Leadership Program)を実施しており、ムラタの理念に共感し、DNAを継承しながら、全社視点を持ち、グローバルビジネスの拡大に貢献できる人材の育成強化を継続的に図っています。

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
選抜研修受講者のうちの
上級管理職昇格率
20.7% 20.5% 32.7% 49.2% 47.8%
階層別研修受講実績
(単位:人)
4,332 5,245 4,590 6,690 10,794
  • ※対象範囲:連結(国内)

4.DX人材の獲得と育成

ムラタの価値創造プロセスのデジタル化によって、ムラタの強みである「現場変革」は、「個別最適型」から、全体性と進歩性を持つ「自律分散型」に昇華し、社是の実践と変革を起こし続ける企業風土の醸成につながると考えています。

そのため、DX推進のためには、下記3つの領域に重点的に取り組んでいく必要があり、人的資本という観点からは、DX人材の獲得と育成が重要課題であると考えています。

  • 事業軸に最適化が進んだ一方でサイロ化したバリューチェーン、業務・プロセス・システムの再構築
  • DXの人材獲得・育成(制度・採用・育成開発)
  • データマネジメント・連携・利活用の促進デジタルを活用したモノづくり領域の変革