環境

化学物質管理

ムラタの化学物質管理

ムラタは、持続可能な社会システムを目指して、地球環境への負荷が少ない製品の提供に努めています。
「化学物質に関するグローバル枠組み(GFC: Global Framework on Chemicals - for a planet free from harm of chemicals and waste)」を念頭に、RoHS指令やREACH規則などの法令遵守はもとより、環境負荷物質のグローバル・トレンドやお客様からのご要求を取り入れた社内基準を設け、下表のような目標と施策を設定し、下図のような管理体制で、製品に含有する環境負荷物質の削減・禁止、環境負荷のより少ない代替品の研究開発に積極的に取り組んでいます。

目標と実績

目標
  • 製品含有化学物質に関するコンプライアンス違反件数:0件
  • 製品に含有する環境負荷物質の積極的削減
2025年度~2027年度の
重点取り組み
  • 化学物質管理のガバナンス強化を図ること。
  • 環境負荷物質に関わる最新の科学的知見や社会動向の変化を早期に捉え、法規制やお客様要求などに対して適合する取り組みを遂行するだけでなく、積極的に社内基準化を行い、製品の環境配慮設計を推進すること。
  • サプライチェーンを跨ぐ、化学物質管理に関わる情報トレーサビリティを確保する取り組みへの参画と推進すること。
2025年度実績

<製品含有化学物質に関するコンプライアンス違反件数:0件>

  • 製品含有化学物質に関するコンプライアンス違反件数は0件でした。
  • 最新動向を踏まえて内容を更新した化学物質管理の社内教育を継続しています。

<製品に含有する環境負荷物質の積極的削減>

  • ムラタでは継続的に法規制動向を監視しており、その法規制を考慮し、年に1回環境負荷物質の社内基準を更新しています。また、REACH規則の高懸念物質(SVHC)は更新時に適時反映しています。

    物質ランク ランクの定義
    禁止
    • 法令や国際条約などで調達/輸入/製造/使用/保管/提供/販売が禁止されている、または、大きく制限されている物質
    • 社会的に削減の方向にある物質
    削減準備

    禁止物質には該当しないが有害性は低くなく、かつ下記のいずれかを満たす物質

    1. 代替化が容易な物質
    2. 生産拠点所在国が削減・管理を勧奨・要請する物質
    3. 一部業界で代替の方向にある物質
    監視 禁止・削減準備に該当しないが監視すべき物質

    環境負荷物質の推移

    物質ランク 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
    禁止 110 113 119 128 130
    削減準備 54 52 52 50 49
    監視 61 61 61 64 64
  • 社内基準の見直しを進め、2025年10月に基準の更新を完了しました。ストックホルム条約POPRC20で廃絶勧告されたクロルピリホス、中鎖塩素化パラフィン(MCCP)、炭素数9~21の長鎖ペルフルオロカルボン酸について廃絶・代替を完了しました。
  • 2026年10月での社内基準の更新にむけて、規制対象物質の選定と社内基準変更の議論を開始しました。改定内容は各国法令や得意先要求の動向を踏まえ、技術部門との討議および妥当性評価のもと素案を策定し、その後各事業部との定期的な討議の上決定しています。
  • PFAS類は有用な特性を持つ一方、その一部には難分解性や環境残留性などの課題が指摘されています。当社はPFOS、PFOAなど高懸念の特定PFASを国際条約や各国法に先行して廃絶し、その他のPFASについても全社的な管理を強化しています。2025年までに物質特定と使用実態の把握を完了し、責任ある化学物質管理とガバナンスのもと、環境・人への影響低減を継続的に推進しています。
  • ※年度によらない不変的な目標として設定しています。

管理体制

製品が規制を上回る環境負荷物質を含まないように設計し評価する仕組み(製品アセスメント

開発

部資材の成分情報を仕入先様から入手認定された部資材のみ購入できる仕組み(グリーン調達

調達

製品に環境負荷物質が付着しないように、製造装置などの検証を実施し評価する仕組み

製造工程

禁止物質を含む製品は、許可が得られたお客様以外に出荷ができない仕組み

出荷

さらにムラタは、環境負荷物質の法改正にも先回りの対応を実施しています。
残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants:POPs)に関するストックホルム条約(通称:POPs条約)は、代表的な環境負荷物質削減・廃絶の国際協調枠組みです。2023年5月に開催された、その第11回締約国会議(COP11)では新たに「デクロランプラス」が附属書A(廃絶)に追加されました。ムラタは2000年代前半より塩素を含む難燃剤の環境懸念に着目して自主的な使用制限に取り組んでおり、その結果として速やかに「デクロランプラス」の廃絶・代替を完了しました。

社内基準
Link: 製品に含有する環境負荷物質の規制表(一部抜粋)

ムラタでは製品に含有する化学物質の管理だけでなく、製造プロセスで使用する化学物質の管理も行っています。

環境汚染物質の管理

ムラタは、国内事業所で取り扱っている化学物質に関する情報を登録したデータベースを構築し、個別の化学物質の使用実態を容易に把握管理できるシステムを運用しています。

「特定化学物質の環境への排出量の把握等および管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」における排出・移動量の算定の際には、このシステムを利用して算出を行っています。

この法律における報告対象物質515物質群のうち、2025年4月1日から2026年3月31日に国内グループ全体において1t以上の取り扱いがあったものはトルエン、ニッケルなど38物質群でその量は以下の通りです。

PRTR物質の使用量と排出・移動量(国内合計)

作業者のばく露リスク低減のための洗浄用途化学物質の管理

製造プロセスで使用される化学物質に含まれる成分の一部は人体に悪影響を及ぼすことが知られています。特に洗浄用途で用いられる化学物質は、作業者が長期間かつ高濃度にばく露される可能性があるため、健康被害のリスクが懸念されています。
一般的に、リスク低減対策には、除去・代替・工学的対策・管理的対策といった優先順位の考え方があります。
ムラタでは従来から、工学的対策として局所排気などの作業環境の整備、管理的対策として保護具の着用などを実施し、作業者のばく露リスク低減に取り組んできました。
これらの取り組みに加え、さらなるリスク低減を図るため、2022年度から除去・代替の考え方を取り入れた取り組みを進めています。化学物質管理に関する国際的なイニシアティブであるClean Electronics Production Network(CEPN)の考え方を取り入れ、洗浄用途で使用されるばく露リスクの高い9物質の使用および含有禁止を社内基準として定めました。
2025年度末時点では、現行の技術レベルで代替可能な対象化学物質については使用・含有を終了し、代替品への移行を完了しています。
今後は、除去や代替に向けたさらなる技術開発を進めるとともに、これまで実施してきた工学的対策や管理的対策も継続し、総合的なアプローチでばく露リスクの低減を図っていきます。

※Link: 洗浄用途化学品への含有規制対象9物質

社内基準
Link: 工程で使用する環境負荷物質の規制表

グリーン調達

ムラタは、人類社会の持続的発展には地球環境の保護が不可欠であると認識し、「EHS防災方針」に基づいて環境負荷の低減(E)、健康・安全の確保(H・S)、および防災活動の推進に取り組んでいます。調達部門では、環境負荷の少ない部材を調達する「グリーン調達」を推進しており、その実現には仕入先様の理解と協力が必要です。2005年10月に発行した「グリーン調達基準書」により、仕入先様への要請事項を明確にし、この基準に同意いただける仕入先様との長期的な関係構築を目指しています。
なお、具体的には、以下の5つのStepを踏むことで、「グリーン調達」を推進しています。

Step 1:ムラタグループの環境方針展開
製品の環境負荷低減のためには、環境負荷の低い部材を調達する「グリーン調達」が必要です。
ムラタでは、お取引開始時にグリーン調達の考え方や仕入先様への要請事項などをまとめた「グリーン調達基準書」を配付し、仕入先様のご理解とご協力を得ながらグリーン調達を進めています。なお、改定の都度、当社仕入先様使用システム及び当社仕入先様専用ポータル経由で最新版を連携しています。

Link: グリーン調達基準書 本文
Link: 製品に含有する環境負荷物質の規制表(一部抜粋)
Link: 工程で使用する環境負荷物質の規制表

Step 2:仕入先様との契約書取り交わし
グリーン調達基準書で提示しているムラタが定める含有物質基準をご理解いただいた上で、「環境保全への取り組みに関する同意書」を提出いただいています。こちらは、新規仕入先様の採用を判断する項目の一つになります。

Link: 環境保全同意書のフォーマット

Step 3:CMS監査 / 評価の実施
新規のお取引にあたっては、「ムラタグループサステナブル調達ガイドライン」に基づき気候変動や環境汚染などの地球環境問題への取り組みもお願いしています。また、仕入先様の環境マネジメントシステム(ISO14001など)の認証取得状況を確認させていただくとともに製造現場における化学物質の管理状態を監査し、お取引の可否を判定しています。お取引開始後も、定期的に仕入先様での化学物質の管理状況や、環境負荷の取り組み状況を評価し、評価結果の低い仕入先様に対しては改善要求や実地監査での指導を行っています。

Step 4:グリーン度調査の実施
ムラタでは、部資材を採用する前に、一品一品について「グリーン度調査」を実施しています。
その際の基準として、法規制やお客様の要請に沿って使用の禁止・削減を定めたムラタ独自の技術基準を用いています。
仕入先様から提出いただいた部資材の含有物質情報に基づき専門スタッフが審査し、認定したものを環境情報データベースに登録します。

Step 5:認定した部資材のみを発注できる仕組みの構築(購買牽制システム)
環境情報データベースに登録された部資材のみを発注することができる「購買牽制システム」を導入し、認定された部資材のみをムラタ社内に持ち込める仕組みを構築しています。