基本的な考え方
ムラタは、1994年に「資源エネルギーを浪費する製品を作らない、環境を破壊する生産方法を行わないことを常に意識し、環境との共生にむけて努力する」ことを誓い、省資源・再資源化に主体的に取り組んできました。国内埋め立て処分場のひっ迫への対策や、埋め立てによる土壌・海洋汚染を防止するために、2003年には国内でのゼロエミッション(埋め立てゼロ)※1を達成しました。
近年、世界的な人口増加と経済成長にともない、将来的な資源の枯渇リスクが高まっています。また、廃棄物の焼却による気候変動への影響や、資源採掘にともなう社会的影響も問題となっています。
そこでムラタは、資源循環の潮流をいち早く捉え、使用する部資材の持続可能な資源への切り替えや、製造過程で発生する有害廃棄物を含む廃棄物の循環資源化を推進しています。これにより、バージン材使用による資源の枯渇リスクや人権問題などの社会的影響、ならびに廃棄物処理に起因する気候変動などの環境負荷の低減に取り組んでいます。
なお、2022年度から「循環型社会の実現」を重点課題(マテリアリティ)に選定し、持続可能な資源利用率※2および循環資源化率※3を経営目標に掲げ、積極的に取り組みを推進しています。これらの取り組みを通じて自然資本の維持・向上を図り、循環型社会の実現を目指します。
Link: 環境のあゆみ
| 2030年目指す姿 |
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「持続可能な地球環境の実現」にむけ、ステークホルダーとの共創によってイノベーションを起こし、自社事業および社会に広げている状態
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| 中長期目標 |
| 2027年度目標 |
- 持続可能な資源利用率:16%
- 循環資源化率:41%
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| 2030年度目標 |
- 持続可能な資源利用率:25%
- 循環資源化率:50%
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| 2050年度目標 |
- 持続可能な資源利用率:100%
- 循環資源化率:100%
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| 2025年度実績 |
- 2025年度の持続可能な資源利用率は約15%※4、循環資源化率は39.0%でした。
- 業界を超えた連携により、工業用PETフィルムをPET原料であるBHET※5に再生する日本初の取り組みに参画しました。※6
- 業界初となるPETフィルムの水平リサイクルについて、処理量を拡大しスケール化を進めました。※7
- EMI(Electro Magnetic Interference)製品の主要部材である銀の水平リサイクルシステムの構築に、電子部品業界で初めて※8成功しました。※7
Link: 電子部品業界初、製品の主要部材として使用する銀の水平リサイクルを開始
- 廃棄物の分別徹底による有価物化および廃棄物削減に取り組みました。※6
- 施策の優先度を明確化し資源循環の取り組みを加速するため、一部資源の「持続可能な資源利用率」について、仕入先様から提供いただいた1次データに基づく集計を開始しました。
一例:銅の年間使用量192t、リサイクル材使用率38%※9
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| 現状の課題と取り組み |
- 自社だけでは実現できない資源の循環を実現するために、社外パートナーとの共創によりリサイクルスキームの構築、技術開発や効果検証を進めます。
- 持続可能な資源利用率と循環資源化率を向上するために、各事業部、事業所の先行事例の継続と展開を進めるとともに新規施策を実施していきます。
- データ品質を向上するために、仕入先様などとの連携やデジタル活用を進めます。
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- ※1直接埋め立てする廃棄物をゼロにするだけでなく、中間処理後の残さなども含めて埋め立てする廃棄物をゼロにすること。ただし、適切処理のため埋め立てを講じなければならない廃棄物を除きます。
- ※2持続可能な資源利用率:主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合のことです。
- ※3循環資源化率:ムラタの排出物(廃棄物+有価物)が循環資源化された重量割合のことです。
- ※4リサイクル材使用率の一般公開情報を活用して算出しているため、推定値です。
- ※5BHET:ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート
- ※6「循環資源化率」の向上に寄与する取り組みです。
- ※7「持続可能な資源利用率」と「循環資源化率」の向上に寄与する取り組みです。
- ※8電子部品の主要部材として使用する銀の水平リサイクルスキームの構築として。(2025年1月時点、当社調べ)。
- ※9年間使用量とリサイクル材使用率は、仕入量の多い部資材を中心に調査を行い、仕入先様から提供いただいたデータをもとに算出した値です。
リスクと機会
| 認識しているリスクと機会 |
- 利用可能な水資源や鉱物資源の減少による事業への影響
- 廃プラ規制などサーキュラーエコノミーの拡大
- 持続可能な調達への機運の高まり
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ガバナンス
ムラタは、環境マネジメントシステムに基づき、循環型社会の実現を含めた環境活動の推進を行っています。環境側面として廃棄物の再生利用や廃棄物管理に関するリスクと機会の特定や、法的およびその他の要求事項の確認、運用管理、教育訓練、内部監査、マネジメントレビューを行っています。
代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会と、常務執行役員を委員長とする環境委員会を半期に1度開催し、循環型社会の実現における方針策定、取り組み状況などの報告・審議を行っています。
Link: 環境マネジメント
戦略
ムラタは、従来から法令遵守はもちろんのこと、有害廃棄物を含む廃棄物のリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の3Rを基本とした取り組みを行ってきました。
今後もこれらの取り組みを継続するとともに、使用する部資材のリサイクル材への切り替えや、廃棄物のサーマルリサイクル量の削減を進めていきます。これにより、廃棄物による海洋汚染や気候変動、資源採掘による資源の枯渇リスクや人権・労働環境への影響など、環境・社会課題の解決に貢献します。
また、ムラタの強みである、部品の軽薄短小・高効率化・長寿命化に寄与する「技術力」と、材料開発・製品開発・生産技術・調達・品質管理・製造の各機能が高度に連携した「モノづくり力」を掛け合わせることで、部資材使用量の削減やリサイクル材の活用、廃棄物のリユース・リサイクルを推進し、資源の有効利用を実現します。
一方で、ムラタ単独での取り組みには限界があると認識しており、社外パートナーと共創し、リサイクルスキームの構築や技術開発を進めます。
これらの取り組みを支えるのは、従業員一人ひとりです。従業員向け研修や社内イベントなどを通して意識の醸成を図るとともに、共に取り組む仲間づくりを推進します。
持続可能な資源利用
製品に使用する部資材のうち、下記に該当するNiやAgなど24の資源のバージン材を使用しないことを目指します。
- ① 枯渇リスクの高い資源
- ② ステークホルダーから使用を禁止あるいは抑制を求められる資源
そのために、①や②に該当しない資源やリサイクル材の利用へ切り替えを行うなど将来に亘って持続的に資源を利用できるように事業活動を行います。
循環資源化
ムラタはこれまでゼロエミッションを掲げ、埋め立てしないことを重視し、有害廃棄物を含めた廃棄物のマテリアルリサイクルやサーマルリサイクル(熱回収)などの施策に取り組んできました。一方、近年は埋め立てしないことに加え、サーマルリサイクルもやめていくなど、より環境負荷の少ない処理をステークホルダーから求められているため、このような要請や社会動向を鑑み、2050年の世界でも世の中と調和した処理を目指します。そのために、製造過程で発生する排出物すべてを自社や他社の資源として再利用する「循環資源化」に取り組んでいきます。
持続可能な資源利用実現にむけたムラタの取り組みイメージ
事業プロセスを通じた取り組み
ゼロエミッション(埋め立てゼロ)
ムラタは、1994年に「資源エネルギーを浪費する製品を作らない、環境を破壊する生産方法を行わないことを常に意識し、環境との共生にむけて努力する」ことを誓い、省資源・再資源化に主体的に取り組んできました。この取り組みの中で、限りある地球資源を大切にし、環境への負荷を減少させるために、3R活動とゼロエミッション(埋め立てゼロ)を積極的に推進しています。ムラタでは、電子部品の原料製造や焼成・成型などの工程からさまざまな廃棄物が発生します。これらの廃棄物については、生産資材や工程の見直しを行い、廃棄物の分別と細分化を徹底しています。また、廃棄物処理業者と協力してリサイクル方法やルートの開拓も進めています。その結果として、2003年度には国内事業所で埋め立てゼロを達成しました。そして2024年度にはグローバルでリサイクル率(埋め立て以外)は98%となっています。
業界初のPETフィルム水平リサイクル
ムラタは、2022年に積層セラミックコンデンサ(MLCC)の製造で使ったPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを同じ用途のPETフィルムとして再利用するリサイクルシステムを電子部品業界で初めて成功しました。従来、MLCC用の使用済みPETフィルムはサーマルリサイクルやカスケードリサイクルを行っていました。このシステムの構築により、PET材料を長期間循環させることが可能になり、廃棄物の削減やCO₂削減に貢献することができます。また、PETというプラスチック資源を使用する企業としての責任を果たすため、PETフィルムという工業フィルムの枠を超えて、「PETが循環し続けられる社会」の実現を目指すプロジェクトに積極的に参画しています。
Link: 積層セラミックコンデンサPETフィルムの水平リサイクルを開始
Link: 業界を超えた連携でケミカルリサイクルの原料を非食品用途PETへ拡大
アールプラスジャパンへの参画
近年、プラスチックの大量使用にともなう気候変動への影響や海洋プラスチック問題は、世界共通の社会課題となっています。これらの社会課題を解決するために、ムラタでは、2024年に使用済みプラスチックの再資源化事業への取り組みを行う株式会社アールプラスジャパンに出資しました。同社が持つ「貴重な資源であるプラスチックが、永遠に循環しつづける社会をつくりたい」という共通の思いに共感し、ムラタは、パートナーとして当社が培ってきた資源循環に関する知見を活かし、自社工場で発生するプラスチック材料の再資源化を進めるとともに、環境配慮材料の導入にも取り組んでいきます。
廃棄物削減・循環資源化率向上の取り組み
Murata Electronics Singapore(Pte.)Ltd.では、2021年からめっき廃液処理において、従来の「沈殿処理」に代わる「膜」を使った装置(MDU: Membrane Distillation Unit)を導入しています。この廃液処理システムは、栗田工業と共同で構想した新技術が使用されており、「逆浸透膜」と「蒸留膜」を組み合わせた処理を行うことで、現在のめっき廃液を60倍まで濃縮することが可能です。この処理方法では、処理過程で化学物質を一切使用しないため、廃液に新たな汚染物質が混入することがありません。また中間廃棄物は回収され、新しい製品として再利用されるため、リサイクル率向上や循環型経済に貢献しています。
製品・サービスを通じた取り組み
環境負荷に配慮した製品 - メトロサークTM
資源の有効活用を推進し、製品のライフサイクル全体における環境負荷の低減に貢献するために、メトロサークTMで使用される内層銅箔材料において、仕入先様と連携して実用化し、リサイクル材100%の活用を実現しています。本材料は、「環境に配慮したリサイクル100%品であること」について、第三者機関による検証にもとづき、環境負荷低減を表示する環境ラベルの国際規格であるISO14021に適合していることの証明を受けています。
「軽薄短小」に基づき、環境負荷低減を実践するMLCC製品
ムラタは、部品の軽薄短小・高効率・長寿命化に寄与する「技術力」を追求し、幅広い市場へ製品を供給してきました。特に、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の軽薄短小技術の開発は、社会のニーズに応え、人々の生活の利便性向上や持続可能な資源利用に貢献している重要な成果です。この技術によって、製品で使用する材料を大幅に削減し、限られた資源をより効率的に利用することが可能となります。
Link: 「軽薄短小」に基づき、環境負荷低減を実践するMLCC製品
環境に優しい包装形態
ムラタは、チップ部品をテーピング包装しリールに巻いて出荷しています。これらのテーピングやリールは紙やプラスチックなどで構成されており、使用後は廃棄物として処分されています。こうした包装材に用いられるプラスチックや、使用後の廃棄物処分にともなう環境への影響が課題となっています。
そこで、ムラタは包装時の製品間隔を狭くすることで、包装材料の使用量を大幅に削減しました。一部の積層セラミックコンデンサ(MLCC)では、材料使用量を50%削減することに成功しました。
これにより、紙・プラスチックといった資源や廃棄物の削減に加え、CO2排出量や水資源使用量の削減、さらには部品の補給回数の削減による生産ラインの効率向上にも寄与しています。
Link: 環境に優しい狭ピッチテーピング(0603M/1005M/1608Mサイズ対応)
循環インフラ「P-FACTS」(ピーファクツ)
ファッション業界では、使用済みアパレル製品のほとんどが焼却または埋め立て処分されており、これが気候変動をはじめとする大きな環境問題を引き起こしています。この問題に対処するため、ピエクレックスは環境配慮材料※から作られた地球に優しい「電気の繊維」を提供し、最終的にはこれらが土に還り、堆肥として次の植物を育てる真のサステナブルファッションである「P-FACTS」を提供しています。アパレルや繊維メーカーとの協力を通じて、「堆肥化できる素材で構成された製品づくり」を推進しています。
また、「地域で使用し地域で再利用する」という“地着地消地循”のコンセプトに基づき、使用後の製品を透明性高くかつ確実に「回収」、「分別」、「堆肥化」し、最終的には農業や林業でその堆肥を利用します。
製品は綿やプラスチックなどから構成されており、プラスチックは環境配慮材料を100%使用しています。この取り組みにより、アパレル製品の焼却や埋め立て処分の削減を図るとともに、CO2排出量削減にも寄与します。
<製品例>
- ピエクレックス クルーネックTシャツ 半袖(薄手):綿70% / プラスチック30%
- ピエクレックス フェイスタオル:綿87% / プラスチック13%
- ※環境配慮材料:リサイクル材およびバイオ由来プラスチックを指します。
Link: 誰もが気軽に環境貢献を感じられる循環インフラ「P-FACTS」
廃棄食品の有効利用~セラミック材料製造のプロセス技術とバイオテクノロジーとの融合~
現在、食品の廃棄は資源の無駄遣いに直結し、この廃棄処分の過程における温室効果ガスの排出などの環境問題を引き起こしています。この様な社会課題を解決するために、ムラタでは廃棄食品や農業残さなどの未利用バイオマス資源を酵素によってエタノールに変換する技術を開発しています。今まで電子部品製造で培った無機・有機材料製造の高効率プロセス技術を活用しています。同技術の実用化には、未利用バイオマス資源を供給する食品会社や農業法人、生産したエタノールを活用する企業と連携しながら実現していく予定です。
使用済み製品の回収と資源循環の推進
製品のライフサイクル全体を通じて資源を有効活用することは、持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みです。
ムラタは、契約のもと国内で販売した製品を対象に回収・リサイクル体制を整備し、使用済み製品を適切に分別・処理しています。これらの取り組みにより、廃棄物削減と環境負荷低減を推進しています。
クリーンテック・グリーンテック領域での事業創出
製造の現場で築き上げた環境技術と知見を、企業・地域とともに社会へ広げ、資源循環と脱炭素を”実現できる選択肢”として届ける取り組みを進めています。
Link: クリーンテック・グリーンテック
廃棄物管理
廃棄物の適切管理
1. 社内管理
- リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の3Rの取り組みを通して、廃棄物の削減やリサイクル率(埋め立て以外)の向上などのパフォーマンス改善に継続して取り組んでいます。
- 定期的な教育や、グループ内監査で各生産拠点での廃棄物管理状況の確認を通して、法令遵守や事故防止のための適切な廃棄物の分別、保管状況を確認しています。
2. 社外管理
- 廃棄物の処理委託前に現地視察を行い適切な処理が可能と判断した業者へ委託しています。さらに、定期的に委託業者の現地視察を行い管理状況が維持されていることを確認しています。
- マニフェスト(廃棄物管理票)により排出した廃棄物が適切に処分されていることを確認しています。
3. 災害への備え
- 自然災害により委託業者に被害が出た場合、廃棄物を排出することができなくなり、生産活動を止めなければならないリスクがあります。このリスクを回避するために、複数の処理ルートを確保し、生産活動に影響が出ないようにしています。
廃棄物パフォーマンス
2025年度は、生産量が増えたため、全体の廃棄物量は増えましたが、原単位はほぼ横ばいとなっています。
Link: Murata value report(統合報告書):持続可能な資源利用
Link: 第三者保証
廃棄物総排出量と売上高原単位の推移
廃棄物排出量(種類別)の推移※1
廃棄物排出量(処分別)の推移※1
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※1
単位未満を四捨五入しているため、内訳と合計が一致しない場合があります。
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※2
有害廃棄物:各国で定義が異なります。日本では特別管理産業廃棄物を指しています。
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※3
日本では2003年度から埋め立て量ゼロを維持しています。ただし、適切処理のため埋め立てを講じなければならない廃棄物を除きます。