高周波・通信

主な製品

表面波フィルタ/高周波モジュール/多層デバイス/コネクタ/コネクティビティモジュール/樹脂多層基板など

表面波フィルタ(SAWフィルタ)

 

事業機会

  • 5Gによる新たなアプリケーションや通信端末の誕生と拡大
  • IoT機器への無線通信機能付加
  • フィルタの高周波化・複合化・小型化

強み

  • 豊富な製品ラインアップ、高いシェア
  • 優れた特性(高周波・広帯域・高減衰・低挿入損失・小型化)
  • 安定した品質
  • 業界最大の生産能力と安定した供給力

リスク

  • 米中関係の変化によるお客様や部品サプライヤーの動向
  • 競合他社との競争激化および低価格メーカーのSAWフィルタ市場への参入

SAWフィルタは、圧電基板上を伝わる弾性表面波を利用して、特定の周波数帯の電気信号を取り出すフィルタです。無線通信において各種機器がスムーズに遅延なく通信するためには、必要な周波数帯だけを損失を抑えて通過させ、不要な周波数帯のノイズを十分に落とす減衰特性を持った高性能なフィルタが求められます。フィルタにはさまざまな種類がありますが、ムラタが手がけるSAWフィルタは高減衰・低挿入損失・小型化が実現できるため、スマートフォンでの使用に最も適したフィルタです。

最近ではIoT化の広がりによりスマートフォン以外のさまざまなアプリケーションにも無線通信機能が搭載されるようになっています。対応する周波数帯もセルラー、Wi-Fi®、Bluetooth®、GPSなど多岐にわたっており、スマートフォンとあわせてフィルタの需要は増え続けています。また5G化にともない、搭載される周波数帯の組み合わせがより複雑になること、Sub-6GHzの周波数帯の利用が増えることにより、小型・複合・高周波化の要求は高まる一方であり、ムラタとしてこれらの要求にいち早く対応していくことでSAWフィルタでのビジネス拡大を図っていきます。

ムラタは独自技術を創出できる研究開発体制や、多くのお客様からの受注に対応できる生産体制、安定した品質を提 供できる品質管理、全世界をシームレスにサポートする販売網を駆使し、業界を長くリードし続けています。現在は業界最大となる生産能力を保有し、通信用SAWフィルタにおいて50%の世界シェアを獲得しています。

これからの市場ニーズに応えていくため、お客様の要望を的確に把握したうえでムラタ独自のI.H.P.技術やTC-SAW技術に加えて、新規技術のアライアンス強化も進め、優れた製品特性と小型・複合化を加速させることでお客様満足を実現していきます。今後の製品ラインアップにおいても同業他社との差異化を図り、また経済動向が激しく変動する中でも需給バランスに対応した最適な供給体制を維持構築し、より良い製品を提供し続けることで社会と産業の発展に貢献していきます。

高周波モジュール

 

事業機会

  • 5Gの普及による周波数帯の増加、通信技術の高度化
  • 電子部品のモジュール化・小型化

強み

  • キーデバイスの内製とパッケージ技術
  • 販売および技術サポート網を活用した顧客動向の把握と製品提案力
  • 一貫生産によるビジネススピードおよび安定した品質と供給力

リスク

  • 米中関係の変化によるお客様や部品サプライヤーの動向
  • 低価格モジュールメーカーの市場参入

高周波モジュールは、無線機器のコミュニケーションをつかさどるアナログ高周波回路を、各種キーデバイスを小型のパッケージに集積することによって実現する、多機能かつ高機能な電子部品ユニットです。高周波を必要な信号とノイズに分波・峻別する表面波フィルタやLCフィルタといった受動デバイス、送信回路の高出力増幅器(PA)、受信回路の低歪増幅器(LNA)、アンテナ切り替えスイッチ(Switch)といった半導体デバイスから構成されており、スマートフォンやタブレットPCなど、さまざまな無線機器で採用されています。

モジュールを構成する各種キーデバイス、およびモジュール化するためのパッケージ技術は自社開発しています。表面波フィルタやLCフィルタなどの受動デバイス、LTCC基板などの独自パッケージ技術は、2000年代初頭から高周波モジュールのビジネスを牽引してきました。また、PAやLNA、Switchなどの半導体デバイスは、ルネサスからのPA事業の譲受、pSemi(旧:PeregrineSemiconductor)の買収などにより社内技術として取り込み、以前からの強みであった受動デバイス、パッケージ技術と融合させることで高周波モジュールビジネスを拡大しています。

これらキーデバイスを自社開発しているため、一貫生産が可能となり、性能面だけでなく、生産能力、品質という面においても、高い競争優位性を保持しています。また、ムラタの全世界に広がった販売網、技術サポート体制により、市場やお客様の要望をいち早く新製品開発にフィードバックすることができ、そのスピードも用途特化型の高周波モジュールビジネスにおける強みとなっています。

「高速大容量通信」、「多数同時接続通信」、「低遅延リアルタイム通信」を可能とする5Gの登場により、4Gまでのマルチバンド化やキャリアアグリゲーションに加え、さらなる高周波化、周波数帯域の拡大、そしてデュアルコネクティビティを実現する高周波モジュールが必要となります。また、無線機器の小型・高機能化により、電子部品のモジュール化の進展がさらに期待されます。

5Gならではのメリットは、IoT機器の多様化を促進し、生活や仕事に多くの利便性をもたらすと予想されます。このIoT機器の拡大により、スマートフォンやタブレットPCといった通信市場に特化したお客様だけでなく、これまで関わりのなかった新しい市場のお客様とのビジネスチャンスが広がると考えています。

さらにBeyond5Gとも呼ばれる6G時代では、「超低消費電力」、「超高信頼通信」が要求されます。グローバル競争で生き残っていくため、これまでムラタが培ってきた「高い技術力」と「高品質なモノづくり」を強化していきます。ムラタは、市場やお客様の将来ニーズをいち早く見極めるとともに、自社の競争優位性を活かし、最適な高周波モジュールを提案していくことで、お客様に貢献していきます。

コネクティビティモジュール

 

事業機会

  • 5Gの普及・拡大
  • Beyond 5Gの検討本格化
  • IoT社会の進展により自動車やさまざまな機器が無線通信を搭載

強み

  • 独自の樹脂多層基板を活用したミリ波モジュール
  • 小型・高性能・高信頼性を実現する設計技術
  • 接続性を向上させるソフトウェア技術

リスク

  • 競合他社との競争激化
コネクティビティモジュールは、さまざまな機器間を無線で接続する際に欠かせない複合部品です。我々の生活において身近な、スマートフォン、タブレットPC、デジタルカメラやエアコンなどの家電、カーナビゲーションなどの車載機器などに搭載され、写真や音楽をインターネットからダウンロード・アップロードや、自動車内におけるハンズフリー電話に活用されるなど、さまざまな場面で活躍しています。

通信市場では、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるIoT化が急速に進む中、Wi-Fi11ax、セルラーLPWA(Low Power Wide Area)、UWB(Ultra Wide Band)、ミリ波などの新たな無線通信規格の広がりも期待されています。自動車市場においても、無線通信機能の搭載や進化が年々進んでおり、インフラとつながるV2X通信、レーダー技術を活用した車室内検知といった用途も広がりを見せています。

5Gのミリ波帯を用いた通信では、ムラタは独自の樹脂多層基板、高性能IC、アンテナなどを組み合わせた複合化技術を活用し、小型で伝送ロスが少ない通信モジュールを提供することができます。世界各国では、ミリ波を活用した通信サービス提供の計画が進みつつあり、また早くもBeyond 5G(6G)の規格も議論されはじめています。世界のあらゆるものがより高速通信でつながることが可能な世界において、コネクティビティモジュールが活用される場面はさらに広がっていくと予想されます。

これまで大きな成長を遂げてきたスマートフォンも今後は台数成長の鈍化が見込まれ、同時に競合他社との競争が激化しています。このような状況の中において、ムラタのコネクティビティモジュールは、独自の樹脂多層基板技術、小型・高性能・高信頼性を実現する設計技術、接続性を向上させるソフトウェア技術などの強みを活かし、5Gや新しい通信規格、データ通信以外の用途への無線技術の活用など、さまざまな変化に対応した製品・価値をいち早く供給し続け、お客様に1番に選ばれるパートナーシップを築いていきます。また、今後さらに多様化する環境・ウェルネスといった事業機会においても製品の提案を行い、社会課題解決や環境負荷低減にも貢献していきます。

樹脂多層基板(メトロサーク)

 

事業機会

  • 5Gに代表される高周波通信市場の拡大
  • 低吸水性、形状保持特性など、メトロサークの特性を活かした顧客課題解決

強み

  • 高周波での低伝送ロス性能
  • 複雑な曲げ加工ができる屈曲性
  • 高多層、低吸水性

リスク

  • 競合他社との競争激化
  • お客様の設計変化にともなう需要変動

メトロサークは、LCP(液晶ポリマー)シートを積層した樹脂多層基板です。優れた高周波特性を有し、きわめて低い吸水性により安定した性能の基板を実現できるとともに接着層が不要なため薄型で複雑な曲げ加工にも対応できる点などが特長です。また、ムラタの持つ一括積層技術を用いることにより高多層化することができ、自由度の高い設計が可能です。LCPシートに銅箔シートを挟むことで回路設計が可能で、伝送線やコイルなどの機能部品として、スマートフォンやウェアラブル機器などに採用され、機器の小型・薄型化、高性能化、低消費電力化に貢献しています。

普及が進みつつある5Gでは、40GHzを超えるミリ波など超高周波が用いられるため、メトロサークの特長である、超高周波での低伝送ロス性能を活かせるミリ波伝送線への適用が進んでいます。また、使用される周波数が高くなる程、伝送ロスに関して競合技術に対する優位性が顕著にみられることから、幅広いお客様にメトロサークが選ばれる機会は今後ますます増えていき、激化する競争環境の中でもリードしていけると考えています。

高周波特性・高多層の特長を活かし、モジュール基板への応用も進んでいます。ミリ波モジュールでは、メトロサークを使いL字型にすることで、2方向へのアンテナ指向性を実現でき、モジュールの競争力強化に貢献しています。今後、5Gを利用するデバイスが増えるにつれ、お客様の高周波通信における課題も増えますが、メトロサークはお客様の設計や課題に応じてさまざまな提案が可能です。

また、LCPは吸水性が非常に低い材料であるため、アンテナなどの共振を利用する用途では高い安定性を実現できます。最近ではUWB(Ultra Wide Band)がスマートフォンに内蔵され、その高精度測位・測距を活かしたデジタルキー認証に使用されるケースが出てきており、市場拡大が見込まれます。周波数安定性の高いメトロサークはUWBにおいてもアンテナ用途として非常に適しています。

高性能材料と培ってきた積層技術、高周波技術をベースにしながら、ムラタならではのアイデアを加えていくことで、お客様の課題解決により一層貢献していきます。

  メトロサークを基板に使ったミリ波モジュール