社会とムラタ

仕入先様への責任と行動(CSR調達の取り組み)

基本的な考え方・方針

昨今の企業活動の急激なグローバル化により、サプライチェーンはかつてないほど広範囲で複雑化が進みました。これにともない、企業はステークホルダーを含めたサプライチェーン全体での法令遵守、人権の尊重、地球環境保全、労働安全、情報管理などに責任を持って取り組むことが求められ、これらの成果が企業の社会価値に直結するようになりました。

このような状況のもと、ムラタは自社工場のみならず サプライチェーン全体でESG(環境・社会・ガバナンス)の課題に取り組むことで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、経営理念である社是に掲げている「文化の発展に貢献」したいと考えています。

ムラタの調達活動の考え方

ムラタのサプライチェーンでは「公平」「公正」「誠実」を基本とする調達方針に基づき、仕入先様との共存共栄を目的としたパートナーシップの構築を進めています。特に品質面では、仕入先様とともに固有技術や管理技術の改善に取り組み、技術レベルの向上や不良率・歩留まりの低減などを図ってきました。

一方、人権や児童労働、強制労働、性別・宗教による差別の禁止、責任ある鉱物調達など、調達におけるCSR活動の対象範囲をサプライチェーン全体に拡大することが求められてきており、これらをCSR調達を課題の一つとして認識し、日々リスクの低減にむけた活動を行っています。

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調達方針、仕入先様選定基準・CSR調達ガイドライン

 ムラタは経営理念である社是をふまえ、法令の遵守はもとより、高い企業倫理観に基づき、透明性の高いガバナンス、人権尊重、安全衛生、社会貢献、環境保全などに取り組むことにより、社会から信頼される企業であり続けることを目的として、当社に働くすべてのものが遵守すべき規範として「CSR憲章」を定めています。さらに、Q(品質)、C(価格)、D(納期)の適正化と向上を図ることを目的に「調達方針」を定めました。調達方針はムラタの調達活動の考え方や行動・判断基準を示した「調達基本方針」・「調達行動指針」と、仕入先様に期待するCSR調達の考え方や行動・判断基準を示した「ムラタグループサプライチェーンCSR調達ガイドライン」によって構成されています。

CSR調達に関する方針体系図
調達方針

ムラタは、経営理念に基づき、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。この考えのもと、「調達基本方針」と「調達行動指針」から成る「調達方針」に基づき活動しています。「調達方針」に従い行動することで、仕入先様との強固なパートナーシップと長期視点での協力関係を築き、サプライチェーン全体で持続可能な社会の実現を目指してまいります。

Link: CSR憲章
Link: 調達基本方針・調達行動指針(日本語)
Link: 調達基本方針・調達行動指針(英語)
Link: 調達基本方針・調達行動指針(中国語)

仕入先様選定基準

仕入先様の選定に際しては、品質、納期、供給の継続、経営状況、製品技術力、人権や労働、環境保全、安全衛生、倫理(腐敗防止など)、BCP、情報セキュリティなどへの配慮等合理的な基準に基づいて公正・公平に評価・選定いたします。

Link: 仕入先様選定基準(日本語)(PDF: 136KB)別ウィンドウで開く
Link: 仕入先様選定基準(英語)(PDF: 43KB)別ウィンドウで開く
Link: 仕入先様選定基準(中国語)(PDF: 159KB)別ウィンドウで開く

CSR調達ガイドライン

ムラタはCSR調達の実現にむけ、「RBA行動規範」を採用しています。2020年に「RBA行動規範」をもとに、情報セキュリティや事業継続計画(BCP)、輸出入管理などを加えた考え方を「ムラタグループサプライチェーンCSR調達ガイドライン」(以下、ガイドライン)として、仕入先様に遵守・実践いただきたい内容を明示しました。2022年にはRBA行動規範の改定に合わせてガイドラインを見直し第2版を発行しました。ガイドラインはすべての仕入先様へ配付しています。取引開始時に契約事項として「CSR同意書」を締結し、ガイドラインの実践とサプライチェーン展開をお願いしています。

Link: ムラタグループサプライチェーンCSR調達ガイドライン(日本語)(PDF: 1.26MB)別ウィンドウで開く
Link: ムラタグループサプライチェーンCSR調達ガイドライン(英語)(PDF: 427KB)別ウィンドウで開く
Link: ムラタグループサプライチェーンCSR調達ガイドライン (中国語)(PDF: 918KB)別ウィンドウで開く

ガイドラインに記載の項目一覧
(1)労働
  • ① 雇用の自由選択
  • ② 若年労働者
  • ③ 労働時間
  • ④ 賃金および福利厚生
  • ⑤ 人道的待遇
  • ⑥ 差別/ハラスメントの排除
  • ⑦ 結社の自由
(2)安全衛生
  • ① 職務上の安全
  • ② 緊急時への備え
  • ③ 労働災害および疾病
  • ④ 産業衛生
  • ⑤ 身体に負荷のかかる作業
  • ⑥ 機械の安全対策
  • ⑦ 衛生設備、食事、および住居
  • ⑧ 安全衛生のコミュニケーション
  • ⑨ 従業員の健康管理
(3)環境
  • ① 環境許可と報告
  • ② 汚染防止と資源削減
  • ③ 有害物質
  • ④ 固形廃棄物
  • ⑤ 大気への排出
  • ⑥ 物質の制限
  • ⑦ 水の管理
  • ⑧ エネルギー消費および温室効果ガスの排出
(4)倫理
  • ① 腐敗防止
  • ② 不適切な利益の排除
  • ③ 情報の開示
  • ④ 知的財産
  • ⑤ 公正なビジネス、広告、および競争
  • ⑥ 身元の保護と報復の排除
  • ⑦ 責任ある鉱物調達
  • ⑧ プライバシー
  • ⑨ 適切な輸出入管理
(5)事業継続計画(BCP)
  • ① BCPの策定とマネジメント
  • ② 重要部資材の特定とリスク対策
  • ③ サプライチェーンの把握
(6)情報セキュリティ
(7)管理体制
  • ① 企業のコミットメント
  • ② 経営者の説明責任と責任
  • ③ 法的および顧客の要求事項
  • ④ リスク評価とリスク管理
  • ⑤ 改善目標
  • ⑥ トレーニング
  • ⑦ コミュケーション
  • ⑧ 労働者のフィードバック、参加、苦情
  • ⑨ 監査および評価
  • ⑩ 是正措置プロセス
  • ⑪ 文書化と記録
  • ⑫ サプライヤーの責任

RBAへの加盟

RBA logo

ムラタは、2022年6月にCSRに関する国際基準を制定しているRBA(Responsible Business Alliance)に加盟しました。RBAはグローバルなサプライチェーンにおける企業の社会的責任を推進する企業同盟です。当社はRBA行動規範に基づき、RBAのビジョンとミッションを仕入先様と共有することで、持続可能な社会の実現への貢献を目指します。
また、サプライチェーンマネジメントでは、VAPをはじめRBAの手法や手段を用いた審査、および改善指導への取り組みを実践しています。

Link: ムラタ加盟団体

CSR調達推進体制

ムラタは、「ムラタグループサプライチェーンCSR調達ガイドライン」を発行し、仕入先様に遵守・実践いただきたいCSR調達の考え方の浸透に取り組んでいます。さらに代表取締役社長の直下に設置したCSR統括委員会では、「人権・労働」、「安全衛生」、「環境」、「倫理」、「管理体制」などを、また同じくリスク管理委員会では「BCP」、「情報セキュリティ」などのCSR調達全般に亘る遵守状況や課題を経営トップと共有し、意思決定を行っています。これらの委員会で議論された内容は、取締役会の監督を受けています。

CSR調達推進体制図

Link: コーポレート・ガバナンス体制の概要

仕入先様の評価および是正

ムラタは、調達方針とガイドラインのご理解を深めていただくとともに、仕入先様ご自身でCSR上のリスクを認識し、改善に取り組んでいただくことを目的にCSR評価を行っています。具体的には仕入先様にガイドラインに基づくセルフアセスメントを実施いただき、その結果、必要があると判断した場合は実地監査も行います。セルフアセスメントや実地監査から顕在化したリスクに対しては、仕入先様に改善を要請するとともに、必要に応じて改善にむけた支援も行っています。

サプライチェーンの状況

ムラタグループのサプライチェーン状況は以下のとおりです。(2022年度時点)

地域別仕入先数の比率
地域別仕入先取引金額の比率

重要仕入先の特定

ムラタでは前年度の取引金額が80%以上を占める取引金額の大きい仕入先様をベースに、重要な調達部品・材料を供給いただいている仕入先様、また代替が難しい仕入先様を重要仕入先様とし、毎年CSRセルフアセスメントの実施をお願いしています。

お取引開始時の前提条件

環境・品質リスク面
  • EMS(Environmental Management System)
  • CMS(Chemical Substance Management System)
  • QMS(Quality Management System)

各種認証取得および監査や評価など

社会的リスク面
  • 基本契約書締結(取引や品質保証に関する契約)
  • CSR同意書締結(CSR要求の遵守に関する契約)
  • CSRアセスメント、監査の実施
  • その他、BCM、安全保障輸出管理、供給能力など
経済的リスク面

財務評価

重要仕入先の特定

  • ①取引金額の大きさ
  • ②商品機能への重要性(重要部品、材料など)
  • ③代替性(代替不可)

その他、調達戦略により特定

仕入先様に対するCSR評価

ムラタでは、調達方針とガイドラインの理解を深めていただくとともに、仕入先様ご自身でCSR上のリスクを認識し、改善に取り組んでいただくことを目的に、前記の「新規に取り引きを開始する仕入先様」に加え「既存の重要仕入先様」に対し、以下の流れに沿ってCSR評価(監査)を行っています。
すべての重要仕入先様に対し毎年、ガイドラインに基づくセルフアセスメントを実施いただいています。また、この結果および、数年毎のサイクルで実地監査も行っています。実施にあたっては、仕入先様の状況に応じた勉強会や監査受審準備の支援を行います。また、実地監査は第三者にて行われ、ムラタメンバーも支援のために同席します。机上での確認やインタビュー、サイトツアーで顕在化したリスクに対しては改善を要請するとともに、改善にむけて共に取り組むことで、仕入先様のCSR遵守レベルの向上、およびムラタ自身の調達リスク低減を目指しています。

CSR評価プロセス

CSR調達における目標と実績

CSR調達における今後の具体的取り組み目標(KPI)と2022年度実績

ムラタは、CSR調達を推進するために2022年度~2024年度の目標値を設定し、調達方針に沿ったCSR評価の取り組みを行っています。2022年度は設定した目標値をいずれも概ね達成することができました。設定した目標値を達成できるように、引き続きCSR調達課題に対するリスクの低減を図っていきます。

2022年度は、仕入先様へのCSR監査による確認に重点を置いてCSR調達の推進に取り組みました。この機会を通じて現場の方にも国際的な業界標準であるRBA要求に対する実態のギャップを認識いただくとともに、対応に不足のある場合は、改善の指摘や要請だけではなく、監査当日やその後の協議などで改善の支援を継続しています。当監査をきっかけとしてRBA行動規範はじめムラタが仕入先様に求める行動規範に即した要求事項の遵守レベルが向上しており、結果として仕入先様のCSR遵守の意識向上とともに、ムラタのCSRリスクの低減にもつながっています。

KPI 2022年度~2024年度目標 2022年度実績
ムラタグループサプライチェーンCSR調達ガイドライン条項遵守契約率 グローバルで95% 96%
CSR評価の改善率 是正対象となった仕入先様の改善率100% 90%
CSR監査の実施率 重要仕入先様へのCSR監査実施率95% 100%

セルフアセスメント

ムラタでは、すべての重要仕入先様に対し毎年、ガイドラインに基づくセルフアセスメントを実施いただいています。
「人権・労働」「安全衛生」「環境」「倫理」「責任ある鉱物調達」「調達BCP」「情報セキュリティ」「管理体制」の項目を含んでおり、貿易や腐敗などの各種法令への適合性や、含有化学物質管理、個人情報の取り扱いなどについて確認しています。さらに近年多発しているサイバー攻撃や情報漏洩などへの対応として、情報セキュリティに関する確認もあわせて実施しています。

全サプライヤー数 重要仕入先数 2022年度目標 2022年度実績 2023年度目標
4,700社 100社 重要仕入先様へのセルフアセスメントの実施率 100% 99% 重要仕入先様へのセルフアセスメントの実施率 100%

CSR監査

ムラタでは、2022年3月から重要仕入先様のCSR監査を開始しました。このCSR監査はRBA-VAP監査基準を参考とし、第三者機関に委託して評価を行っており、今後も数年かけてすべての重要仕入先様を監査する予定です。CSR監査では、ガイドラインに基づいて遵守状況を確認します。机上での確認に加えて現場の確認や従業員へのインタビュー、労働時間の実績調査なども行うことで、実態をより正しく把握することに努めています。さらにCSR監査実施前には、仕入先様に対しガイドラインやCSR監査に関する説明会を行い、監査前後でのQ&Aや改善取り組みの支援を行うことで、理解を深めていただいています。2022年度は44社実施しました。

また、実地監査の際、監査当日の改善の指摘や要請だけではなく、監査後の協議や、専門家からいただいたアドバイスを共有することにより、仕入先様より感謝の言葉もいただいています。

今後もCSR監査を通じ、仕入先様にRBA行動規範をはじめとするグローバルスタンダードやムラタの要求事項に対する意識向上を図り、結果として仕入先様のCSR遵守レベル向上と、ムラタのCSRリスクの低減につながるように、今後も当取り組みを継続して実施していきます。

是正措置

ムラタでは、仕入先様のCSRリスクの評価結果をA~Cに分類して管理を行うことでリスク顕在化の予防に努める一方、Cランクとなった場合はハイリスク仕入先様とし、ランクに応じた対応を行っています。なお、評価結果のランクを問わず、明らかになった課題に対しては、改善を要請するとともに支援を行います。十分な改善がみられない場合には、採用や取引継続について協議します。

ランク 判定リスクレベル 評価基準 対応 2022年度実績
A ローリスク 総合評点80%以上、
かつ最優先やメジャーな不適合がないこと
ガイドラインの遵守要求事項において、高い基準を満たしている仕入先様に対し、結果のフィードバックをするとともに、引き続き現状の状態維持をいただけるよう協力を仰ぐ。 119
(83%)
B ミドルリスク 総合評点50-79%、
または不適合がA/Cランクの基準以外
ガイドラインの遵守要求事項において、一部達成していない仕入先様に対し、フォローアップシートにて改善を要求する。その際、必要に応じて、改善にむけた支援を行う。 24
(17%)
C ハイリスク 総合評点49%以下、
または最優先不適合がある場合
ガイドラインの遵守要求を著しく満たしていない場合、CSR監査を実施。監査を通じてリスクの要因を把握し、改善にむけた取り組みを依頼する。その際必要に応じて、改善にむけた支援を行う。 0
(0%)
実績

2022年度は、仕入先様に出向き、現場を直接確認することおよび直接協議することに重点を置いて取り組み、計144件のCSR監査(CSR評価)を行いました。その結果、A判定(ローリスク)が83%、B判定(ミドルリスク)が17%でした。これはセルフアセスメントに加え、実地監査による確認を強化した結果だと考えています。

改善項目/是正事例

2022年度は特に上半期のコロナ禍による制限のため、やむを得ず一部リモートでの実施になりましたが、計44社の国内外の仕入先様に対し、是正措置に関する取り組みを行いました。その結果、日本と海外とでは不適合に差異があることが確認されました。具体的には、日本では労働人権に関わる指摘が多く、実態(運用)の問題は少ないものの、その方針など が明記されていないこと、また、RBAで求める法令以上への対応には達していないことが挙げられます。

具体事例(国内)
  • 新たに策定した方針やルールの事例
     児童の不採用、若年労働者の保護、学生労働者の権利保護、宗教上の便宜、他
  • 法令以上の要求事項への対応事例
     週労働60時間以内、退出口へのアクセス、など

一方、海外ではさまざまな不適合が散見されましたが、国内外ともに、いずれも仕入先様の状況に応じた取り組みを進めていただくことで、着実に改善につながっています。

仕入先様との取り組み

仕入先様への周知・表彰制度

ムラタは、品質の向上・納期の改善・原価低減活動・技術革新への貢献のほか、CSR調達の実現に多大なるご協力をいただいた仕入先様に感謝状を贈呈しており、この表彰を通じて仕入先様へ感謝の意をお伝えするとともに、継続的な信頼関係の構築に取り組んでいます。

表彰の選考においては、評価項目ごとにムラタ独自の基準を設定し、1年間の実績で対象となる仕入先様を決定しています。2022年度は責任ある鉱物調達関して、安全性の高い製錬所へ調達先を変更するために、多くのコミュニケーションを図りながらご尽力いただいた仕入先様を表彰させていただきました。

仕入先様への周知・表彰制度のイメージ

環境課題に対するCSR調達

取り組み姿勢

人類社会の健全で継続的な発展のためには、地球環境の保護・保全が避けて通れない課題であることは世界各国の共通認識であり、環境保護に関する法令の整備が急速に進んでいます。このような背景のもと、ムラタでは会社の経営理念である社是の実践行動のひとつとして「村田製作所グループ EHS防災方針」を制定し、環境保全に取り組んでいます。

部材の調達活動においても「調達行動指針」に「環境に配慮した部材調達」を掲げ、環境負荷の少ない部材や環境配慮などに積極的に取り組んでいる仕入先様からの優先的な調達(グリーン調達)を推進し、サプライチェーン全体の環境負荷低減に努めています。

Link: 村田製作所グループ EHS防災方針

グリーン調達

製品の環境負荷低減のためには、環境負荷の低い部資材を調達する「グリーン調達」が必要です。ムラタでは仕入先様に、環境経営を実践していただくようご理解とご協力を求めています。

新規のお取引にあたっては、「ムラタグループサプライチェーンCSR調達ガイドライン」に基づき気候変動や環境汚染などの地球環境問題への取り組みをお願いしています。また、仕入先様の環境マネジメントシステム(ISO14001など)の認証取得状況を確認させていただくとともに製造現場における化学物質の管理状態を監査し、お取引の可否を判定しています。お取引開始後は、定期的にCSRチェックリストへ回答いただき、仕入先様での環境問題に対する取り組み状況や改善結果を継続して確認しています。

Link: グリーン調達

業界団体との連携

ムラタは「アーティクルが含有する化学物質などの情報を適切に管理し、サプライチェーンの中で円滑に開示・伝達する仕組みを作り普及させること」を目的とする「JAMP」(アーティクルマネジメント推進協議会)の発起人企業、および「JEITA」(一般社団法人 電子情報技術産業協会)の会員として参画しています。業界全体の仕組みづくりなど、個社では限界のある環境課題に対しては、業界団体と連携し積極的に取り組んでいます。

Link: JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)別ウィンドウで開く
Link: Member List別ウィンドウで開く
Link: JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)別ウィンドウで開く
Link: JEITA Members別ウィンドウで開く

人権・労働に関する取り組み

サプライチェーンにおける強制労働や児童労働などの人権リスクの関心が高まっております。ムラタでもこれらのリスクを低減するための取り組みとして、仕入先様にはガイドラインの遵守をお願いするとともに、「CSRアセスメント」を通じて、遵守状況をモニタリングし、必要に応じて是正を行っています。さらに重要既存仕入先様に対しては、CSRアセスメントを基に監査を行っています。第三者機関による監査を実施することによって、専門的、客観的に人権リスクを把握するとともに、その結果に基づき、ムラタと仕入先様と協議しながら改善を行っていきます。また、小規模採掘所における過酷な労働環境下での強制労働や児童労働などの人権侵害においては、ムラタは積極的に責任ある鉱物調達活動を推進し、お客様の要請に対して適切に情報開示を行っています。

Link: ムラタグループ人権・労働に関する基本方針
Link: 英国現代奴隷法に関する声明別ウィンドウで開く

調達BCP

ムラタグループでは、有事の際でもお客様への安定供給のため、日頃からお取引先様との連携を深めるとともに、以下の取り組みを進めています。

有事の事態

地震・津波、火災・水害などの広域災害や、事故、コンプライアンス違反、感染症などの不測の事態

BCP(事業継続計画)調達の取り組み
  • 有事に活用する情報の事前収集と迅速な初動対応
    有事の際、お取引先様の被災・安否状況と供給状況の確認のため、2次お取引様を含め、製造場所などの情報をデータベース化しています。
    特に緊急を要する自然災害においては、災害情報とともに、確認対象のお取引様をタイムリーに抽出するシステムを構築し、迅速な初動体制に取り組んでいます。
  • お取引先様のBCP/BCM調査
    お取引先様へはBCPの取り組み状況について調査するとともに、必要に応じBCP活動の推進を要請しています。

社内での取り組み

バイヤー教育の実施

サプライチェーン全体で持続可能な社会を実現していくためには、バイヤーがCSR調達の考え方を理解し実践することは不可欠です。ムラタではバイヤーを対象に調達活動に必要な教育の一環として、ガイドラインに基づいて、「人権、労働」「安全衛生」「環境」「情報セキュリティ」などの教育を配属時および年に1回実施しています。

Link: 人権の尊重
Link: 情報セキュリティ
Link: ESGデータ集

責任ある鉱物調達の推進

コンゴ民主共和国(DRC)およびその隣接国などの紛争地域および高リスク地域(以下CAHRAs)※1で採掘される3TG※2およびコバルト、マイカが、武装勢力への資金供与、強制労働や児童労働を含む人権侵害、環境破壊、資金洗浄などの不正行為につながることが懸念されています。ムラタは、コンゴ民主共和国(DRC)およびその隣接国などのCAHRAsにおけるAnnexⅡリスク※3に関与しないために、OECD Due Diligence Guidanceに基づいた適切な評価を継続するとともに、不正行為につながる可能性のある鉱物を当社製品に使用しないことを目指します。

責任ある鉱物調達対応方針

  • 1.

    村田製作所CSR憲章に基づいて、CSR調達活動の一環として取り組む

  • 2.

    当社製品に含有される対象鉱物について、「OECD Due Diligence Guidance」に準拠した管理の仕組みを構築する

  • 3.

    上記の仕組みを活用し、よりリスクの少ない部資材を使用する努力を継続することで、金/スズ/タンタル/タングステン/コバルト/マイカなどの当社鉱物サプライチェーンにおける武装勢力への資金供与防止や人権の保護、公正な取引の推進など当社使用鉱物の責任ある調達を推進する
    また、紛争地域および高リスク(CAHRAs)における紛争や人権侵害などAnnex Ⅱリスクに該当する企業からの調達は行わない

  • 4.

    業界団体との連携を密にし、業界標準に基づいた合理的かつ効率的な調査を、誠意を持って行う

  • 5.

    サプライチェーンを通じて入手した鉱物に関する情報は可能な限り早くパートナー企業様と情報共有する

推進体制

ムラタにおいては、企業の社会的責任(CSR)の一環としてこれを捉え、対応方針に基づき業界標準に準拠した調査および情報提供を行っています。
また社内体制として、代表取締役社長を委員長としたCSR統括委員会において、責任ある鉱物調達に対する活動内容やその進捗・課題について経営トップと共有化し意思決定を行っています。

推進体制図

取り組み内容

責任ある鉱物調達を推進するため対応方針を定め、自社製品に含有する対象鉱物のCAHRAsにおけるAnnex Ⅱリスクの有無について管理する仕組みを構築しています。サプライチェーン上の製錬・精製業者を特定するために業界標準であるRMAP※4に準拠した調査を行い社内基準に沿って評価し、リスクの高い製錬・精製所を使用している場合はそのリスク内容を仕入先様へ伝達するとともに、RMAP認証取得製錬・精製所への切り替えるなど是正を要請しています。
RMAP認証取得製錬所を使用していなかった仕入先様に対して何度もコミュニケーションを図り、RMAP認証取得製錬所を使用する調達先へ変更いただきました。

Link: 仕入先様への周知・表彰制度

また、ムラタはお客様から年間5,000件を超えるサプライチェーン情報の提供要請を受けていますが、仕入先様から回答いただいた結果に基づき、RMI※5が発行するCMRTおよび、EMRTによる報告を行っています。

OECD Due Diligence Guidance 5ステップに準じた取り組み

ムラタは自社製品に含有される3TGおよびコバルトなどにおいて、CAHRAsにおける人権侵害などのAnnex Ⅱリスクを低減するためOECD Due Diligence Guidanceに則り、以下に取り組んでいます。

OECD Due Diligence Guidance 5ステップ

ステップ1 強固な管理システムの構築
ステップ2 サプライチェーンにおけるリスクの特定と評価
ステップ3 特定されたリスクに対処するための戦略の構築と実施
ステップ4 独立した第三者による製錬/精製業者のデュー・ディリジェンス行為の監査を実施
ステップ5 サプライチェーンのデュー・ディリジェンスに関する年次報告

ステップ1 強固な管理システムの構築

  • ムラタは「責任ある鉱物調達方針」を定め、自社製品に含有する対象鉱物のCAHRAsにおけるAnnex Ⅱリスクの有無について管理する仕組みを構築しています。
  • 責任ある鉱物調達の取り組み内容と課題はCSR統括委員会において定期的に経営トップと共有化し意思決定を図っています。
  • 取り組み方針はウェブサイトなどで周知を図るとともに、お取引先様にはムラタの方針に基づく取り組みについて同意をいただいています。
  • サプライチェーン上の製錬/精製業者を特定するために、国内外の仕入先様に対して業界標準(RMAP)に基づく調査を行っています。
  • 仕入先様には毎年JEITA主催※6の責任ある鉱物調達説明会の案内状を送付し、業界最新動向や現状課題などに関する勉強会に参加いただいています。

ステップ2 サプライチェーンにおけるリスクの特定と評価

  • RMIの発行するCMRT、EMRTを利用した製錬/精製所調査を定期的に行っています。
  • 仕入先様へは第三者機関による監査プログラムで認証された製錬/精製所を使用していただくよう要請しています。
  • 調査では、3TGおよびコバルト、マイカの含有確認、原産国の確認、製錬/精製所の特定を行っています。
  • 仕入先様から報告された製錬/精製所情報や責任ある鉱物調達に関する管理体制に関して、社内基準に沿ったリスク評価を行っています。
  • 特定された製錬/精製所について、必要に応じてRMI監査レポートや、ウェブサイトなどからリスクにつながる情報がないかを確認しています。

ステップ3 特定されたリスクに対処するための戦略の構築と実施

  • 仕入先様にはムラタの責任ある鉱物調達対応方針に基づき、人権や紛争リスク軽減に向けた取り組みを要請しています。またリスクの高い製錬/精製所を使用している場合はそのリスク内容を伝達し、改善に向けた適切な対応を仕入先様と協議しながら進めています。
  • もし武装勢力との関係や人権侵害などAnnex Ⅱリスクに該当する企業との関係が明確になった場合は、取引停止に向けた検討を行います。

ステップ4 独立した第三者による製錬/精製業者のデュー・ディリジェンス行為の監査を実施

  • ムラタは個社では解決が難しい問題に対して、RMIおよびJEITA「責任ある鉱物調達検討会」の会員として業界レベルで取り組んでいます。
    一例として、業界主催の説明会での講師としての参加やRMAP未参加の製錬/精製所に対してその受審を促す働きかけなどを行っています。

ステップ5 サプライチェーンのデュー・ディリジェンスに関する年次報告

  • ムラタの責任ある鉱物調達における活動報告は、統合報告書に公開しています。

調査結果と課題

ムラタでは、最新のサプライチェーン情報を把握しておくため、仕入先様に対して定期的な調査を継続しています。これまでの紛争鉱物調査から、当社主力製品である積層セラミックコンデンサをはじめ、インダクタ、サーミスタ、セラミック発振子などは、すでにコンフリクトフリーであることを確認しています。2022年度の紛争鉱物調査では、3TGを取り扱う主要仕入先160社に調査を実施し、100%の回答率を得ました。また、コバルト調査では85社に調査を実施し、89%の回答率を得ました。以上の調査から、RMAP認証取得製錬所率は、全体で93%であることを確認しました。

2022年度 責任ある鉱物調達 調査結果

スズ タンタル タングステン コバルト 合計
RMAP認証製錬・精製所使用率 90% 96% 99% 92% 88% 93%

今回の調査を通じてムラタでは、大きく分けて3つの課題を認識しており、それらの課題解決にむけた取り組みを進めていくことが重要であると考えています。

テーマ:(1)RMAP認証製錬・精製所使用率について
<課題>
現時点で、RMAP認証製錬・精製所を使用していない仕入先様もあるため、当社のすべての製品においてAnnex Ⅱリスクに関与していないことを保証することが難しい。
<取り組み>
RMAP認証製錬・精製所を使用していない仕入先様への切り替え要求を継続して行う。サプライチェーンへのデュー・ディリジェンスが進んでいないと思われる仕入先様には、リスク評価の実践を要請していくことで、改善を促す。
テーマ:(2)コバルト調査回答率100%にむけた取り組みについて
<課題>
コバルト調査は法令対応ではないため、仕入先様から調査への協力が得られないケースがある。
<取り組み>
仕入先実務担当者様むけの説明会の実施や説明資料の配付を通じて、取り組みの背景や重要性を十分に理解いただき、調査への協力を促す。
テーマ:(3)仕入先様の紛争鉱物に関するデュー・ディリジェンスの実施について
<課題>
紛争鉱物に関する強固な管理体制が構築されていないことで、サプライチェーン全体でのデュー・ディリジェンスが進まないケースがある。
<取り組み>
書面での調査に加えて実地監査も行い、改善にむけたアドバイスを必要に応じて行うことにより、仕入先様の管理体制強化にむけたサポートを継続する。

業界活動を通じた課題への取り組み

ムラタはJEITA「責任ある鉱物調達検討会」、RMI※7などの業界のイニシアティブである団体に属し、業界全体の仕組みづくりなど個社では限界のある課題に対しても積極的に取り組んでいます。

取り組み①
コバルトにおいては現在もRMAPに参画していない精製所が多く存在しますので、JEITA「製錬所支援チーム」※8の一員としてRMAP未参加の製錬・精製所に対して受審を促す活動を行っています。

取り組み②
JEITA主催の「責任ある鉱物調達説明会」の運営に参加し、説明会を通じて仕入先様を含む多くの企業様と最新情報を共有し、取り組みの重要性について理解を深めていただくよう、教育・啓発を行っています。

責任ある鉱物調達説明会のイメージ

取り組み③
リスクが懸念される新たな鉱物について、RMAPのサポートが効率的に進むよう、問題点の整理や仕組みの提案などをJEITA検討会で積極的に議論しRMIへ提言しています。

  • ※1 

    Conflict Affected and High Risk Areas(紛争地域および高リスク地域)

  • ※2 

    スズ・タンタル・タングステン・金

  • ※3 

    紛争地域および高リスク地域からの鉱物の採掘、取引、取り扱い、および輸出に関連して発生する可能性がある重大な悪影響のリスク
    - 鉱物の採掘、輸送、取引に関連した人権侵害(児童労働など)
    - 非政府武装集団に対する直接的または間接的支援
    - 公的または民間の保安隊による不法行為(みかじめ料)
    - 贈収賄および鉱物原産地の詐称
    - 資金洗浄
    - 政府への税金、手数料、採掘権料の未払い(脱税)

  • ※4 

    Responsible Minerals Assurance Process
    RMIによる製錬・精製業者認定プログラム別ウィンドウで開く

  • ※5 

    RMI別ウィンドウで開く

  • ※6 

    JEITA「責任ある鉱物調達検討会」別ウィンドウで開く

  • ※7 

    RMI Members別ウィンドウで開く

  • ※8 

    JEITA製錬所支援チーム別ウィンドウで開く

マイカ(雲母)の調達に関する一部の報告書について

マイカの調達に関する一部の報告書を受け、調査を実施しました。詳細については以下リンクをご参照ください。

Link: マイカ(雲母)の調達に関連する一部の報告書について(PDF: 377KB)別ウィンドウで開く

仕入先様のための相談窓口

不正行為を相談できる窓口の設置

ムラタグループとの取引において、不正行為や法令・倫理違反、およびそのおそれのある行為があった場合、仕入先様が相談できる窓口を設置しています。
ムラタでは、実名または匿名で相談できる「専用相談窓口」をウェブサイト上に設置し、国内外から相談を受け付けています。また、国内では、取引開始時に仕入先様に対して当該専用窓口を案内しています。

ご相談は、ムラタグループ各社のコンプライアンス部門が受け付け、必要に応じて関係部門と連携の上、調査および是正に必要な措置をとります。
ムラタは、相談者の匿名性・プライバシーを保護するとともに、相談者が相談したことを理由として不利益な取り扱いをいたしません。
今後も仕入先様に相談窓口を周知し、利用を促すことで、コンプライアンスを強化していきます。

Link: コンプライアンスの推進について詳しく見る
Link: お取引先様(仕入先様)向け相談窓口