商品設計技術
アプリケーション/ソリューション設計技術
(筐体設計技術)
Application/Solution Design Technology (Enclosure Design) icon

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要約

  • 一般的な筐体設計技術は、製品の外観や内部の構造・可動機構などを設計し、使いやすさ・安全性・信頼性・機能性・デザイン性などを総合的に実現するための技術です。
  • ムラタの筐体設計技術は、それらを高いレベルで同時に満たすことを目指し、性能や外観の美しさ、生産効率までを含めた「全体最適」を追求しています。開発初期から3Dデータやシミュレーション・解析を活用し、設計の段階で耐久性・防水性・組立性などを検証することで試作への依存度を減らし、後工程での手戻りを最小限に抑えています。さらに、複数部門による綿密なレビュー体制により、潜在的な課題を早期に解消し、量産でも安定した品質と性能を再現できる体制を確立しています。こうしてムラタは、効率的な開発と高い信頼性を両立する筐体設計技術を実現しています。

ムラタのアプリケーション/ソリューション設計技術(筐体設計技術)とは

技術解説

ムラタの筐体設計技術は、単なる形づくりではなく、機能・デザイン・生産性を同時に満たす、「実現可能な最適解」を設計段階から追求します。開発初期から「3Dデータ」「シミュレーション」「リバースエンジニアリング」「防水設計」「最適化」の各要素技術を駆使し、従来の試作依存を減らして設計品質を向上させます。計算と実測の整合をデータで検証しながら進めることで、やり直しを最小化し、量産段階でも同一性能を安定して再現します。ここにムラタのモノづくり力が凝縮されています。

3Dデータ技術:3D CADデータを活用することで、設計・開発・生産技術の各部門は初期設計から量産まで、複雑な構造や微細寸法の調整をスムーズに行うことができます。これにより、試作の削減と工程の短縮を実現しています。

シミュレーション技術:実機試作前に各種シミュレーションで性能や製造上の課題を検証し、設計段階で改良を反映することで、量産性と信頼性を両立します。

リバースエンジニアリング技術:既存製品や試作品を3Dスキャンで高精度にデジタル化し、構造・寸法情報を設計や改良に活用します。これにより、部品再設計や製造改善が効率化され、形状データを正確に共有して迅速かつ確実に設計変更を反映できます。

防水設計技術:過酷な環境下でも電子機器や精密部品が安定動作するように、シール材配置・部品同士の密着構造・通気性と防水性の両立などの設計ノウハウを活用し、シミュレーションと実験で最適化した防水構造を実現します。

最適化技術:性能だけでなく、コスト・重量・サイズ・生産性を総合的に最適化し、CAEやアルゴリズムで解析・調整することで、実現可能な最適設計を導き出します。

3D CAD、シミュレーション、3Dサービスのイメージ画像
当社が目指す開発プロセスの未来

挿入画像の参照元: 開発プロセスのAI×バーチャル化が実現する未来とは?別ウィンドウで開く

技術の強み

ムラタの筐体設計技術の強みは、性能・品質・コストの最適バランスを実現し、この水準を開発試作から量産段階まで安定して再現できる設計力にあります。

小型でありながら高機能、そして高品質と低コストを同時に満たすために、性能・耐久性などの機能性、外観や操作感などのデザイン性、生産効率や組立のしやすさといった製造性を、常に高いレベルで融合させ、用途や市場ニーズに合わせて最適なソリューションを導き出します。

設計手戻り最小化の仕組み
強みである設計力を支えているのが、設計プロセス全体の体系化と厳格な審査体制です。
仕様検討から量産移管までの各段階には審査ゲート(社内デザインレビュー)を設け、設計・生産技術・品質保証など複数部門が集まり、顧客仕様との適合性や潜在リスクを抽出して即時対応します。
この体制により、設計手戻りを削減し、量産時の品質安定化・製造トラブル防止・納期短縮・コスト低減を確実に実現します。

フロントローディング設計
手戻り最小化を設計現場で実現しているのが、フロントローディング設計です。
初期設計段階から製造条件や組立性を考慮し、量産性を備えた構造を組み込みます。
さらに試作依存を減らし、3Dモデルや各種シミュレーション技術を駆使して事前構造検証を完結させます。例として、軽量化と剛性確保のためのトポロジー最適化、耐久性確認の強度解析、熱対策の放熱解析、樹脂充填性を予測する樹脂流動解析など、多角的な解析を行い、製品構造を最適化しています。

この一連の体制とフロントローディング設計による事前検証により、金型完成後の修正や設計変更を最小限に抑えています。
結果として、開発期間短縮とコスト削減を達成しながら、完成度の高い設計製品を市場ニーズに即応して供給することができます。

筐体設計プロセス

技術の進化

ムラタの筐体設計技術は、長年培った設計技術力をベースにフロントローディング化を徹底することで進化してきました。従来は、量産段階の手前で課題が顕在化することもありましたが、現在では最新ツールと解析技術を初期設計に組み込み、設計段階での完成度を大幅に高めています。

設計技術力の蓄積
製品開発終了後に必ず振り返りを行い、不具合事例(過去トラブル)は「再発防止リスト」に登録し、成功事例や改善点は「設計ガイドライン」に反映しています。こうした継続的な知見の蓄積が、設計者のスキルと設計精度の向上につながっています。

筐体設計技術の蓄積

フロントローディングを支える具体技術の確立

(1)シミュレーション技術

従来は、成形トライの段階で問題が発覚していましたが、設計段階から樹脂流動解析を実施することで、筐体形状やゲート位置を最適化し、不具合を事前予測・対策できるようになりました。さらに、繊維配向データを強度解析に反映させることで、成形後の力学特性を高精度に予測できています。これにより、成形トライ回数を減らし、時間とコストを削減しています。

樹脂流動解析+応力解析
繊維強化樹脂の繊維配向を樹脂流動解析で導出し、その結果を応力解析に反映することで、実測値との誤差が少ない精度の高い応力解析結果を得た事例

(2)リバースエンジニアリング技術

従来の寸法手計測に比べ、高精度3Dスキャナを用いることで、形状データを短時間で取得しCAD化できるようになり、自由曲面も忠実に再現可能となりました。これにより、初期設計から既存部品との干渉確認や解析が可能となり、設計期間を大幅に短縮しています。

リバースエンジニアリング
例:ミリ波レンズアンテナ(φ50mm)

(3)防水設計技術

従来の生活防水構造に比べ、シール面圧・変形・浸入経路を解析する独自シミュレーション技術を用いて、防水構造を定量的に最適化しています。これにより、車載製品の高圧洗浄試験や豪雨環境でも漏れなく安定動作する設計が可能になりました。

  • 防水技術事例:IPX4~IPX7対応の防水手法
  • 防水技術事例:IPX9K対応の防水手法

(4)最適化技術

従来は、設計者の経験や試行錯誤に頼っていましたが、「トポロジー最適化技術」と「多目的最適化技術」を活用することで、サイズ・重量・強度・放熱などの複合条件を満たす構造案を自動生成できるようになりました。これにより、短期間で高度な要求に対応する高性能筐体の設計が可能になりました。

トポロジー最適化技術:設計コンセプト・モノづくり工法・材料候補を選択し、出力される複数の結果から強度・コスト・質量のバランスを見て、最適な形状を選択します。

多目的最適化技術:伝熱解析を対象とした多目的最適化を活用し、出力される複数の結果から温度・コスト・質量のバランスを見て、最適な形状を選択します。

最適化技術の活用前後の筐体設計工数の比較
トポロジー最適化技術
筐体温度優先のイメージ画像
アセンブリ質量優先のイメージ画像
ヒートシンクコスト優先の説明画像

①筐体温度優先

ヒートシンクサイズが大きい

②アセンブリ質量優先

ヒートシンクが小さいため、下記で冷却

  • 通気口サイズアップ
  • 空気の通過スペースアップ

③ヒートシンクコスト優先

温度と重量は①と②の中間

①筐体温度優先 ②アセンブリ質量優先 ③ヒートシンクコスト優先
ヒートシンクサイズ [mm] 36.7×68.7×14.4 16.4×69.6×13.8 19.6×48.5×11.3
筐体温度 45℃ 60℃ 50℃
ヒートシンクコスト ¥22,000 ¥19,000 ¥18,000
質量 165g 115g 120g
最適化結果(3Dプロット)

多目的最適化技術を用いた最適化結果

アプリケーション/ソリューション設計技術の実用例 ~製品紹介~

ムラタの技術