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荒本 基邦/Motokuni Aramoto 営業本部 日本営業統括部 車載営業部 部長
1984年入社。営業技術スタッフとして、展示会、技術情報の取りまとめなどを行う。 1989年より国内営業で携帯電話市場の顧客を担当。 2003年より主に車載関連の得意先を担当し、車載営業部の発足に伴い、2012年10月より現職。 趣味はゴルフと映画鑑賞 (特に古い名画) 。
エリアマーケットの良さを残しつつ、初の自動車市場というアプリケーション軸の営業体制でシナジー効果を出していく。 クルマはどういう方向に進むのか、どういう機能が求められているのか。 ニーズとシーズをマッチングさせる橋渡し役として、自動車メーカーとのコミュニケーションを大切に、社内の開発部門とのコンタクトを取る。自動車産業の成長とともに、新しいマーケットを見据える。
2012年10月に国内営業体制が変わった。従来は東日本、首都圏、中部、西日本というエリアマーケティングで顧客を担当していたが、東日本と西日本の二つの営業部に改編。そしてアプリケーションを軸として顧客を担当する「車載営業部」を新たに設けた。自動車という市場をターゲットに、全国を横断して車載関係の顧客を担当するセクションが誕生した。今後は東と西というエリアマーケティングの良さを残しながら、一つの部が車載関係を担当する。もともと車載用と民生用のグルーピングができていたが、それがより鮮明になった形だ。大きく3つの営業体制で相乗効果を目指したいと考えている。自動車産業には独特の商慣習があり、高信頼性の品質を要求される。またクルマは10年乗ることが前提だが、10年で買い換えるとは限らない。もっと長く乗る場合もあるため、その間、部品供給をし続けなければならない。また、「かんばん方式」に代表される自動車産業特有の生産方式に対応する部品の生産、納期対応などの管理体制も重要だ。他にも、エンジンやメカの知識、車室内の機器、車外環境、法規制など、自動車ならではの知識を持って営業活動をしなければならない。従来手がけてきた分野とは対応も、サイクルも違う。ムラタがアプリケーションを軸に営業を組織化するのは初の試み。市場や商品知識だけに精通するのではなく品質面、供給面など幅広い車載知識を持った集団を作ることで、同業他社との差別化を図っていきたい。
車載営業部では、販売推進課の機能を3つに分けて、活動を行っている。まず、グローバルな展開。今後、世界の自動車は2020年までは、台数ベースで年率4%くらい伸びるものと見込まれている。車載部品に関しては、台数の伸びに対して、電装品の装着率がアップし、新しい機能が付くこともあって、構成部品も増加し、それ以上の伸びを示すはず。台数と電装化率の向上を含めると、市場としては年率で7~8%は伸びると考えている。ここに貢献できるチャンスがある。ムラタは、コンデンサを中心に、汎用品で車載メーカーから高い信頼を得ている。通信では携帯電話やスマートフォンを中心にクルマとの融合が始まり、通信技術で車載との連携が期待されている。こうしたことを背景に、車載営業部では世界の自動車メーカーに対して、グローバルなマーケティングができるようにデータの収集や分析を行っていく。
2点目は、今後伸びるであろう自動車の機能を (1) Environment (環境) (2) Infotainment (情報とエンターテインメントの融合) (3) Safety (先進安全) に分けて、それぞれにFAE (フィールド・アプリケーション・エンジニア) という人材を投入して、奥深い営業展開を行うことだ。環境対応では、EV (電気自動車) やHEV (ハイブリッド車) 、アイドリングストップなどの技術の進歩に対応した、大型大容量のコンデンサなどの製品を強化する。Infotainmentでは、スマートフォンや携帯機器とクルマとの連携。従来はこうした機器とクルマとの接続は有線であったが、それを無線で可能にする。ムラタの近距離無線通信モジュールの技術が生かせる。安全面では、ぶつからないクルマや白線をまたがないようにアシストするなど、新しい機能が登場している。クルマの安全に求められる機能を把握して、ソリューション提案を行っていく。FAEは、技術の専門知識を生かして営業をサポートする人材で、自動車に詳しく、回路基板についての知識も持っている。広い知識が必要なライン営業とともに、連携して活動する。
3点目は、自動車メーカーが、未来の技術や目指している姿、どういう方向性なのか、どういう機能を増やそうとしているのかなど、先行情報を収集して技術動向を把握していく。そうすることで直接取引しているティア1メーカーに対しても、新たな価値が提供できるだろう。社内的にも、すでに作られた製品を販売するのと同時に、開発部門とも連携を取り、自動車メーカーが求めているものに対してシーズとして伝える橋渡し役を担っていきたい。新しい自動車の開発期間は長いので、7年先、10年先を見据えて、開発部門との連携を強化する。すでに、開発部門では、音声のみならず、画像などの大容量データも送れる無線通信モジュールを開発した。ワイヤーハーネス (車内配線) を使わずにデータ伝送できることは、Infotainmentを中心に利便性の向上にもつながるため、新たな需要が期待できる。他にもリチウムイオンバッテリーやDC-DCコンバータ、熱関連ソリューションなど、ムラタにはいくつもの潜在技術がある。車載営業部としては、伸びる市場であるだけに積極的にアプローチしていきたい。
Information (情報) とEntertainment (エンターテインメント) の合成語。情報を得ることそのものが楽しみとなるような機能やサービス。自動車では、車内空間でのさまざまな楽しさ、娯楽要素を指す。例えば、後部座席で映画やゲーム、テレビ、インターネットなどが楽しめたり、カーナビゲーションや位置情報サービス、モバイル機器を車内で利用できることなど。こうした機器の車内での接続や情報伝達は従来は有線で行われていたが、今後は無線での展開が期待されている。ムラタの無線通信技術、センシング技術への期待が高まっている。