環境とムラタ

気候変動対策の強化

気候変動対策の基本的な考え方

ムラタは従来よりモノづくりにおける環境負荷低減の活動を実施しています。現在は「気候変動対策の強化」を重点課題(マテリアリティ)に選定し、温室効果ガス(以下GHG※1)排出削減の総量目標を掲げて事業運営を行っています。

近年の電子部品需要拡大にともなう増産、M&Aや新規事業の展開により、2018年度までGHG総排出量が急速に増加していました。一方でパリ協定発効以降、企業の事業拡大に関わらずGHG総排出量を削減することが求められています。

そこでムラタでは、取締役常務執行役員を委員長とする気候変動対策委員会を中心に、省エネルギー(以下、省エネ)、再生可能エネルギー(以下、再エネ)導入拡大などの気候変動対策を推進することでGHG総排出量削減に取り組んでいます。気候変動対策委員会では、イニシアチブ推進部会・再エネ推進部会・省エネ推進部会の3つの下部組織と連携してムラタの気候変動対策の方針について議論しており、2022年度はさらなる省エネ施策の創出を目的としたCFP※2算出の検討や、ソーラーパネルと蓄電池を組み合わせたシステムの国内事業所への導入、バーチャルPPAの契約締結などの再エネ導入について議論を行いました。

さらに、これまでの設備投資を中心とした省エネだけでなく、自社のセンシングとIoT技術を組み合わせた新たなエネルギーマネジメントシステムを構築し、生産におけるエネルギー使用の最適化に取り組んでいます。

なお、ムラタではGHG総排出量について第三者認証を取得しており、GHG総排出量や気候変動対策の取り組みを積極的に情報開示することで、CDP気候変動調査※3で2021年にA評価、2022年にA-評価を獲得するなど、社外からも高い評価を受けています。

Link: 第三者保証

Link: TCFDへの対応

目指す姿

RE100※4やSBT※5に沿った事業運営によって、モノづくりにおけるGHGの削減を目指します。

2024年度目標
  • GHG排出量(2019年度比)
    Scope1 + Scope2:128万t-CO2e(20%減)
  • 再生可能エネルギー導入比率:25%
2030年度目標
  • GHG排出量(2019年度比)
    Scope1 + Scope2:87万t-CO2e(46%減)
    Scope3:325万t-CO2(27.5%減)
  • 再生可能エネルギー導入比率:50%
2050年度目標
  • 再生可能エネルギー導入比率:100%
2022年度実績
  • GHG排出量(2019年度比)
    Scope1 + Scope2:134万t-CO2e(16%減)
    Scope3:421万t-CO2(6%減)
  • 再生可能エネルギー導入比率:23.7%
現状の課題と取り組み
  • 再エネ:オンサイト・オフサイト・電力会社からの再エネ長期調達の検討
  • 省エネ:エネルギー使用状況の可視化および省エネ施策の掘り起こしを主目的としたカーボンフットプリント(CFP)の算出
  • Scope3削減:仕入先様・運送業者様との協働
  • ※1

    Greenhouse gas:温室効果ガスの総称

  • ※2

    Carbon Footprintの略。ライフサイクル全体を通して排出されるGHGの排出量を算出したもの。

  • ※3

    CDP気候変動調査:企業や自治体を対象とした世界的な環境情報開示システムを運営する国際環境NGO「CDP」による、各企業の気候変動の対応と戦略などをヒアリングし評価する調査。2022年度には18,000社以上がCDPを通じて環境情報を開示している。

  • ※4

    RE100:国際NGO「The Climate Group」がCDPとのパートナーシップのもと運営する、世界で影響力のある企業が再生可能エネルギー100%を目指す国際イニシアティブ

  • ※5

    SBT(Science Based Targets):パリ協定に整合した科学的根拠に基づく温室効果ガス排出削減目標

国際的な環境イニシアティブ「RE100」への加盟

2020年12月、ムラタは事業活動で使用する電力を100%再エネにすることを目指す国際的なイニシアティブ「RE100」に加盟しました。2050年度までに事業活動での使用電力の再エネ導入比率を100%、2030年度時点で50%を目標として設定し、持続可能な社会の実現に向けて貢献します。

当社の主力製品である積層セラミックコンデンサ(MLCC)などの電子部品は、焼成工程において高温状態を維持する必要があり、多くの電力を使用しています。一度に焼成できる個数はスペース的な制約があるため、MLCCの軽薄短小化の取り組みを推進し、焼成時における環境負荷(電力・原材料使用)の低減に取り組んでいます。

このような生産プロセスでの環境負荷低減に加え、国内外の生産子会社における再エネの利用促進を目指しています。すでにグループ20拠点以上でソーラーパネルの設置を行っており、2023年以降も大規模な投資を行っていきます。今後、ムラタの蓄電池と組み合わせることで発電量を最大限活用できるように整備し、事業所内での電力利用の最大化を進めていく予定です。

Link: RE100別ウィンドウで開く

RE100はThe Climate GroupがCDPとのパートナーシップのもとで主催し、We Mean Business連合の一部としても運営しています。日本では2017年より日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が、RE100の公式地域パートナーとして日本企業の参加と活動を支援しています。

脱炭素社会の実現を目指す「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」へ参画

持続可能な脱炭素社会の実現には産業界が健全な危機感を持ち、積極的な行動を開始すべきと考える企業が多く参加している、気候変動問題に対し野心的に取り組む団体である日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)に2018年より正会員として参画しています。社外の知見を活用してムラタのバリューチェーンを通した脱炭素化の活動を加速させるとともに、参加企業との協働により世界の気候変動対策に寄与する事業の立ち上げ、JCLPを通じた日本政府への提言のための意見出しも積極的に参加・検討していきます。

Link: JCLP別ウィンドウで開く

ムラタのGHG排出削減目標が国際的イニシアティブ「SBT」を取得

ムラタは2021年度、自社のGHG排出量削減の目標において、国際的イニシアティブ「SBTi(Science Based Targets initiative)」による”世界の気温上昇を産業革命前より1.5°Cに抑えることを目指す”ための科学的な根拠に基づくものであることを認めるSBT認定を取得しました。

Scope1, 2に関してはこれまでも推進してきた省エネ・再エネに一層注力することで削減を目指します。Scope3に関しては、排出割合の高い「製品・サービスの購入にともなうCO2排出量(カテゴリー1)」に優先的に着手すると同時に精緻化を進めていくことで、サプライチェーン全体を通じたCO2削減を進めていきます。

SBT認定されたムラタグループの削減目標

Scope1 + Scope2(1.5°C水準)
(工場での製品製造、事業所での使用電力など自社利用によって排出する領域)

2030年度までに46%削減(2019年度比)

Scope3(WB2.0°C水準)
(原料調達や製品輸送、廃棄などScope1+2以外に間接的に排出する領域)

2030年度までに27.5%削減(2019年度比)

Link: SBT別ウィンドウで開く

CDP「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定

ムラタは、2015年度から国際的な環境非営利団体CDPによるCDP気候変動調査に継続して対応し、気候変動にまつわるムラタの取り組みや戦略を開示してきました。

その結果、2021年度はA評価※1、2022年度はA-評価と2年連続でリーダーシップレベルの評価を獲得し、サプライヤー・エンゲージメント評価※2においては、2020年度から2022年度まで3年連続で最高評価の「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定されました。

今後も、省エネや再エネ導入などの取り組みを通した自社GHG排出量の削減と、環境負荷の低い部資材の選定やリサイクル材の投入比率向上など、サプライチェーンを通じたCO2削減の取り組みをさらに加速していきます。

  • ※1

    評価結果は最上位レベルのリーダーシップレベル(A、A-)からマネジメントレベル(B、B-)、認識レベル(C、C-)、情報開示レベル(D、D-)の8段階で評価

  • ※2

    CDP「サプライヤー・エンゲージメント評価」は、企業が気候変動課題に対してどのように効果的にサプライヤーと協働しているかを評価するもので、CDPによる気候変動に関する調査の「ガバナンス・目標・Scope3排出量・バリューチェーンエンゲージメント」の4つの分野に関する回答から評価が行われる。

GHG総排出量の推移とGHG排出量削減の推進

ムラタは過去から継続して省エネの取り組みを実施しており、年間450-600件(4~5万t-CO2の削減)の省エネ施策を継続的に実行しています。しかしながら、近年では事業拡大ペースがその効果を上回り、GHG総排出量が増加してきました。

そこで、省エネに加えて再エネ導入の推進に取り組んだ結果、GHG排出量は2018年度をピークに減少し、2022年度のGHG総排出量は134万t-CO2eで前年度比6万t-CO2eの削減となりました。2024年度、2030年度の目標達成に向け、2023年度から一層取り組みを加速させます。

さらに将来のCO2削減を上積みするため、社内カーボンプライシング制度を設計し、2021年度から運用を開始しています。具体的には、CO2削減に金銭的な価値を与え、投資指標に組込むことでCO2削減効果のある投資実行の意志決定を促すシャドープライシングを導入しました。今後もより効果的なCO2削減に繋がる制度を整えていきます。

※2019年度および2020年度のGHG排出量についてSBTが設定する算出基準で再計算しました。
GHG総排出量の推移

ムラタは電子情報技術産業協会(JEITA)に所属しています。JEITAを含めた電機・電子4団体では、2030年度に向けエネルギー原単位を年平均1%改善することを目標としています。さらに、国内企業活動におけるCO2排出量を2030年度までに2013年度比46%程度削減することをチャレンジ目標として掲げています。この目標達成のため、ムラタも工場やオフィスの省エネ施策実施などを通じてエネルギー効率改善に取り組んでいます。

Link: JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)別ウィンドウで開く

Link: JEITA Members別ウィンドウで開く

国内工場における原単位改善率の推移

2022年度におけるScope1の排出量内訳(CO2換算)

GHG種類 排出実績
(t-CO2e)
CO2 152,094
CH4 1
N2O 390
HFCs 32,157
PFCs 73,981
SF6 4,802
NF3 191
その他 0

GHG Scope1+2の削減

液体PFCの削減

PFCは地球温暖化の原因となる化学物質であり、京都議定書の削減対象物質です。所属する電子情報技術産業協会(JEITA)の自主行動計画に賛同し、ムラタでは『2021年時点で、液体PFCをCO2換算で2002年度比65%減』という目標を設定して取り組みを推進してきました。2015年以降、液体PFC投入量の多い事業所に順次再生回収装置を導入しており、2022年度は2002年度比22%減を達成しています。

液体PFC投入量と削減率の推移(国内)

再生可能エネルギーの導入

ムラタでは「気候変動対策の強化」の取り組みのひとつとして、事業活動にともなう消費電力における再エネ量の拡大に取り組んでいます。グローバル企業として、国内だけではなくタイなどの海外でも積極的に太陽光発電の導入を進め、再エネ証書の活用も取り入れてきました。2022年度は、太陽光発電設備による発電や再エネ証書の調達など再エネ由来の電力が約6億kWhとなり、約35万t-CO2のGHG抑制への貢献量となりました。

また、2022年度には中国電力と太陽光発電電力供給(オフサイト型)による再エネ由来電力などの供給に関する契約を締結し、2030年度までに中国エリアのムラタ生産拠点すべての使用電力の50%を再エネ由来とする取り組みや、ムラタ向けの太陽光発電設備の新たな開発の検討を進めました。

さらに、三菱商事との協業を行い、バーチャルPPAを用いて2025年度までに7万kWの再エネ由来の電力を調達することで合意しました。

2023年度以降も継続して国内外で再エネの導入を検討し、環境負荷低減に貢献してまいります。

国内外の再生可能エネルギー設備拠点のご紹介

2021年度には、金津村田製作所(福井県あわら市)で大規模なソーラーパネルと蓄電池を組み合わせたシステムや水力発電由来の再エネ電力メニューの導入により、ムラタグループ初の100%再生可能エネルギー利用工場となりました。また、フィリピンの生産拠点(Philippine Manufacturing Co. of Murata, Inc.)でもメガソーラーシステムと地熱発電由来の電力メニューの活用により、海外拠点初の100%再生可能エネルギー利用工場となりました。

2022年度、金津村田製作所で稼働中のソーラーパネルと蓄電池を組み合わせたシステムを、新たに仙台村田製作所(宮城県仙台市)、伊勢村田製作所(三重県津市)、ハクイ村田製作所(石川県羽咋市)、ワクラ村田製作所(石川県七尾市)の4工場に導入しました。4工場の自家発電設備によるCO2削減効果は年間累計で1,897t-CO2となります。

また、無錫村田電子有限公司(中国、江蘇省無錫市新呉区)ではムラタグループ初の環境配慮型立体駐車場を竣工しました。本駐車場は、両面発電パネルの採用や壁面への太陽光パネル設置により、土地面積あたりの太陽エネルギーの吸収率を1.2倍向上させました。年間で一般家庭300戸以上の消費電力に相当する発電が可能となり、490t-CO2のCO2削減効果があります。

  • 国内外の再生可能エネルギー設備拠点のイメージ1
    Murata Electronics(Thailand)の太陽光発電システム
    (発電容量:4.6MW)
  • 国内外の再生可能エネルギー設備拠点のイメージ2
    Murata Electronics Singaporeの太陽光発電システム
    (発電容量:2.2MW)
  • 国内外の再生可能エネルギー設備拠点のイメージ3
    金津村田製作所の太陽光発電システム
    (発電容量:638kW)
  • 国内外の再生可能エネルギー設備拠点のイメージ4
    金津村田製作所の蓄電池システム
    (蓄電池容量:913kWh)
  • 国内外の再生可能エネルギー設備拠点のイメージ5
    みなとみらいイノベーションセンターの太陽光発電システム
    (発電容量:37kW)
  • 国内外の再生可能エネルギー設備拠点のイメージ6
    無錫村田電子有限公司の環境配慮型立体駐車場
    (発電容量:823kW)
ムラタ拠点の自家消費再エネ導入状況

GHG Scope3の削減

サプライチェーン全体での気候変動対策取り組み

ムラタのGHG排出量のうち、全体の76%をScope3が占めています。そのため、Scope1, 2に加えてScope3のGHG削減も不可欠であるという課題を認識し、SBT基準に適合したScope3の削減目標を設定しています。

今後は、その達成に向け、幅広く関係する部門間で連携しムラタのサプライチェーン全体での気候変動対策を推進していきます。

2022年度 ムラタのGHG総排出量(Scope1・2・3)
Link: サプライチェーン排出量算定の考え方(環境省)別ウィンドウで開くをもとに作成
GHG総排出量の算出方法・第三者保証について

グローバルな算出基準であるGHGプロトコルに従い、以下のScope(範囲)で算出しています。

Scope1: 事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2※1: 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用にともなう間接排出
Scope3: Scope1,2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)

気候変動への取り組みが企業に求められる中、ムラタでは第三者による保証済みの確かなデータでGHG排出量を管理し、信頼性の高いデータを開示することが第一歩であると考え、GHG排出量について第三者保証を2016年度から継続して取得しています。
また、ムラタでは再エネの導入にも積極的に取り組んでいることから、再エネ電力利用量についても保証を取得しています。
Link: 第三者保証

  • ※1

    ロケーションベース:その地域の電力網の平均CO2排出係数を使用して算定を行う方法。
    マーケットベース:電力契約ごとのCO2排出係数を使用して算定を行う方法。
    後者の方が精度が高く、近年主流になってきており、ムラタは算定方法を2019年度からマーケットベースに変更。
    Link: ESGデータ集
    Link: GHGプロトコル ウェブサイト別ウィンドウで開く

物流における環境負荷低減

ムラタでは、製造段階だけでなく、製品を輸送する物流段階においても環境負荷削減に取り組んでいます。

輸送の効率化でCO2を削減するとともに、3Rを推進することで環境配慮型の物流を進めています。

国内物流CO2と海外物流CO2の実績把握

2022年度は、国内物流CO2実質生産高原単位2.0kg/M円以下をモニタリング、および海外の物流も含めたオールムラタの物流におけるCO2の把握の精度向上に取り組んできました。
今後は、物流CO2集計のためのシステムツールの構築と精度向上に取り組んでいきます。

物流CO2排出量の削減取り組みについては、2022年度に国内得意先向けの出荷において、新箱の導入による緩衝材の廃止を実施し、112t/年のCO2排出量の削減を達成できました。
2023年度はモーダルシフトや軽量版パレットの導入などの施策により、物流CO2排出量の削減に向けた取り組みをグローバルで進めていきます。

  • 2022年度の国内物流におけるCO2排出量は389t/月で、実質生産高原単位2007年度比26%でした。
  • ムラタの全世界における物流CO2排出量は約13,165t/月でした。
物流時のCO2排出量の推移のグラフ
物流時のCO2排出量の推移

エネルギー消費量の削減

省エネルギーを実現する電子部品製造装置を開発

ムラタではエネルギー使用効率の高い電子部品製造装置を開発しています。製造装置の省エネ指標は、単位製造製品数あたりの消費エネルギー(数量原単位)で表し、ベンチマーク機(従来設備)比25%以上削減を目標値として、省エネ型の製造装置を新規に開発しています。

工場で稼働している既存の製造設備においても省エネ改善を進めており、2021年度も引き続き、これまでに蓄積してきた約70の生産設備の省エネ施策の水平展開に取り組んできました。

また生産設備の設計技術者の2年目を対象とした省エネ設計研修会を毎年開催し、生産設備の省エネ設計のノウハウを教育しています。

2022年度は製造工程の見える化を進めてエネルギー消費の多い工程を把握し、エネルギー消費の効率化を進めるための現状把握を行いました。

2023年度からは、各製造工程のエネルギー消費量を参考にエネルギー消費を効率化する施策の検討に着手します。また、省エネ水平展開リストの更新を行い、ムラタ全社への展開を進めます。

消費エネルギーの対ベンチマーク比率のグラフ

ムラタは製造装置の省エネ化だけではなく、部資材購入、設計・開発、生産、使用、リサイクル・廃棄の製品の全ライフサイクルにわたる環境負荷に配慮した製品づくりを行っています。
自社独自の認定基準を設け、開発・設計段階から評価し、環境配慮製品としてご提供しています。

Link: 製品を通した環境貢献

組織力を発揮した省エネ活動

ムラタは過去から継続して省エネの取り組みを実施しており、大小合わせて年間450-600件(4~5万t-CO2の削減)の省エネ施策を継続的に実行しています。2015年からは各事業所へのエネルギー監査(省エネ診断)を実施し、ユーティリティおよび生産設備に関する省エネ取り組みの中から水平展開が可能な約200件の省エネチェックリストを作成し、展開しております。その進捗状況や効果の確認、チェックリストの更新を本社主導で行っていきます。
主な省エネ施策としては(1)冷凍機設備などの高効率機器への更新、(2)廃熱回収機の導入、(3)設備待機電力の低減、(4)クリーンルームの加圧最適化による空調動力低減など、GHG削減効果の大きい施策を中心に改善を進めてきました。

また、自社技術を活用した、事業におけるエネルギーの見える化に積極的に取り組み、省エネ施策の立案・実行を効果的に行える体制の構築を進めています。具体的にはムラタが開発した無線センサを使用して工場内の温度や湿度、各種設備の電流値などのデータを収集し、ネット上で共有しながら工場や本社でともにエネルギー使用状況の分析を可能にするエネルギーマネジメントシステムの導入を推進しています。またこの仕組みはグッドデザイン賞、平成29年度省エネ大賞で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。これまでに小諸村田製作所では、このエネルギーマネジメントシステムを活用したエネルギーの見える化によって空調最適化、設備の待機電力低減などを実施し、工場全体のGHG排出量の2.2%削減を実現しました。ムラタは、今後もグローバルに活動拠点を持つグループ全体に対してエネルギーマネジメントシステムのような先進的な省エネ施策を導入できるよう継続して努力していきます。

さらに、これまで再エネや省エネ投資に関する基準を他の投資基準よりも緩和し、投資を促進してきたことに加え、2021年度からはさらに自助努力による将来のCO2削減幅を上積みするため、社内カーボンプライシングを導入しました。具体的には、CO2削減に金銭的な価値を与え、投資指標に組込むことでCO2削減効果のある投資実行の意志決定を促すシャドープライシングを導入しています。

全エネルギー消費量の推移のグラフ
全エネルギー消費量の推移※1
※1 全エネルギー消費量は電力購入量を一次エネルギー換算した数値を合計したものです。