ムラタの筐体設計技術は、長年培った設計技術力をベースにフロントローディング化を徹底することで進化してきました。従来は、量産段階の手前で課題が顕在化することもありましたが、現在では最新ツールと解析技術を初期設計に組み込み、設計段階での完成度を大幅に高めています。
設計技術力の蓄積
製品開発終了後に必ず振り返りを行い、不具合事例(過去トラブル)は「再発防止リスト」に登録し、成功事例や改善点は「設計ガイドライン」に反映しています。こうした継続的な知見の蓄積が、設計者のスキルと設計精度の向上につながっています。
筐体設計技術の蓄積
フロントローディングを支える具体技術の確立
(1)シミュレーション技術
従来は、成形トライの段階で問題が発覚していましたが、設計段階から樹脂流動解析を実施することで、筐体形状やゲート位置を最適化し、不具合を事前予測・対策できるようになりました。さらに、繊維配向データを強度解析に反映させることで、成形後の力学特性を高精度に予測できています。これにより、成形トライ回数を減らし、時間とコストを削減しています。
樹脂流動解析+応力解析
繊維強化樹脂の繊維配向を樹脂流動解析で導出し、その結果を応力解析に反映することで、実測値との誤差が少ない精度の高い応力解析結果を得た事例
(2)リバースエンジニアリング技術
従来の寸法手計測に比べ、高精度3Dスキャナを用いることで、形状データを短時間で取得しCAD化できるようになり、自由曲面も忠実に再現可能となりました。これにより、初期設計から既存部品との干渉確認や解析が可能となり、設計期間を大幅に短縮しています。
リバースエンジニアリング
例:ミリ波レンズアンテナ(φ50mm)
(3)防水設計技術
従来の生活防水構造に比べ、シール面圧・変形・浸入経路を解析する独自シミュレーション技術を用いて、防水構造を定量的に最適化しています。これにより、車載製品の高圧洗浄試験や豪雨環境でも漏れなく安定動作する設計が可能になりました。
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防水技術事例:IPX4~IPX7対応の防水手法
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防水技術事例:IPX9K対応の防水手法
(4)最適化技術
従来は、設計者の経験や試行錯誤に頼っていましたが、「トポロジー最適化技術」と「多目的最適化技術」を活用することで、サイズ・重量・強度・放熱などの複合条件を満たす構造案を自動生成できるようになりました。これにより、短期間で高度な要求に対応する高性能筐体の設計が可能になりました。
トポロジー最適化技術:設計コンセプト・モノづくり工法・材料候補を選択し、出力される複数の結果から強度・コスト・質量のバランスを見て、最適な形状を選択します。
多目的最適化技術:伝熱解析を対象とした多目的最適化を活用し、出力される複数の結果から温度・コスト・質量のバランスを見て、最適な形状を選択します。
最適化技術の活用前後の筐体設計工数の比較
トポロジー最適化技術
最適化結果(3Dプロット)
多目的最適化技術を用いた最適化結果