ムラタの人材

安全・安心な職場と健康経営

基本的な考え方・方針

ムラタでは、最上位の価値観であるCSとESの実現には、従業員の健康と安全・安心な職場づくりが礎になると考え、人的資本の価値向上にむけた重点テーマの1つである『個と組織の好循環モデルの実現』に安全・安心な職場環境と健康経営を掲げています。
ムラタの長期的な経営戦略であるVision2030に基づき、「安全・安心な職場と健康経営」のありたい姿を「安全な職場で、従業員一人ひとりが自身のことを健康だと実感しながら、働けていること」としました。
ムラタで働くすべての人が、「心」「体」「人と社会との関係」が調和された健康状態で、自然体の安全行動をしていること、職場環境においては、仕事に安心して専念でき、ヒヤリ・ハットが少ない状態であることを目指します。
健康経営に取り組むことで、‟中期経営指標”に掲げる「社員エンゲージメント」の向上にも貢献していきます。

村田製作所グループ EHS 防災方針

村田製作所グループは、ムラタで働くすべての人々が、会社の経営理念である社是の実践行動の一つとして、環境(E)、健康・安全(H・S)、防災の取り組みを推進します。

  1. 法規制並びに関連する団体等と同意した事項を順守します。
  2. 村田製作所グループの企業活動を通じて次に掲げることに取り組みます。
    1. 持続可能な地球環境の実現
      • 持続可能な地球に貢献する製品やサービスを様々なステークホルダーと共創して社会に広げていきます
      • ライフサイクル(調達・生産から物流・使用・廃棄)を通して環境負荷を配慮したモノづくりを行います
      • エネルギーの効率的な利用や再生可能エネルギーの使用拡大に取り組みます
      • バリューチェーン全体で温室効果ガス排出量を抑制し、脱炭素社会の実現に貢献します
      • 天然資源の効率的な利用や廃棄物の削減および循環利用の取り組みを推進します
      • 化学物質の使用低減や適正管理により、環境汚染の防止に努めます
      • 水資源と森林の保全、緑化活動によって、地域の生物多様性を守ります
    2. 安全・安心な職場と従業員の健康づくり
      • 安心して仕事に専念できる職場環境をつくります
      • 安全行動を奨励する風土を醸成します
      • 一人ひとりが自身のことを健康だと実感できる状態を目指します
  3. EHS防災マネジメントシステムを構築し、継続的改善に努めます。
  4. 積極的に教育や研修などの学びの場を提供します。
    その機会を通して、一人ひとりが広く社会に目を向け、EHS防災分野の意識向上に努めます。
  5. この方針は、社内外に公表します。

株式会社村田製作所
代表取締役社長中島 規巨

ムラタ健康宣言

ムラタは、変化する事業環境の中にあっても、
経営理念である「社是」を大切にし、ムラタらしさを追求します。
社是を共有する世界中の従業員は、イノベーションを起こし、新たな価値を創造していくために、
わたしたちは、健全な成長の礎である従業員とその家族の心身の健康づくりに取り組んで参ります。
そして、ムラタで働く一人ひとりが活躍し、やりがいを感じながら成長しつつ、心身ともに健康でいきいきと働くことで「Innovator in Electronics」として、未来の発展に貢献いたします。

代表取締役社長中島 規巨

多様な人材が活躍する土台となる個々人の人権の考え方については、以下のページでご紹介しています。
Link: ムラタグループ 人権方針

目標

ムラタで働くすべての人が、安全・安心な職場や自分自身が健康だと実感しながら働ける環境を目指すために、以下のように2027年度目標、2030年度目標を設定し、健康安全活動を推進していきます。

2027年度目標
  • 重大労働災害:0件
  • 重大火災:0件
  • 発火事故件数:4件以下
  • 労働災害千人率(不休業災害もカウントしたムラタ独自基準):1.09未満
  • 労働災害千人率(休業4日以上):0.44未満
  • 主観的健康観:79%
2030年度目標 重大災害がなく、従業員が怪我をせず、事故もなく、いきいきと働けている職場にする。
  • 重大労働災害:0件
  • 重大火災:0件
  • 発火事故件数:0件
  • 労働災害千人率(不休業災害もカウントしたムラタ独自基準):1.0未満
  • 労働災害千人率(休業4日以上):0.39未満
  • 主観的健康観:80%

推進体制

ムラタでは、代表取締役社長をグループ全体のCSRマネジメントの統括責任者とし、その指揮のもと、サステナビリティ推進部が事業所を横断して、健康安全活動を支援・推進しています。
また、代表取締役社長を委員長とするCSR統括委員会の下部委員会として健康安全推進委員会を設置し、健康経営および安全衛生に関わる以下の内容を審議・共有をしています。健康安全推進委員会は、上席執行役員を委員長に置き、議論された事案は、CSR統括委員会へ報告・審議された後、取締役会の監督を受けています。

  • 方針とありたい姿

  • 重要課題と目標

  • 施策と実績報告

健康安全推進委員会は、各事業所の事業所EHS責任者および安全専門委員で構成しております。事業所においては、トップに常勤経営責任者を置き、事業所EHS責任者の指示のもと事務局が健康安全活動を支援・推進しています。また、事業所の健康安全活動を円滑かつ、確実に実施することを目的に、会社と労働組合が従業員の安全・健康などに関して協議する場として、安全衛生委員会を開催しています。
なお、産業保健職に関しては、専属産業医19名と保健師・看護師62名を配属しています。

健康安全推進体制のイメージ図

Link: コーポレート・ガバナンス体制

安全で安心な職場環境づくり

事業に対する安全衛生リスクの評価

ムラタは、国内および諸外国・地域において、商取引、独占禁止法、知的財産権、製造物責任、環境、労務、人権、租税などの法規制、事業投資の許認可、輸出入規制など、様々な公的規制の適用を受けて事業を行っています。これらの公的規制の対象領域ごとに主管する部門を決め、新規投資案件においては、経済的側面だけでなく、ESG(環境、社会、ガバナンス)の観点で労働慣行(労働条件、労働安全衛生、ステークホルダーの対話)などを総合的に審議・検討しています。審議・検討した投資案件のリスクに対し事前評価を行い、公的規制に対応した社内ルールを定めるなど、未然に違反を防止するための方策を講じ、適時にモニタリングを実施しています。

さらに、これらの取り組みに加え、ムラタでは法令遵守のみならず、役員・従業員が共有すべき倫理観、遵守すべき倫理規範などを「企業倫理規範・行動指針」として制定し、ムラタグループにおける行動指針の遵守並びに法令違反などの問題発生を全社的に予防するとともに、コンプライアンスの実効性を担保するため、コンプライアンス上の問題を報告する通報窓口を社内・社外に設けています。

Link: コンプライアンスの推進
Link: 企業倫理規範・行動指針(PDF: 9.90MB)
Link: ステークホルダーからの相談・通報窓口

マネジメントシステム

ムラタでは、ISO45001要求事項に基づき、労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、国内外のすべてのグループで一貫したPDCAサイクルを回しています。
このマネジメントシステムでは、グループ全体で掲げる「EHS防災方針」をもとに、社会的課題やステークホルダーの要求事項を捉えた目標を設定して継続的な改善を推進しています。

また、マネジメントシステムを運営・推進する上で、生産拠点の担当者同士のネットワーク構築が重要であると位置付け、定期的に担当者会議を実施して、目標を達成するために情報交換会を行い、推進体制の強化を図っています。

EHSマネジメントシステムのイメージ図

実績(2025年度目標にむけた2024年度の振り返り)

従業員が安全・安心に仕事ができる職場環境づくりにむけ、安全衛生活動を推進してきました。2024年度の休業4日以上におけるムラタグループの労働災害千人率は、電気機械器具製造業の平均を下回る水準でした。
また、ムラタでは、休業災害・不休業災害ともに根本原因は一緒であると捉えて、休業災害4日以上だけでなく不休業災害も含めて管理を行い、労働災害の削減に取り組んでいます。
今後も、2025年度目標達成にむけて、継続して安全衛生活動を推進していきます。

労働災害千人率※1

  • ※1

    労働災害千人率:1年間の労働者1,000人当たりに発生した死傷者数の割合を表しています。

その他のデータに関しては、ESGデータ集 / GRIスタンダード対照表 / SASB対照表をご覧ください。

<その他のデータ>

  • 休業災害度数率(LTIFR)
  • 重大災害発生件数
  • 労働災害千人率 従業員別
  • ISO45001認証取得割合
  • 専属産業医の人数

2024年度重大労働災害発生と事後対応

2018年度から7年連続で、死亡事故および後遺障害の残る重大労働災害の発生はありませんでした。(対象 : 社員、派遣社員、常駐請負社員)

今後もリスクアセスメント実施によるリスク低減対策の実施、社内通達や社内安全パトロールの実施など労働災害の抑止施策を徹底し、重大労働災害の未然防止に努めていきます。
重大労働災害の発生時には、類似災害の未然防止のため以下の手順に基づき迅速に対応します。

  • 発生後即、災害発生事業所は、災害速報を本社へ連絡

  • 連絡受信後即、本社は、災害速報を経営層と全社へ連絡。災害内容により、お客様へ報告

  • 発生後2週間以内に、災害発生事業所は、災害原因や再発防止対策の詳細を本社へ連絡

  • 連絡受信後即、本社は、災害原因や再発防止対策の詳細を経営層と全社へ連絡。災害内容により、経営層と再発防止策対策を審議し、全社へ水平展開

  • 再発対策完了後、災害発生事業所と本社は、経営層が出席する全社委員会にて、完了報告の最終審議

従業員の安全と健康

教育・啓発

ムラタでは、役割別・階層別の安全衛生教育を実施しています。現在、労働災害分析から「技術不足」・「知識不足」により、新入社員や作業に未熟な若年社員の労働災害発生件数が、全体の約半数を占めているため、危険感受性に焦点を当てた危険体感研修も実施しています。この危険体感研修を通じて、実際に危険を疑似体験し安全意識を高めることで、作業中の事故の未然防止を図っております。危険体感研修は国内生産拠点を中心に導入しており、海外拠点への導入も進めています。さらに社会価値目標の達成にむけた取り組みを後押しする経営管理制度であるサステナビリティ投資促進制度を活用しながら当研修の整備を進めていきます。

福井村田製作所MS(Murata Safety)センター 危険体感研修

安全文化の醸成

ムラタでは、安全文化の醸成にむけた様々な取り組みを実施しています。社会価値と経済価値の好循環を目指す中で、社会価値向上やESG活動の推進に対して著しい貢献を果たしたと認められる活動を対象に、社長表彰のひとつとして「社会価値貢献賞」が設けられており、2022年度は、Murata Electronics Philippines Inc. の労働災害ゼロ状態を維持している着実な活動が表彰されました。また、リスクアセスメントの仕組みを見直し、リスク抽出の網羅性を高めた新リスクアセスメントの国内拠点を中心に導入するとともに、海外拠点では中華圏安全交流会開催などの現場に入り込んだ安全活動や必要な人材育成を行い、安全文化の醸成を図っております。

Murata Electronics Philippines Inc. MSセンター 不安全状態体感トレーニング

今後の取り組み

目標指標 実績 単年度目標
2024年度 2025年度 2026年度 2027年度
死亡重大災害 0件 0件 0件 0件
労働災害千人率
(不休業災害もカウントしたムラタ独自基準)
1.26 1.15未満 1.12未満 1.09未満
労働災害千人率
(休業4日以上)
0.51 0.46未満 0.45未満 0.44未満
今後の取り組み
  • 自分事として捉えるための安全意識を醸成する
  • 新リスクアセスメントを継続して現場に即した教育体制を構築する
  • シニア層が持続的に働ける職場環境を構築する
  • 請負会社に求める安全管理を強化する

ムラタでは、各事業所が現場に則した自律的なリスクアセスメント活動を展開できる体制の構築を進めています。その一環として各事業所において、リスクアセスメントの教育から実施、運用管理までを担える安全衛生人材を育成するため、労働安全衛生インストラクター教育を本社安全衛生部門主催で実施しています。
この体制構築により、インストラクターが起点となり、従業員がムラタのリスクアセスメントを学ぶ機会が増え、更には事業所を超えたリスクアセスメント活動の輪が広がっていくことを目指しています。
2025年度にすべての国内事業所で上記目的を達成するために、2024年度も引き続きインストラクターの養成を継続し、海外事業所も含め現場に則したリスクアセスメントの実施を進めています。

研修名 受講者数
2023年度 2024年度
労働安全衛生インストラクター教育 12名 15名

ムラタグループでは、地道な安全活動の積み重ねにより労働災害発生件数は年々減少傾向を示していますが、今後も継続してリスク低減活動に取り組んでいきます。
労働災害の詳細な分析の結果、特に従業員の不安全行動による転倒災害の発生件数が依然として多いことが明らかとなり、これはムラタグループ共通の課題として認識しています。このような状況を踏まえ、今後は不安全行動に起因した労働災害に焦点を当て、従業員の安全意識を育み、自分事として行動に繋げていく取り組みをムラタグループ全体で推進していきます。
これらの取り組みを通じて、従業員一人ひとりの安全リテラシーのさらなる向上、経営・管理職層が責務を負う「安全配慮義務」と従業員自身が担う「自己保健義務」との双方で、健康安全安心を奨励する文化の醸成を目指します。

健康経営

健康に関するムラタの経営課題と健康経営プラン

従業員の健康づくりに真摯に取り組むため、健康推進における3か年ごとの中期方針として、「ムラタ健康経営プラン」を策定しています。当方針は、ムラタグループの産業医、保健師、看護師、健康推進機能の事務スタッフ、安全機能スタッフ、健康保険組合といった異なる立場のメンバーが集まり、侃々諤々の議論を通じて策定しています。
策定のプロセスでは、ムラタが健康経営に取り組む意義や目指す姿を明確にすることからスタートしました。次にこれまでの取り組みから見えてきた課題や、定量データ(健康診断やストレスチェックの結果、労災データ)、定性情報(面談や巡視などの健康管理業務を通じて把握した従業員の心身の実態)から見える従業員の実態やニーズを分析し、課題と施策を導きました。そして「地に足の着いた健康経営」をコンセプトに、以下3つのプランを設定し、達成に向けて取り組みを進めています。
主たる施策として、50歳以上の社員の健康維持・向上、ムラタのものづくりを支える従業員の睡眠改善、会社規模の急拡大・新しい働き方による負の影響を緩和するための新入社員や経験者採用社員へのストレスマネジメントの強化など、多方面から支援しています。これらの取り組みによって、従業員がやりがいと成長を感じられる環境づくりを進めています。

健康経営プラン内容
プラン1 健康経営を進める体制と環境づくり
プラン2 データと従業員実態に即した健康施策の実施
プラン3 ストレスマネジメントの強化

ムラタ健康経営戦略マップ

健康経営で解決したい経営課題を特定し、その課題解決のための方向性を示すことで、具体的な施策の遂行につながるよう、健康経営戦略マップを作成しています。

ムラタ健康経営戦略マップ

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健康経営プランに基づく健康経営の推進

健康経営プランは、本社経営層からの一方的な指示ではなく、各事業所が現場実態に基づいて、主体的に施策を具体化し実行しています。実効性を高めるため、「健康経営プラン対話会」(年4回開催)を設置し、PDCAを回しています。この対話会では、28事業所の産業医、保健師、看護師と健康推進機能の事務スタッフ、安全機能スタッフ、人事機能スタッフ、健康保険組合のメンバーが参加し、全社テーマの振り返りと、各事業所の事例の共有や相互相談を行います。「PLAN」として、ありたい姿や各プランの目的を確認し、向こう1年の全社重点テーマと、各事業所での取り組みを決めます。より良い「DO」を実現するために相互にヒントを得る場と、テーマを振り返って効果の「CHECK」をする場として対話会が機能しています。ここで得た知見をもとに各所で「ACTION」を検討し、改善を重ねています。さらに、全社の産業医が集う「産業医会」や保健師・看護師が参加する「保健スタッフ会」には、定期的に担当役員が参加し、ムラタの健康経営の進め方について対話をしています。このようにして、Vision2030に掲げた「自律分散型の組織経営」を健康経営の推進においても実践しています。

Link: Vision2030(長期構想)

健康経営の図
健康経営プランに基づく健康経営の推進

健康経営がもたらす効果

健康経営で解決したい経営課題は、「個と組織の好循環モデルの実現」です。
健康経営の効果検証として、「安全な職場で従業員が自身の健康を実感して働いているか」を以下の指標で把握しています。

1. アウトカム指標

(1)主観的健康観

ムラタでは、「健康」とは「病気ではない、弱っていない」ということではなく、「体」「心」「人・社会との関係」が調和した状態であると捉えています。よって、医学的な状態だけでなく、従業員自らが健康であると実感できていることが重要だと考えています。「主観的健康観」とは、健康診断などの数値結果ではなく、自身の健康状態を主観的に評価する指標です。ストレスチェックの質問項目に「疾患の有無に関わらず、あなたのことを健康だと思いますか?」を設け、数値把握をしています。

(2)プレゼンティーズム/アブセンティーズム

健康経営プランの重点取り組みのひとつとして、「ストレスマネジメントの強化」を掲げています。健康を実感している従業員がパフォーマンスを発揮することで、顧客への価値創造・提供(CS)を実現します。そのプロセスの中で、従業員自身がやりがいと成長(ES)を実感することを目指しています。ムラタでは、ここから生み出されるものが「エンゲージメント」であると捉えています。事業環境や働き方の変化など、ムラタを取り巻く環境が大きく変わる中でも、土台である従業員の健康が大きく影響を受けることなく、パフォーマンスを発揮し続けられるよう支援しています。この取り組みの指標として、プレゼンティーズムとアブセンティーズムを設定しています。

①プレゼンティーズム
従業員のパフォーマンス度合いを把握するために、プレゼンティーズムによるモニタリングを開始しました。まずは現状把握を行い、経年で数値を把握し、ムラタとしての適正レベルを検討します。

②アブセンティーズム(1か月以上の休業者率)
「休職者をゼロにする」のではなく、パフォーマンスが大きく低下している従業員が心身の不調を相談しやすい環境を整えることを重視しています。不調を早期に発見、対処(場合によっては早期に休職させる)することで、早期に復帰できるよう支援しています。不調を長期化させないことで、アブセンティーズムが大きく変動しないようモニタリングしています。

(3)睡眠改善の指標(睡眠で休養が取れているか(ストレスチェック))

「体」「心」の調子に大きな影響を与える睡眠の改善に力を入れています。
取り組みの成果指標として、ストレスチェックの質問項目「よく眠れない」の回答のうち、否定回答をもとに推移を可視化しています。

(4)ハイリスク者率

ムラタでの健康経営の取り組み成果を客観的に評価する指標として、ハイリスク者率によるモニタリングを行っています。定期健康診断の健診項目・問診項目やストレスチェックに含まれる項目を活用し、生物学的リスク4項目(血圧・血中脂質・肥満・血糖値)、生活習慣リスク4項目(喫煙・飲酒・運動・睡眠休養)、心理的リスク4項目(ストレス・生活満足度・仕事満足度・主観的健康感)の12項目を設定し、保有するリスク数により、低・中・高の3つの健康リスクレベルを評価し、経年で数値を把握しています。

項目 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
主観的健康観の指標:「自分は健康である(ストレスチェック)」の回答率 ≪連結(国内)≫ 78% 77% 77% 77% 78%
プレゼンティーズム:「病気やけががない時に発揮できる仕事の出来を10として、過去4週間の自身の仕事を0から10までで評価してください。」の平均回答 ≪連結(国内)≫ 7.1点 7.1点 7.1点 7.1点 7.1点
アブセンティーズム:連続1か月以上の休業者率 ≪連結(国内)≫ 0.8% 0.9% 1.0% 1.0% 1.1%
睡眠改善の指標:「よく眠れない(ストレスチェック)」の回答のうち否定回答率 ≪連結(国内)≫ 79% 79% 78% 78% 79%
ハイリスク者率:リスク判定項目のうち保有するリスクが5つ以上に該当する従業員の比率 ≪連結(国内)≫ 19% 19% 18% 18% 17%
  • ※2025年3月31日時点データ

ムラタの経営課題である「個と組織の好循環モデルの実現」に向けた健康経営の取り組み

ムラタで実施している具体的な取り組みを紹介します。従業員一人ひとりが自身のことを健康だと実感しながら働ける環境を整えるために、今後も継続して取り組みを進めていきます。

50歳以上の社員の健康維持・向上にむけた取り組み

ムラタがInnovator in Electronicsとして社会に価値を創造し続けていくためには、イノベーションの源泉である人的資本の価値を継続的に向上させていくことが必要です。この一環として、2024年度から65歳定年制度を導入しました。
新制度が目指すありたい姿は、「豊富な経験を持つ50歳以上の社員に65歳まで安心して働ける環境を提供することで、①その経験を通じて得てきた能力や知見を最大限発揮して、活躍、貢献し続けてもらうこと、②変化への対応や新しい領域・業務への挑戦もいとわず、さらなる知見や能力を得てそれを発揮してもらうこと、③一人ひとりが65歳以降の人生も見据えてキャリアを考え、60歳以降の働き方を選択してもらうこと」です。一方で、シニア世代は加齢にともなって様々な身体機能の低下が顕在化してきます。ありたい姿を実現するためには、加齢による健康面での阻害要因を低減していく取り組みが必要不可欠です。
現在ムラタでは、加齢変化によって低下する身体機能のすべてに取り組むのではなく、50歳以上の社員が働き続けることに大きく影響を及ぼす阻害要因に絞って取り組みを進めています。特に、医学的・老年学的知見やムラタの50歳以上の社員の実態から、循環器系の低下による心疾患発症リスクと筋力・体力の低下による転倒労災発生リスクの2つに着目して取り組んでいます。まずは従業員の実態把握として、50歳以上を対象とした体力チェックを24年度から導入しています。
50歳以上の社員が健康で元気に活躍・貢献し続けられるよう、健康面からの支援を行うことで、社員エンゲージメントの向上にもつなげていきます。

ストレスマネジメントの強化支援の取り組み

健康経営プランのひとつ、「ストレスマネジメントの強化」は、テレワークを取り入れた働き方の大きな変化を、従業員がいかに乗り越えられるかという観点から取り組みをしています。これを実現するためには、個人が「信頼・連携し合い、調和する」ことが重要と考えますが、最もそれが困難なのは、組織に新しく入ってきた従業員たちです。そもそも新しい環境に慣れ、人間関係を構築することにはストレスが生じます。そこで、「新入社員」「経験者採用社員」「国際出向者(海外拠点から日本に出向中の従業員)」「海外出向者(日本から海外拠点への出向者)」に重点をおいた対応をすることを決めました。彼らが力を発揮し、多くの人と連携ができるようになるための、ストレスマネジメントを実施しています。

1. 新入社員・経験者採用社員むけの支援

テレワークを取り入れた働き方の多様化により、コミュニケーションのあり方が大きく変わりました。オンラインツールの活用により、業務の効率化や多様な働き方が実現できた一方で、職場での人間関係の構築に時間がかかることや、把握できる従業員の様子が限定的で、不調に気づきにくいなどの課題も浮き彫りになりました。そのような事態を防ぐために、特に、この影響を受けやすい新入社員や経験者採用社員をターゲットにして、ストレスマネジメント強化の取り組みを行っています。
具体的な取り組みとして、新入社員むけにストレス対処法や一人で不安を抱え込まず相談する力を付けることの大切さを体得することを目的とした研修を実施しています。そこでは、セルフケアの方法などを、グループワークを通じて学ぶ機会を設けています。研修アンケートやその後のフォロー面談で効果が確認できたことから、同様の環境にいる経験者採用社員に対してもストレスマネジメント研修を実施しています。

経験者採用社員に対するストレスマネジメント研修の資料より

2. 国際出向者(海外拠点から日本に出向中の従業員)・海外出向者(日本から海外拠点への出向者)への支援

グローバルにビジネスを展開するムラタでは、多くの経験、多様な考えを持った従業員同士が、グローバルで一体感を持ち、連携し合いながら、それぞれの能力を発揮できることを目指しています。ムラタでは、国際出向者や海外出向者が多くいます。しかし、慣れない国や拠点での生活環境の大きな変化や、赴任先での人的ネットワークの構築に時間がかかることなどが、大きなストレスとして出向者にかかっていました。そこで、国際出向者を対象に産業医によるセルフケア研修を実施しました。英語編と日本語編の両方を用意し、自身が使いやすい言語の回に参加してもらいました。(2024年度では2回実施し、新規国際出向者65名中57名が参加しました。)この研修は、受講生同士がつながり、互いに共感し合う機会になりました。また、ストレスの対処法を学ぶことで、モチベーションの向上につなげることができました。
海外出向者には、安全・安心・健康に生活が送れるように、2020年度から健康面でのフォロー体制を強化しています。渡航前に、産業医による健康状態の確認や、必要な人への面談を実施しています。社内イントラネットには海外出張での注意事項をまとめた「海外出張はじめてガイド」を掲載し、情報を提供しています。グローバル人事部と健康管理室が協働し、出向者とその家族を対象に、危機管理・健康管理・メンタルヘルスについてのセミナーを実施しています。参加者からは、「今後の海外生活への理解も深まり、不安解消につながる」という感想が出されています。渡航後は、年1回の定期健診を実施し、結果に対するフォローを行っています。これらの取り組みは、全社経営目標である「多様な人材の活躍」を健康面から支えるものです。

国際出向者に対するストレスマネジメント研修の資料より
国際出向者に対するストレスマネジメント研修
睡眠改善 : 交替勤務者のES向上にむけた取り組み

ムラタの製造現場を支える交替勤務者のES(従業員のやりがいと成長)向上のため、睡眠改善に注力しています。健康管理室には、交替勤務者からの睡眠相談が寄せられます。これまでも産業保健職による睡眠教育研修や相談対応を行っていたものの、内容が一般的な睡眠のアドバイスに留まり、有効な対策を打てていないことが課題でした。そこで、2021年9月から概日リズム・体内時計の専門家である京都府立医科大学の八木田和弘教授を睡眠改善施策アドバイザーに迎え、現場の実態に即した様々な施策に取り組んでいます。なお、施策の導入にあたっては、従業員代表である労働組合とも情報共有・協議した上で進めています。

Link: 体内時計の権威である京都府立医大の八木田教授を「睡眠改善施策アドバイザー」に任命 生産現場の交替勤務者の睡眠の質を改善し、健康をサポート

1. 従業員の睡眠相談に「睡眠質問票」と「睡眠日誌」を導入

従業員からの睡眠相談を受けた時の産業保健職の対応力向上を目的とし、睡眠の質を可視化する「睡眠質問票」、生活リズムを把握する「睡眠日誌」を導入しました。これらのツールは、睡眠不足の実態把握や原因解明に役立ちます。ツールから得られた情報と概日リズム・体内時計の知見を活用することで、従業員に有効な睡眠相談を行っています。

2. 概日リズム・体内時計の観点を取り入れた睡眠教育コンテンツを作成

交替勤務者が睡眠不調になる大きな要因のひとつは、体内時計と生活時間のズレだと言われています。そこで、従業員や協力会社従業員にむけて、概日リズム・体内時計の観点を取り入れた睡眠教育コンテンツを展開しています。たとえば、体内時計と生活リズムのズレを減らすために、シフトパターン毎に、光を浴びるタイミングや食事をとるタイミング、食事内容、休日の過ごし方などのアドバイスをまとめた「おすすめ生活リズム表」を作成しています。また、睡眠に関する説明会を実施し、交替勤務者自らが、体内時計をコントロールするために必要な知識を理解する機会を設けています。
今後は体に負担の少ない交替勤務の在り方についても検討を進め、交替勤務者が健やかに働ける環境づくりを目指します。

睡眠教育コンテンツの資料より
おすすめ生活リズム表
おすすめ生活リズム表

3. より質の良い睡眠をサポートするために、光環境の整備に着手

体内時計をコントロールするためには、最適な時間に最適な光を浴びることが重要な要素のひとつです。そこで、ムラタでは、光環境の整備に取り組んでいます。光による影響を受けやすいという体内時計の性質をもとに、一部拠点の製造現場では、自然光に近い光を照射できる高照度光療法器具を設置しました。
引き続き、交替勤務者が体内時計をコントロールしやすい環境づくりに取り組んでいきます。

4. その他の取り組み

睡眠改善の効果検証のひとつとして、村田製作所の「疲労ストレス計 MF100」を導入しています。当製品は、心拍・脈拍といったバイタルデータから心拍変動を高精度に測定し、客観的な評価が難しかった「疲労・ストレス度」を可視化します。従業員の心身の状態を客観的なデータで示すことで、睡眠改善の効果を測っています。

疲労ストレス計 MF100

このような睡眠改善の取り組みを通じて、ESの礎となる「従業員の健康」を支え、従業員が自身の健康を実感しながら、いきいきと働ける状態の実現を目指します。また、良質な睡眠を実現することで、生活習慣病の予防にもつなげていきます。

女性の活躍推進

ムラタの女性活躍推進では、「性別に関わらず誰もが経験を通じて能力を高められ、対話し切磋琢磨できる職場」の実現を目指す姿に掲げています。その実現のためには、「女性の健康」に理解がある職場づくりが必要です。そこで、性別問わずすべての従業員を対象に、2022年度より年1回、産業医による女性の健康セミナー「Women's health @ムラタ」を開催しています。
2024年度は、「妊娠出産期の心と身体の変化」をテーマに取り上げました。セミナーには450名以上が参加し、受講後アンケートでは99%以上の方が「満足」と回答しました。女性からは、「出産に対しての不安が和らぎました。」「旦那と一緒にセミナーを見直して勉強したい。」、男性からは、「妊娠から産後リカバリーの期間で女性ホルモンが急激に変化することなど、これまで知らなかったことを勉強できた。」「パートナーへの寄り添い方の参考にしたいです。」などのコメントがあり、大好評でした。なお、セミナー内容は、従業員および協力会社従業員の家族にも共有できるようにしています。
セミナー後は、職場での女性の健康についてのコミュニケーションをテーマに座談会を開催し、約20名の方が参加されました。管理職含め、男女問わず好評な座談会となりました。他にも女性活躍推進・健康支援の観点から、婦人科がんの早期発見、早期対応を目的として、健康保険組合から検診費用の補助を行い、婦人科検診の受診支援を実施しています。社内での婦人科検診では定期健康診断と同じ期間に実施し、受診率の向上に力を入れています。
今後もこのような取り組みを継続し、女性が活躍できる職場づくりを健康面から支援していきます。

【年度別テーマ】
2022年度:女性の健康を学ぼう(働く女性と健康)セミナー
2023年度:更年期を考える健康セミナー

がん治療と仕事の両立支援制度

がんは今日では通院治療を受けながら働くことが可能な病気となってきています。しかし、抗がん剤投与などを受ける場合には定期的に受診する時間を確保する必要があるなど、今までと同じように就業しながら治療を継続するには障壁があるのが実情です。こういった時間的制約に対する配慮として、がん治療にともない、通院しながら勤務する従業員を対象に、治療と仕事の両立を図るための支援制度を導入しています。従業員が制度を知った上で利用しやすいように、しおりも発行しています。この取り組みによって、健康管理室への事前(休職前)相談・問い合わせが増え、従業員に寄り添ったサポートにつながっています。また、ムラタでは、下表のように「早期発見・早期対応」「療養・休職」「復職・治療継続」の3区分で社内の関連する様々な制度を見える化しました。
厚生労働省のHPにムラタの取り組み事例の詳細が掲載されています。

参考

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ムラタの事例のイメージ画像
グローバルな健康問題に関する取り組み

ムラタはグローバルに事業展開をしており、産業医と連携し、海外拠点および出張先に該当する国の感染症の情報収集・把握に努めています。
海外出向者(日本から海外拠点への出向者)には、法令で定められている健康診断を従業員のみでなく帯同家族にも実施しています。また、渡航前には産業医と外部講師にて海外危機管理・健康管理セミナーを実施し、海外生活での注意点や赴任先で流行している感染症(結核、マラリアなど)の情報提供およびその対策と予防接種の推奨を行っています。渡航後においても国内の従業員同様、年に1回は健康診断を受診するよう義務づけ、健康の維持、感染症の予防・早期発見に努めています。感染症が拡大している地域にある拠点に対しては、現地の従業員にも情報共有を行っています。
国際出向者(海外拠点から日本に出向中の従業員)については、赴任時に健康診断を行い、感染症の持ち込みの防止および麻疹・風疹・水痘などの抗体検査を行い、予防接種の推奨を行っています。

感染症対策

ムラタは、従業員の体と心の健康を守りながら、お客様の期待に応え、社会のインフラを支える部品メーカーとしての社会的責任を果たすために、日常の健康管理として、感染症対策を徹底しています。コロナ禍で得た知見を整理し、今後、新型感染症が発生したときにむけて、従業員の健康を確保するためのマニュアル「新型感染症対策基本計画」を作成しました。フェーズによる行動を記載し、すぐに対応できる体制を整えています。事業活動に重大な影響を及ぼす新型感染症が発生しても、人命尊重を第一とした上で製品の供給を継続し、企業の社会的責任を果たすことを目指しています。
新型コロナウイルス感染症拡大時には、アルコール消毒液設置などの衛生管理、在宅勤務やフレックス制度・時差出勤の推奨、体調不良者の出社制限(法定以上の休業補償)、学校などの休校に対する特別有給休暇の人事制度面での支援、本社をはじめとする7拠点で、従業員および協力会社従業員に対してワクチンの職域接種を実施しました。
感染対策だけではなく、心身の不安を抱える方への産業保健職による面談対応、また、産業医による新型コロナウイルス感染症に関するオンライン説明会を実施し、従業員および協力会社従業員とその家族の健康と安全を守るために、資料を共有するようにしました。なお、インフルエンザに関しては、毎年、流行情報の提供や予防接種の呼びかけを実施しています。

喫煙対策の取り組み

2018年から、健康経営の取り組みのひとつとして、喫煙対策を推進しています。健康保険組合と連携し、禁煙プログラムの展開と、受動喫煙防止のための環境づくりの両輪で進めています。この数年で、社内売店・自動販売機でのたばこの販売禁止、健康イベントの開催、喫煙者全員面談の実施、禁煙ポスターの掲示、屋内喫煙所の廃止などの対策を進め、「会社内で喫煙をしない環境づくり」をメインに取り組みを行ってきました。一方で、「そもそも喫煙しない人を増やす」ことがこのテーマの本質であると捉え直し、2021年度からは喫煙対策のアプローチを変えています。「禁煙したいと思う人の禁煙達成を支援する」というスタンスで、ナッジ理論を活用した周知や、健康保険組合と協働したICTを使った喫煙プログラムの導入を行っています。

ナッジ理論を活用した周知ポスター
法令に基づく取り組み

ムラタでは定期健康診断の実施およびストレスチェックに基づいた組織診断や職場フィードバックなど、従業員および協力会社従業員の心身ともに健康な職場づくりに取り組んでいます。定期健診受診率は100%を維持できるよう取り組んでいます。ストレスチェックは、2023年度の受検率は単体で98%(対象者:10,995人、受検済:10,806人)でした。

健康経営の取り組みに関する指標 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
定期健診受診率 ≪単体≫ 100% 100% 100% 100% 100%
ストレスチェック受検率 ≪単体≫ 98% 99% 98% 98% 98%
ストレスチェックにおける高ストレス者率 ≪単体≫ 7.2% 7.6% 7.7% 7.4% 7.5%
  • ※2025年3月31日時点データ
「健康経営優良法人 大規模法人部門(ホワイト500)」の取得

ムラタの“健康経営”にむけた理念や体制、取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人 大規模法人部門(ホワイト500)」を2017年から2025年まで連続9回取得しています。

健康経営優良法人ホワイト500のロゴ