技術解説
ムラタの電池デバイス設計技術は、材料を含む電池デバイスの設計技術にとどまらず、複数の電池を組み合わせて制御するモジュール技術や、システム全体を管理する技術開発にも取り組んでいます。このため、電池本体から周辺技術まで幅広い技術を保有している点が特長です。
具体的には、世界で初めて商品化に成功したリチウムイオン二次電池の材料技術を基に、電池の特性を向上させるための電池設計、さらに電池の性能を引き出すためのバッテリモジュール・バッテリシステム・蓄電システムなど、多様な技術を展開しています。
また高度な材料技術や設計技術、回路および制御設計による安全設計を重視しています。これらの技術を統合する「インテグレーション技術」により、信頼性・安全性を高め、さまざまな用途や市場ニーズに応えることが可能です。
特に、長期信頼性が求められるオリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池(FORTELION)は、商品化以来、15年以上の実績があり、顧客からも高い評価をいただいています。
オリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池(FORTERION)とバッテリモジュール / システム
オリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池(FORTERION)とバッテリモジュール / システム
技術の強み
ムラタの電池デバイス設計の強みは、リチウムイオン二次電池において、高容量・高出力・長寿命をバランス良く実現する独自設計にあります。
特に近年社会問題となっているリチウムイオン二次電池の発火事故に対して、約30年前からこの課題に取り組み続け、高安全ゲル電解質を用いたポリマー電池や熱安定性に優れたオリビン型リン酸リチウム正極材料を用いたFORTELIONを商品化してきました。この際、電解液は液漏れがなく引火点が高いポリマー電解質、正極は酸化雰囲気焼成から還元雰囲気焼成に変更するなど、材料と工法を大幅に見直しました。このチャレンジには多くの苦労が伴いました。そして、今もその課題意識と取り組み姿勢は変わっていません。電動工具や園芸工具向けの高出力リチウムイオン二次電池においても、これらの要素技術が活かされています。
またバッテリモジュールでは、各電池の性能を最大限に引き出すために最適な回路制御技術や低抵抗技術を採用し、システム全体ではBMS(バッテリマネジメントシステム)による精密な監視と多重の安全機能を備えています。これにより、多様な市場ニーズに迅速かつ的確に対応し、民生用から産業用まで、長寿命・高信頼性・高効率なバッテリソリューションを提供できています。
電解質がゲルポリマーであることの優位性
オリビン型リン酸鉄リチウム(FORTELION)の特長