材料技術 無機材料技術

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要約

  • 一般的な無機材料技術は、金属酸化物や窒化物、フェライトなどの無機素材について、その構造や組成を制御し、所望の電気的・磁気的・機械的特性を引き出すための技術を指します。
  • ムラタの無機材料技術は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)向けの誘電体セラミックスをはじめ、圧電体材料・半導体材料・磁性体材料など、多岐にわたります。
  • ムラタの無機材料技術の強みは、セラミック材料の粒径・組成・微細構造を自社技術で精密に制御することで、高性能・高信頼性の電子部品を実現していることです。代表的なチタン酸バリウム(BaTiO3)系誘電体は、微粒化から焼成の工程やコアシェル構造の最適化により、電気特性や耐熱性を向上させ、積層セラミックコンデンサの小型・大容量化に貢献しています。
  • ムラタの無機材料技術は、積層セラミックコンデンサの小型・大容量化を支える誘電体素子やNi内部電極の薄層化・多層化に貢献しています。材料の微細化・均質化により信頼性を確保し、特にNi電極の採用には耐還元性を持つ誘電体設計が重要です。粉末の微細化やシート成形時の表面平滑化など、材料技術の進化が製品性能向上を実現しています。

ムラタの無機材料技術とは

技術解説

ムラタの無機材料技術は、「誘電体」「圧電体」「半導体」「磁性体」などの多様なセラミック材料を扱い、自社技術によって高性能・高信頼性の電子部品を実現しています。

誘電体材料技術:高誘電率をもつチタン酸バリウム(BaTiO3)などを使用し、積層セラミックコンデンサの誘電層を構成します。この層はコンデンサの静電容量や耐圧特性を決定する重要な基幹材料です。

圧電体材料技術:圧力や振動を電気信号に変換、または電気信号を機械的振動に変換する機能を持ちます。ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)などを用い、圧電特性・温度特性を用途に合わせて設計します。測距用超音波センサ、精密制御用マイクロアクチュエータなどに不可欠な機能を提供しています。

半導体材料技術:温度・電圧などの外部環境が変化することによって電気抵抗が変化します。物理信号を電気信号に変換します。半導体セラミックス(例:NTCサーミスタ用酸化物)は、材料の組成制御により、高精度に温度を測定できます。車載・産業・医療分野のセンシングや制御用途に広く使用されています。

磁性体材料技術:磁気特性を利用してエネルギー変換やノイズ抑制を行います。フェライト系磁性材料を中心に、透磁率・飽和磁束密度・損失特性を用途別に最適化しています。インダクタ・EMI除去フィルタなどで高効率な電力変換と高周波ノイズ低減を実現しています。

ムラタの無機材料技術の体系図

技術の強み

ムラタの無機材料技術の強みは、多様なセラミック材料を自社技術により、粒径・組成・微細構造まで精密に制御できることです。これにより、高性能かつ高信頼性の電子部品を創出することが可能です。

代表例が、積層セラミックコンデンサに使用されるチタン酸バリウム(BaTiO3)系誘電体セラミックスです。この材料は、高純度粉末をサブミクロン単位に微粒化し、プレス成形やシート成形で加工します。その後、精密制御された焼成炉で焼結することで、緻密化と均質化し、電気特性や耐熱性の安定性を確保します。

セラミック粒内は、強誘電性を持つコア部と、その周囲を包む常誘電性のシェル部からなるコアシェル構造を持つことが特徴です。シェル部には添加物が固溶しており、コア部との体積比率が材料特性に大きく影響します。焼成条件や添加物量を最適化することで特性向上が可能です。例えば希土類元素Dy(ジスプロシウム)をシェル部に固溶させると、静電容量の温度特性を平坦化でき、部品寿命も延長できます。

このようなコアシェル構造をはじめとする高度な微細構造制御技術は、積層セラミックコンデンサの薄層化・大容量化に不可欠な役割を果たしています。

コアシェル構造の図
材料設計および微細構造制御に関する要素技術

技術の進化

ムラタの無機材料技術は、積層セラミックコンデンサの小型化・大容量化を牽引してきました。この進化を支えているのが、誘電体素子やNi内部電極の薄層化・多層化技術です。これらを実現するためには、誘電体や内部電極の材料そのものを微細化し、均質化することが不可欠です。

薄層化の過程では、不均一性や異常部位の発生といった課題も顕在化しました。しかし、材料の品質向上を目指し、微細化や均質化の技術改良を継続的に実施することで信頼性を確保してきました。特に、低コストなNi内部電極を採用するには、耐還元性を備えた誘電体材料の設計が重要な鍵となりました。

さらに、誘電体粉末やNi粉末の微細化・均質化、誘電体シート成形工程における基材表面の平滑化など、積層セラミックコンデンサを構成するあらゆる材料技術の進化が、製品性能の飛躍的な向上の実現を可能にしています。

誘電体層とNi内部電極の薄層化・多層化技術
MLCCの小型化・大容量化における誘電体層/Ni粉末の変遷

本技術の応用例

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