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無線LANによるメッシュネットワーク・ソリューションの開発について
-「Embedded Technology 2013」に出展-

2013/11/14

株式会社村田製作所
代表取締役社長 村田 恒夫

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要旨

株式会社村田製作所は、当社の無線LAN Smartモジュール*1を用いた組込み機器向けメッシュネットワーク*2・ソリューションを開発いたしました。
本ソリューションは、11月20日 (水) 〜11月22日 (金) にパシフィコ横浜で開催されるEmbedded Technology 2013/組込み総合技術展 (ET2013) にて展示いたします。

背景

近年、エネルギー管理システムによる省電力化や、IoT (Internet of Things) による安全で快適な生活を実現したいというニーズが、家庭やビル、工場、農場などさまざまな場所で高まっています。

ネットワーク体系イメージ

ところが、こうしたニーズに対応するためには、基地局−端末で構成される従来のネットワークでは増設時のコストや柔軟性、耐障害性に課題が発生するため、新しいネットワーク体系が必要です。この新しいネットワーク体系として、無線メッシュネットワークが注目されています。無線メッシュネットワークは、無線通信端末をメッシュ状に結び、端末同士で自律的に伝送路を構築します。そのため、仮にどれか一つの端末が不具合を起こした場合でも、自動的に正常な端末に繋ぎかえることができ、高い耐障害性を確保できます。さらに、広範囲かつ柔軟なネットワークの構築が可能です。

当社では、無線LANが持つ

  1. IPネットワーク通信が可能 (インターネット通信との親和性)
  2. 既存の無線LAN機器との接続性
  3. 高スループット
  4. 高セキュリティ

などに注目し、当社の無線LAN Smartモジュール (ハードウエア) にメッシュネットワーク構築・通信機能 (ソフトウエア) を実装して、無線LANを用いた組込み機器向けメッシュネットワーク・ソリューションを開発しました。ハードウエアからソフトウエア、さらにはソフトウエアの認証取得までサポートできるのは当社の強みであり、これまで無線の導入実績がないお客様でも簡単にご使用いただけます。

なお、無線通信端末をメッシュ状に結び自律的に伝送路を構築するためのルーティング・プロトコルには、富士通株式会社 (以下、富士通) のアドホック通信 (メッシュネットワーク) 技術「WisReed (ウィズリード) 」を採用しています。

特徴

メッシュネットワーク構築に必要なソフトウエアを無線LAN Smartモジュールに実装

無線LAN Smartモジュール (ハードウエア) にアプリケーションプロセッサ*3を内蔵することで、低リソースである組込み機器での使用が可能です。また、リアルタイムOS、無線LANドライバ、通信プロトコルなど (ソフトウエア) を実装して提供いたします。これにより、これまで無線の導入実績がないお客様でも、シリアル通信*4や汎用I/O*5などのインターフェースを用意するだけで、簡単に無線LANを用いたメッシュネットワークを実現できます。

メッシュネットワーク構築に必要なソフトウエアを無線LAN Smartモジュールに実装

お客様の組込み機器開発を容易にするソフトウエアを提供

お客様の組込み機器開発に必要なOSおよびプロトコルスタック (下図赤枠内) を提供します。OSには、日本国内で標準的なµITRON4.0準拠RTOSを採用しているため、お客様がお持ちの開発環境で、アプリケーション・ソフトウェアを開発するだけで、簡単に無線LANを用いたメッシュネットワークを利用できます。

お客様の組込み機器開発を容易にするソフトウエアを提供

※1 µITRON4.0仕様RTOSとして、イー・フォース株式会社製「µC3/Compact」を使用
※2 TCP/IPスタックとして、イー・フォース株式会社製「µNet3」を使用

ルーティング・プロトコルには富士通の「WisReed」を採用 

「WisReed」は、個々の通信機器自体が周囲の状況を判断してネットワークの構築や修復を行うマルチホップ・ルーティング・プロトコルです。小フットプリント*6で低リソース*7である組込み機器にも実装が可能なうえ、大規模ネットワーク (1,000万ノード以上) への対応、迅速な経路切り替え (1ms以内) が可能です。このように高機能であることに加え、国内外のインフラ設備への豊富な採用実績があることから、このたび「WisReed」を採用することとしました。

「WisReed」の主な特長

  • 大規模ネットワークを自律的に形成
  • 障害発生時やトラフィック増大時にも通信を高速修復・維持
  • 有線、無線を問わず、さまざまな通信メディアに適用可能
  • Depth-First Forwarding (DFF; IETF RFC 6971準拠) により高いデータ到達率を実現

「WisReed」の仕様

項目
全ネットワーク規模 1,000万ノード以上の大規模ネットワークにも対応可能
1Gateway*8当たりのノード数 1,000ノード程度 (論理的制限なし)
経路の切替時間 1ms以内 (通信障害発生検知後)
データ到達率 99.9% (実績値)
規格 IETF RFC 6971
Depth-First Forwarding (DFF) in Unreliable Networks

※「WisReed」は富士通株式会社の登録商標です

用途

HEMS/BEMS、スマートメータ、データセンター、スマート農場など

Embedded Technology 2013/組込み総合技術展について

名称: Embedded Technology 2013/組込み総合技術展
会期: 2013年11月20日 (水) 〜11月22日 (金)
10: 00〜17: 00 ※21日 (木) は18: 00まで
会場: パシフィコ横浜
当社ブースNo. : D-18
URL: http://www1.jasa.or.jp/et/ET2013/index.html

用語説明

*1 無線LAN Smartモジュール: これまで無線LAN導入が難しかった電気機器向けソリューションとして、アプリケーションプロセッサを内蔵し、当社独自の技術で小型化した無線LANモジュール。
*2 メッシュネットワーク: 複数の無線通信端末をメッシュ状に結び、端末同士で自律的に伝送路を構築するネットワーク。
*3 アプリケーションプロセッサ: ユーザーインタフェースなど、さまざまなアプリケーション処理を担当するプロセッサ。
*4 シリアル通信: 1本の信号線に1ビットずつ逐次的にデータを送信する通信方式。多くの組込み用のマイクロプロセッサに汎用的に搭載されている。
*5 汎用I/O: GPIO (General Purpose Input/Output) 、または汎用入出力とも言う。一般的にマイクロプロセッサが備えている入出力端子で、設定によってさまざまな用途に利用できる入出力のこと。
*6 小フットプリント: ソフトウエアを動作させるために必要なメモリ容量が少ないこと。メモリ容量が比較的少ない組込み用のマイクロプロセッサなどに最適。
*7 低リソース: マイクロプロセッサにおいて、メモリ容量が少ないものや、動作クロックが低いものなどをさす。
*8 Gateway (ゲートウェイ) : プロトコルの異なるネットワーク同士を接続するためのネットワークノード。

ムラタについて

村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。

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