超音波センサを使用した駐車支援システム (PAS: Parking Assistance System) は、センサから放射した超音波が壁などの障害物や他車から反射し戻ってくるまでの時間を基に距離を計算し、ドライバーに知らせることで安全な駐車を実現しています。PASの普及に伴って組み立てコスト低減と品質維持の観点から、自動実装対応に有利な小型で高信頼性のピン端子タイプのセンサの実現が期待されていました。
従来のピン端子タイプの超音波センサは、自身の振動が伝わることによる特性劣化を低減するために、保持部品を介してセンサ本体の外にピン端子を配置する必要があったため、小型化が困難でした。ムラタはこの保持部品をセンサ内部に取り込む構造設計に成功し、従来のリード線タイプのセンサと同等の特性を維持しつつ小型化を実現しました。
また、センサ内部の圧電セラミック素子とピン端子の接続にフレキシブル基板を取り入れ、接続工程を自動化することで、特性安定化と高信頼性化とともに生産性の向上も実現しました。小型のピン端子タイプの超音波センサは、近年のPASのデジタル信号処理化の進展に伴う耐電磁ノイズ特性向上の要求に対しても有利となります。
近年、自動車メーカー各社では先進運転支援システム (ADAS: Advanced Driving Assistance Systems) の導入が活発化しています。その中でドライバーから死角となるエリアの歩行者や他車などを検知して安全性を高めるシステムにPAS技術の応用が検討されており、そのキーデバイスとして超音波センサの活躍の場が広がることが期待できます。検知距離に関しては、PASでは2m程度なのに対して、ADASでは10m程度まで拡大できるとみられています。ムラタはこれらの市場ニーズに対し、セラミック材料技術、高精度セラミック加工技術、高効率超音波センシング技術を融合することで、高感度な超音波センサの開発を推進していきます。