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あわせて読む: 村田製作所の耐熱セラミック触媒が燃料を大幅削減。Scope 1への挑戦(前編)
工場の排ガスに含まれるVOC(揮発性有機化合物)を無害化するRTO(蓄熱式排ガス処理装置)において、大幅な燃料削減に成功したムラタの「耐熱セラミック触媒」。RTO装置に設置することで、製造業にとって大きな課題となる自社排出の温室効果ガス(Scope 1)の削減が実現します。取り組みの背景についてお聞きした前半に続き、後半では具体的な実証結果について伺いました。
耐熱セラミック触媒の性能を実環境で検証するため、ムラタでは自社工場での実証実験を進めました。実証のプロセスや、そこから得られた具体的な成果についてセラミックコンデンサ事業本部所属の安田氏と、技術・事業開発本部所属の佐藤氏に伺いました。
安田:「まずはムラタの工場で実証するべく、燃料消費量の多い拠点から試したいと考えました。そこで、候補になったのが中国・無錫の生産拠点です。中国では、排ガス処理の厳格な規制があるため、中国での対応実績はグローバル展開にむけた強力なデータになります。合わせて、細かなデータを入手しやすい環境でのテストも不可欠だと思い、村田製作所本社から物理的に近い滋賀県の野洲事業所でも実証を行いました。 実証では耐熱セラミック触媒を設置し、設定温度を段階的に下げていきました。50℃、100℃、150℃と温度を落としながら、分解性能に問題がないことを確認しました。試算上の燃料削減効果は20~30%ほどの見込みでしたが、実際には30%〜50%、最大で60%超と、予想を大きく上回る結果が出ました。 初めは信じられなくて、細かく分析を重ねました。というのも、設定温度を850℃から700℃に下げた場合、削減効果は単純計算ではほんの数割ほどの想定だったからです。調べていくと、実際には、排ガスの濃度は工場の生産量に応じて常に変動し、それに合わせてバーナーも開いたり閉じたりを繰り返していたため、触媒を導入したことで炉内の熱が安定し、バーナーの開閉が抑えられた結果、相乗効果として燃料削減率につながっていることが明らかになりました。 導入後の燃料削減実績として、野洲事業所Aで53%、野洲事業所B(別ライン)で32%、無錫村田電子有限公司で37%の省エネ効果が実証されています。出雲村田製作所では設定温度を変えずに、既存の蓄熱体と触媒を組み合わせることで62%という結果も出ており、これは年間2,000トンのGHG削減に相当します。」
佐藤:「実証の数字をお見せしても、お客様に『どうしてこうなるのか』と質問されることが多いです。技術者として、実際に使うユーザー目線に立ち、いかに分かりやすく効果を説明できるかという点は、考えていく必要があると思っています。」
耐熱セラミック触媒は、燃料削減による省エネ効果だけでなく、さまざまな面で高い評価を得ています。
安田:「たとえば、設置の際に特別な設備改造工事が必要ない点です。触媒が劣化すると交換が必要になりますが、その作業もシンプルで、作業員が作業可能な温度まで冷ました炉でハニカムを入れ替えるだけで済み、実質2〜3日で完了します。 また無錫村田電子有限公司では、初期費用の償却に2年も掛かりませんでした。削減率が高ければ、投資回収も最短1年で済むと考えられます。こうした経済的メリットから、1台目の効果を実感されたお客様は、比較的短期間で別の処理装置にも活用いただいています。」
耐熱セラミック触媒の開発を通じて、環境価値の創出にむけた取り組みが進められています。今後、より持続可能な価値提供にむけて、どのような展望を描いているのでしょうか。
佐藤:「触媒の研究を通して、電子部品メーカーとして培われたムラタの技術が、異なる分野で応用できる可能性がたくさんあると感じました。今回のように、環境課題や社会価値に貢献する取り組みが、新しいムラタの風土として浸透することを期待しています。 また、現在はより長寿命となる触媒材料の開発や、廃棄材料リユースの可能性などにも取り組んでいます。完全なリユースは難しいですが、将来的には廃棄ロスの低減を視野に入れた設計を目指していきたいです。」
安田:「規制への対応に取り組むお客様も、規制対応だけを目標にしているのではなく、『Scope 1を少しでも減らすにはどうしたらいいか』、あるいは『中長期的にとるべき施策は何か』と、真剣に社会価値を考えている方ばかりです。私たちはこれからも、材料技術の開発と実用化を積み重ね、1台でも多く、環境に配慮した処理装置の工場を増やしていきたいです。」
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