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村田製作所と安永が電子機器向け放熱部品「ベイパーチャンバー」用に新しい材料を用いたウィックを共同開発

2023/05/10

株式会社村田製作所
代表取締役社長　中島規巨

村田製作所（本社:京都府長岡京市、代表取締役社長:中島規巨)と株式会社安永（本社:三重県伊賀市、代表取締役社長:安永暁俊、以下、「安永」）は、電子機器向け放熱部品「ベイパーチャンバー」用に新しい材料を用いたウィックを共同開発しました。
新しい材料を用いたウィックは、小型電子部品の設計ノウハウを有する村田製作所と優れた微細金属加工技術を有する安永との第一弾となる共同開発品です。次世代デバイスの熱問題解決に向けた製品作りのため、両社は今後も協業関係を強化していきます。

電子機器の高性能・大容量・高速化によるデータ処理量の著しい増加にともない、熱対策が必要不可欠となっています。特に近年、スマートフォンやウェアラブル端末、ゲーミングPCに小型・薄型化が求められるようになり、電子機器内の局所的な熱発生を速やかに拡散できる超薄型の熱拡散デバイスとして、ベイパーチャンバーの搭載が進んでいます。

今回、安永が独自開発した微細形状加工箔に村田製作所の設計ノウハウを組み合わせることで新しいウィックを開発しました。ウィックを搭載したベイパーチャンバーはCooler Master社により製造・販売されます。

ベイパーチャンバーの構造とウィックについて

ベイパーチャンバーは、薄い金属箔を貼り合わせた筐体（コンテナ）の中に、作動液（水）とウィックを封入した熱拡散デバイスです。熱源で生じた熱を受けて作動液が蒸発し、蒸気がベイパーチャンバー内部で拡散することで放熱を行います。放熱が行われると、蒸気は液体として再度凝縮し、微細な隙間を備えたウィックにより、再び熱源まで循環する構造となっています。

これまでウィックには、金属メッシュ、金属粉焼結が使用されることが一般的でしたが、新しいウィックには、安永が独自開発した微細形状加工箔を用いています。
下図は新しいウィックと従来ウィック（金属メッシュ）をベイパーチャンバーに組み込んだ時の性能を表したものです。新しいウィックは、従来ウィックに比べて数倍の毛細管力を有するため、ベイパーチャンバーのさらなる高性能化、薄型化が可能になります。

新しいウィックを用いた成果として、厚み200μm未満の超薄型ベイパーチャンバーの開発に成功しました。超薄型構造でありながら、スマートフォンに求められる入熱量に対しても高い均熱特性を達成しています。

村田製作所新商品事業化推進部部長武藤悟は、次のように述べています。
「安永社の持つ微細金属加工技術を当社開発のウィック設計に活かし、Cooler Master社を通じて超薄型ベイパーチャンバーを提供することができ、大変うれしく思います。今後、通信市場において電子機器の高機能化はますます進み、放熱ソリューションの必要性は高まっていきます。さらに連携を強化し、強力なコア技術に支えられた熱ソリューション商品を提供し、快適なエレクトロニクス社会を実現していきます。」

株式会社安永代表取締役社長安永暁俊は次のように述べています。
「今回の共同開発を発表するに至り、誠にうれしく感じています。安永は10年以上にわたって微細金属加工の研究開発を行い、世界一の技術レベルに育んでまいりました。今般、両社の強みを合わせて、革新的な「ウィック」を生み出す事が出来ました。今後の情報化社会において、電子機器の熱マネジメントに欠かせない製品を拡大させて、人々の生活の豊かさに貢献してまいります。」

ムラタについて

村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。

株式会社安永について

安永は、自動車、産機、建機、農機、マリン、レジャー向けエンジン部品の製造、及び工作機械、ワイヤソー、検査測定装置などの機械装置の開発・製造・販売を行うメーカーです。蓄積された技術やサービスでの社会貢献に加え、微細形状加工などの独創的なコア技術開発と市場提案を積極的に行う事で、社会文化の豊かさに貢献していきます。