生産技術 IE技術

要約

  • 一般的にIE(インダストリアルエンジニアリング)技術は、「人間・機械・モノ・情報」を統合し、企画から設計・生産・物流までのモノづくりを対象に、最適なワークシステムを構築する管理技術です。
  • ムラタのIE技術は、ECM(Engineering Chain Management、企画・設計から生産ライン構築)軸およびSCM(Supply Chain Management、資材調達からお客様納入)軸を横断し、「人間・機械・モノ・情報」を統合する管理技術を駆使して、全社的に最適なワークシステムを構築しています。これにより、「モノづくりの参謀役」として、ムラタのモノづくり強化の推進を支えています。
  • 1960年代の合理化活動から始まり、多品種少量生産・JIT(ジャスト・イン・タイム)・VE(価値工学)の導入を経て、近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)を活用した生産革新へと進化しています。
  • 現場改善士制度やPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルの徹底により、現場の自律的改善を推進するとともに、流れ化や標準作業、投入平準化などの科学的手法を活用して、生産性と品質を高めています。

ムラタのIE技術とは

技術解説

ムラタのIE技術は、ECM軸およびSCM軸を横断し、「人間・機械・モノ・情報」を統合する管理技術を駆使して、全社的に最適なワークシステムを構築しています。最小の資本で最大の価値を顧客に届けるため、科学的なアプローチで生産ラインの設計・企画から実装・改善までを行います。

ECM軸では、事業と製造の橋渡し役を担い、損益管理や原価管理を用いて工場経営の課題を抽出し、それに対応する製造システム設計を行います。

SCM軸では、改善手法の浸透と現場での活用を図る役を担い、流れ化や標準作業による生産性向上、物流全体の最適化など、工場全体の効率改善を行います。

生産現場の作業面では、人間の生理的負担や感情面に配慮し、作業者の負荷を軽減します。レイアウト面では人やモノの「流れ化」を基盤に動線を短縮します。設備面では固有技術を活かして設備効率を高めます。品質面では量産データを活用して歩留まりを改善します。

また、製品企画の段階から原価企画を行い、新しい工程設計や設備投資の効率化を推進します。多品種少量生産では、段取り替えの短縮やラインバランスの調整により生産リードタイムを大幅に削減するとともに、標準作業の設定と作業訓練により、作業ばらつきを抑え、品質の安定化を実現しています。

これらの技術を統合し、製造コストの削減と、市場変化に柔軟に対応できる生産体制を構築しています。

モノづくりの領域(ECM軸、SCM軸)

技術の強み

ムラタのIE技術の強みは、着実な技術の蓄積に加え、現場作業者の教育・育成を通じた改善専門家を輩出してきたことにあります。代表的な取り組みが「現場改善士制度」で、これはIEの手法を習得し、改善のPDCAサイクルを自ら回せる人材を専門家として認定する自社内資格制度です。現在、約2,000名の現場改善士が自律的にPDCAサイクルを回し、年間約十億円のコストダウン効果を生む文化を築いています。この文化は、製造現場全体に広がり、自律的な改善活動を促進しています。現場改善士は、「一人工の追求」という価値観のもと、流れ化の実現や標準作業の徹底を行い、ムリ・ムラ・ムダを排除し、安定した生産を実現しています。

さらに、遺伝的アルゴリズムを活用した投入平準化やシミュレーション技術を活用した工程設計など、DXやAIを積極的に導入することで、IE技術を絶えず進化・深化させています。これら取り組みにより、計画精度と生産性を向上させ、改善のスピードを飛躍的に高めることで、持続的な競争力の強化と現場負担の軽減を両立させる強固な生産体制を構築しています。

現場改善士の人数推移(連結)

技術の進化

ムラタのIE技術は、1960年代に段取り改善や稼働率向上など、いわば「点」の改善から始まりました。その後、合理化や生産ライン化といった「線」の改善へと発展し、1970~80年代にはレイアウト設計や製造システム設計など「面」での改善へと広がっていきました。

電子部品市場の拡大と多品種少量生産の加速に伴い、1980年代には顧客のカスタム要求への対応力と生産効率の両立をテーマに、多品種少量生産体制をさらに強化しています。1980年代後半には価値工学(VE)を取り入れ、生産現場の整流化技術(JIT)の導入や、生産と経営を結び付ける「モノづくり損益管理」活動をIE技術に加えています。

1990年代以降は、データマイニングや最適投入・配台システムの導入によりIE技術のシステム化を加速し、さらに2010年代以降は、ロボットによるFA(ファクトリーオートメーション)化や、AI技術を活用したDXを積極的に進めることで、製造現場の効率追求と高品質な製品づくりを実現しています。

今後は、これらのスマート技術を活用したCPS(Cyber Physical System)によるリアルタイムな不良品発生・生産ロスの未然防止と真因の根本解決を探求し、高効率な多品種・変種変量生産を実現する流れ化と柔軟な自動化を推進します。これにより、徹底したコストダウン・資本効率向上の実現を通じて、さらなるIE技術の進化を目指していきます。

IE技術進化の推移
DX/スマート技術活用による徹底したコストダウン・資本効率向上
DX/スマート技術活用による徹底したコストダウン・資本効率向上

本技術の応用例

ムラタの積層セラミックコンデンサ(MLCC)を含む基幹ビジネスでは、技術の進化と自律的なPDCAサイクルを回せる製造現場の文化を培うことで、徹底したコストダウンによる競争力強化を実現しています。また、生産拡大に伴い、工場内の物流最適化や流れ化を進め、無駄を削減した生産フローを実現しています。新工場や海外工場の立ち上げでも、損益改善や生産ライン設計、迅速な作業訓練を通じてIE技術が貢献しています。

プロダクトライフサイクルの短い製品では、上市前から損益・原価管理を行い、迅速な垂直立ち上げを実現して利益を生み出しています。

IE技術の実用例 ~製品紹介~

ムラタの技術