ムラタでは、経営資本を”社是の実践を通じて培ってきた価値創造の源泉”と位置付けており、なかでも「人材」は価値創造の中核であると考えています。"Innovator in Electronics"として持続的な価値創造を実現していくために、従業員のやりがいと成長を組織力の強化に結びつけ、人的資本の強化を図ってまいります。
「多様な人材の活躍」のためのアクション
1.グローバルローテーションの推進(海外メンバーの自拠点以外への異動)
日本での将来的な人手不足が想定される中、ムラタは海外拠点人材のさらなる底上げとグローバルでの組織連携の強化が必要であると考えています。
長期的に海外拠点の実力アップや海外生産の拡大を行っていくためにも、海外拠点の人材の底上げが重要な課題になります。ローテーションによる育成に加え、海外ローカルスタッフを対象に、他拠点での勤務経験比率を向上させ、グローバルな業務経験を持つ人材を強化・育成します。海外での生産拡大や現場力強化は経済価値の向上にもつながると同時に、従業員の実体験を通じた能力向上を加速させることにもつながると考えています。
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グローバルレベルでの人材のローテーション
他国の関係会社に派遣するこの制度によって、2022年度までで累計1,162名のローテーションを実施しました。
今後は、ローテーション制度のなかでも特に、海外間接社員の他拠点での勤務経験比率を向上させることに注力します。2022年度5.3%であるこの比率を、2024年度には7%、2030年度に10%にすることを目標とし、海外他拠点での業務経験を持つ人材の活躍やグローバル連携の機会を促していきます。このように多様な視点や経験を持つ人材の育成を通して、より自律性・全体性・進歩性を重視した組織運営を行っていきます。
2.多様な経験を持つ人材の獲得と活躍
ムラタは、M&Aや多様な人材の獲得を通じた会社組織の進化によって、新たなイノベーションが生まれると考えています。
この考えに基づき、これまで、ムラタは事業環境の変化に対応するため、M&Aや社外の人材獲得を通じて、組織を継続的に進化させてきました。今後も、目指すポートフォリオ経営に向けて、多様な経験やバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用し、そうしたメンバーが活躍することができる環境を作りあげていきます。
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シニアの働きがい向上
村田製作所では、2024年4月から定年を65歳に引き上げることで、従業員活躍の最大化を目指しています。定年の引き上げだけでなく、従業員自身が自律的にキャリアを考える機会を整えています。たとえば、50歳到達時に実施する「キャリアマネジメント研修」では、自身が今までに積み上げてきた経験・技術・強みなどの棚卸しをし、自身の価値観やありたい姿を踏まえたセカンドキャリアプランを描きます。研修後はキャリアサポーター(社内キャリアカウンセラー)による面談を通じて、個別サポートをします。その後、一定の年齢に到達する際に、60歳以降の働き方を申告する機会を複数回設け、セカンドキャリアにむけた意識醸成を図っています。
さらに、シニア層が蓄積した知識や経験を活かせる業務機会を提供するための社内公募制度も導入しています。これは社内各組織が特定の業務について知識・経験を有する人材を公募するものです。シニア層の持つノウハウを活用し、社内に継承するとともに、定年退職後もやりがいをもって働ける職場を提供することを目的としています。
障がい者の雇用
障がい者と健常者は互いが区別されることなく、社会生活をともにするのが望ましいとする「ノーマライゼーション」の考え方に立って、雇用拡大と職場環境の向上に努めています。
2020年には特例子会社ムラタコスモスを設立しました。グループ会社に分室を設置し、製造工程での従事のほか、清掃業務、クリーン服のクリーニング業務、社内カフェの運用など、活躍の機会を広げています。
また、農園型雇用にも取り組み、多様な人材が心身ともに健康的に活躍できる機会を提供し、従業員一人ひとりがいきいきと働き続けられる環境の実現を目指しています。
SOGIに関する理解促進
ムラタでは、SOGI(Sexual Orientation & Gender Identity / 性的指向と性自認)に関わらず快適に働ける環境整備を進めています。2020年度は役員や部門長を対象とした対話会を実施し、意見交換を行うとともに、人事担当者向けの勉強会を実施しました。2021年度は国内拠点の管理監督者および一般従業員向けのSOGIに関する勉強会を計4回実施し参加者は延べ466名となりました。今後もこのような勉強会を定期的に行い、従業員の理解を促進していきます。また、トイレや更衣室などをSOGIに関わらず、誰もが使いやすいものに改修していくなど、設備の面でも順次施策を進めます。
2022年4月にSOGIを含む多様なパートナーシップ・家族のあり方に関する制度改定を行い、「同性パートナー」および「事実婚のパートナー」(以下、パートナー)に配偶者(法律上の婚姻関係にある者)と同等の社内制度や福利厚生を適用しています。
本人の届け出により適用される社内制度・規程(一例)
特別休暇(結婚休暇、看護休暇、学校臨時休校休暇、介護休暇、配偶者出産育児休暇、忌引休暇)
慶弔見舞金(結婚祝金、出産祝金、弔慰金)
育児・介護休業等に関する規定(育児休職、介護休職)
社宅貸与・管理規程
ムラタではマテリアリティ(重点課題)として「人権と多様性の尊重」を掲げ、役員や部門長を対象とした対話会を実施し、意見交換を通して理解を深めるとともに、国内拠点の管理監督者および一般従業員向けのSOGIに関する勉強会も開催しています。また、社内における理解促進・意識向上を図るべく、社内講演会の開催やユニバーサルトイレの設置、ユニフォームの仕様変更といった取り組みを進めてきました。
こうした取り組みに加えて、制度改定によって、多様性を認め合い、従業員一人ひとりが自分らしく力を発揮することができる職場環境づくりを推進していきます。
国籍や宗教等、文化的背景に関わらない活躍
グローバルローテーションの推進により、様々な国籍・民族・宗教の従業員が働いています。社内案内や避難経路の案内表示、食堂メニューの拡充、祈祷室の設置など、合理的配慮を行い、働きやすい環境を整備しています。
3.多様なキャリアパスの活用
ムラタは、多様な人材が、それぞれの強みや専門性を活かして成長しながら活躍するためには、多様なキャリアパスが欠かせないと考えています。
ムラタは、職務や職能に応じた育成プログラムや、世代別のキャリアサポートなどによって、様々な人材がムラタで成長・活躍できる基盤を醸成しています。また、複線型のキャリアパスを活用し、マネジメント面だけでなく、高度な専門性を持った人材を処遇し、活躍できる環境を整えることで、事業の変化を見据えたポートフォリオ経営の推進や経営変革を加速させていきます。
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多様な専門性・経験を活かす複線型キャリアパスを実現する人事制度
ムラタでは、様々な専門戦・経験を持った人材が活躍するために、組織を運営するためのリーダーシップ、マネジメント能力とともに、高い専門性や経験で事業貢献する人材を処遇し、ムラタで継続的に就業・貢献する意欲とイノベーションを促進しています。これまでも、マネジメントラインに加えた専門性の複線型のキャリアを実現する「貢献コース制度」を運用してきましたが、2019年に管理職系統まで含めた現在の3つの軸の制度への整備を完了し、新たな仕組みでの運用を強化しています。
また、転居を伴う異動をせずに基幹業務を担うキャリアパスの整備も進め、多様な従業員のチャレンジを応援しています。
4.女性活躍推進(性差によらない活躍)
ムラタでは従来より、目に見える多様性のみでなく目に見えない多様性も含め、個性として捉え尊重することを大切にしてきました。そのことにより、ムラタで働く従業員がやりがいを持って、仕事のプロとしていきいきと輝き(ES)、それがお客様が認めてくださる価値を創造し、提供すること(CS)へと発展すると考えています。
この考え方に基づき、多様な人材の採用や仕事と家庭の両立支援制度などの拡充、一人ひとりが持つ多様な力を自律的に開発し活躍するための環境整備・キャリア形成の支援を行ってきました。その結果、女性の勤続年数12.5年、女性の育児休職取得率は100%(21年度に出産した女性のうち、育児休職を取得した者の割合)となっています。
一方で、村田製作所および日本の国内のグループ会社においては、技術系女性比率・管理職や高度専門職を担う人材の女性比率、男性の育児参画に対して課題認識しています。
現在の性差での課題に取り組み、CSとESの実現、Innovationにつながると信じています。
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村田製作所における技術系女性の採用強化
技術系新卒総合職採用において、女性比率10%以上という目標を掲げています。技術の練磨を社是に挙げている通り、新たな価値を創造し続けるための技術革新が非常に重要です。各大学での「リケジョセミナー」の実施や「リケジョパンフ」の配布、女性リクルーターのみで開催する「仕事研究セミナー」など女性採用にターゲットを絞った各種採用活動を実施し優秀な技術系女性を採用するとともに、活躍できる環境を整えていきます。
村田製作所における女性管理職比率
2021年度に「2030年度末までに女性管理職比率10%とする」の目標を設定しました。「マネジメントスタイルの多様化」へは2016年からD,E&Iの柱として取り組んできましたが、女性管理職比率の向上が、マネジメントスタイルの多様化を加速させると考え、トップのコミットメントをもって進めています。
女性管理職比率の向上はマネジメントスタイルの多様化および経営課題と捉え、2022年度には、ミドルマネジメントへむけたウェビナー「女性活躍推進から見る多様性マネジメント」を開催しました。
また、職場によっては女性がマイノリティーであり、悩みを周囲に相談しづらい環境もあります。女性個々人が持つ固定観念を緩和するため、現役の女性管理職も参画して少人数でのネットワーキングの会を20回以上実施しました。(2022年度実績)
男性の育児休職取得率
性差によらず、価値観に沿って育児参画を行うために、男性の育児参画をサポートしています。男性の育児参画には、当人および家族のサポートだけでなく、個人の価値観に則った働き方の実現および、風土醸成の意味があると考えています。制度と風土の両面からの働きかけにより、取得率の向上に取り組んでいます。30%の取得率を目標としましたが、2022年度に前倒し達成したため、さらなる取得促進を行います。22年度の平均取得日数は40日となっています。
男女の賃金格差
男女の賃金格差については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人員構成の差によるものです。女性の管理職の育成に取り組み、改善に取り組みます。
グループ会社各社でも、行政と協力し、女性活躍推進に取り組んでいます。
福井村田製作所、鯖江村田製作所:ふくい女性活躍推進企業
金沢村田製作所:石川県パパ子育て応援企業
富山村田製作所:イクボス企業連盟富山
女性活躍推進法における行動計画を作成しています。「採用強化」「管理監督職の増加」「性差によらないメリハリのある働き方」に村田製作所国内グループ会社各社で行動計画を作成し取り組みを推進しています。
Link: 女性活躍推進法行動計画(PDF: 148KB)