水晶タイミングデバイスの商品設計

ムラタの水晶タイミング
デバイスの独自性

ムラタは、圧電現象を利用した商品を多く手がけてきました。水晶タイミングデバイスも水晶の圧電現象を利用したものです。これまでの圧電商品で培った技術を水晶に適用することで、水晶の優れた特性を活かしながら、これまでにない新しい価値が生み出せるようになりました。


ムラタでは長年、セラミック発振子: セラロック®を供給していますが、いっそう高い精度のクロック要求に応えるために小型の水晶振動子を開発しました。2009年には一般民生市場向けのHCR®XRCGBシリーズ、2013年に車載用ECU向けのHCR®XRCHA-F-Aシリーズ、そして無線通信用途向けのXRCMDシリーズの量産を順次開始しています。最大の特徴は、パッケージにセラロック®で長年実績のある独自の"Cap Chip"構造を採用したことです。これにより、高い生産性と供給安定性を実現しています。Cap Chip構造はセラミック平板と金属キャップを用いますが、キャップは、金属の靱性を活かして強度を確保できる極小の肉厚が設定できます。したがって、内部面積が大きくでき、大面積の水晶ブランクの搭載が可能となります。このため、同一サイズの一般的な水晶振動子と比べてESR (Equivalent Series Resistance) を低減しやすくなります。低ESRであるほどICと水晶振動子のマッチングを容易にとることが可能となり、回路設計において大きなメリットとなります。また封止方式については、HCR®は、セラミック平板と金属キャップの接合にセラロック®で実績のある接着剤を用いています。樹脂封止は低コストですが、高湿度環境においては水蒸気が透過するため、結露に敏感な水晶においては敬遠されてきた方式です。しかしムラタは、特定の条件では実使用上問題にならないことを見出しました。これは、パッケージ内の空間容積が限られる場合、透過する水蒸気量が制限され結露量が極小化されるという現象を利用したものです (特許第4458203号) 。さらには、水蒸気が透過するという構造の特質を利用し、発振不具合要因の一つであるパーティクルを製造ラインで検知し排除する方法を確立しました (特許第4998620号) 。その他の対策も盛り込むことで、HCR®ではパーティクル内在率を低減させています。

一方のXRCMDシリーズは、セラミック平板と金属キャップの接合に合金による融着を用いることで、気密封止構造としています。低ESRを実現しやすいCap Chip構造の優位性を備えた上に、周波数の温度特性および経年変化を抑制しており、無線通信用クロックに求められる周波数精度に対応できるものになっています。

ムラタは、これらCap Chip構造を特徴とする水晶振動子について、いっそうの小型化や高精度化を促進しています。また、この振動子に他の受動部品や能動部品を融合させるなど、独自の発想で新たなタイミングデバイスの開発にチャレンジしています。

HCR®XRCGBシリーズ

XRCMDシリーズ

各水晶振動子の構造比較

プロダクツ&マーケット