材料技術 有機材料技術

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要約

  • 一般的な有機材料技術とは、炭素を主成分とする有機化合物(低分子・高分子)を基盤とした材料の開発・加工・応用技術を指します。
  • ムラタの有機材料技術は、電子部品に求められる仕様に応じて、製造工程を支える「成形加工補助材料技術」から、構造・性能を長期保持する「機能維持成形材料技術」、さらには主要機能を担い高付加価値化を実現する「機能発現成形材料技術」まで、多様な技術を展開しています。
  • ムラタの有機材料技術の強みは、電子部品の要求仕様を最適な有機材料へ迅速に翻訳できる点です。この「翻訳」は、性能や信頼性、加工条件などの要求事項を、具体的な物性値や加工プロセスに変換することを指します。ムラタは、電子部品の性能や信頼性に影響する材料因子とそのメカニズムに関する膨大な知識を有しており、この知識に基づいて新たな要求仕様に応じた有機材料を迅速に開発することができます。
  • ムラタの電子部品は、セラミック材料の機能を活用したセラミック電子部品から、有機材料の機能を活用した有機系電子部品へと広がってきています。それに伴い、有機材料技術は、電子部品のモノづくりを縁の下で支える「成形加工補助材料技術」から、電子部品の主要機能を支える「機能維持成形材料技術」に広がり、最近では電子部品の主要な機能を有する「機能発現成形材料技術」へと進化しています。これからも、自社製品の進化と共に、各有機材料技術は進化し続けていきます。

ムラタの有機材料技術とは

技術解説

ムラタの有機材料技術は、電子部品における有機材料の役割を「製品中に残る/残らない」と「製品の主要機能を担う/担わない」という二つの観点で分類し、この組み合わせに基づいて、「成形加工補助材料技術」「機能維持成形材料技術」「機能発現成形材料技術」の三つのカテゴリーに整理しています。

成形加工補助材料技術:成形加工補助材料技術は、電子部品の製造過程において成形加工性を向上させる役割を果たしますが、最終的には製品内部に残らない材料技術です。この技術は、「モノづくりを縁の下で支える有機材料技術」として重要です。
例えば、セラミックコンデンサの製造過程では、セラミックペーストをキャリアフィルムに塗工してグリーンシートを作製します。この際のペーストには、セラミック粉末の分散を安定化させる分散剤の選定・配合技術、キャリアフィルムへの塗工性を確保するレオロジー制御剤の選定・配合技術、さらに密着性を制御するためのバインダーや各種添加剤の選定・配合技術が用いられます。

機能維持成形材料技術:機能維持成形材料技術は、電子部品の主要な機能を担うわけではありませんが、製品内部に残り、過酷な使用環境や長期使用による製品の劣化を防ぎ、製品の構造と機能を長期維持するための材料技術です。この技術は、「電子部品の主要機能を支える有機材料技術」として重要です。
例えば、巻線メタルアロイ型パワーインダクタでは、金属磁性粉間の密着性を確保するため、樹脂コートされた金属磁性粉を熱圧着して成形します。この際、金属磁性粉と樹脂との界面接合を安定して確保できる異種材料技術が用いられます。

機能発現成形材料技術:機能発現成形材料技術は、電子部品内部に残り、主要な機能を担うことで付加価値を高める材料技術です。この技術は、「電子部品の主要な機能を有する有機材料技術」として重要です。
例えば、LCP多層基板(メトロサーク)では、高周波用途に対応するため、低誘電率かつ低誘電正接の誘電体基板が必要となります。この要求に応える材料技術として、液晶高分子(LCP)を用いた誘電体基板成形技術があります。

製品の主要機能を
担わない 担う
製品中に 残る 機能維持成形材料技術
~電子部品の主要機能を支える有機材料技術~

【巻き線メタルアロイ型パワーインダクタ など】
機能発現成形材料技術
~電子部品の主要な機能を有する有機材料技術~

【LCP多層基板(メトロサーク) など】
残らない 成形加工補助材料技術
~モノづくりを縁の下で支える有機材料技術~

【積層セラミックコンデンサ など】

ムラタの有機材料技術分類

技術の強み

ムラタの有機材料技術の強みは、電子部品の要求仕様を最適な有機材料へ翻訳できることです。この「翻訳」とは、電子部品に必要とされる性能・信頼性・加工性などの要求事項を、材料選定や設計に必要な物性値・組成・加工プロセス条件に置き換えることを意味します。

有機材料技術は、ムラタの電子部品にとって必要不可欠な技術であり、その歴史を通して、性能・信頼性・加工性に影響する様々な材料因子とそのメカニズムを習得してきました。新たな電子部品の要求仕様が決まったら、この膨大に蓄積された材料因子に関する知識に基づき、その要求仕様に最適な有機材料をスピーディーに開発することが可能となります。

要求仕様を最適材料に翻訳できるムラタの技術力

技術の進化

ムラタの電子部品は、誘電体・圧電体・磁性体・半導体などの機能を活用したセラミック電子部品から、有機材料の機能を活用した有機系電子部品へと徐々に広がってきており、それに伴って有機材料技術も進化してきました。その進化は、「電子部品の脇役から主役へ」の進化とも言えます。

ムラタの有機材料技術は、「成形加工補助材料技術」からスタートしました。積層セラミックコンデンサを例にすると、誘電体シートや内部電極の薄層化の要求の高まりと共に、分散制御技術はより微細粒子の分散性と安定性を確保する技術へ、レオロジー制御技術はより薄く均一な塗工性を確保する技術へ、密着性制御技術はキャリアシートとのより精密な密着性を確保する技術へと進化しています。

次いで、「機能維持成形材料技術」へと領域を広げました。材料が多岐に亘るため、異種材料接合技術は、セラミック/有機材料界面のみでなく、金属/有機材料界面や異なる有機材料界面の接合制御技術へと進化しています。また、有機材料の絶縁破壊特性制御技術や耐湿信頼性制御技術や耐環境性制御技術にも拡大しています。

さらに、ユビキタス社会のニーズの高まりと共に、ウェアラブルデバイスや高周波対応デバイスの要求が高まっています。有機材料は、誘電体・圧電体などの機能を有し、無機材料よりも加工し易く軽量である特長を有しています。この特長を活かし有機材料自体の誘電特性・圧電特性を制御する「機能発現成形材料技術」へと進化させています。

これからも、ムラタの電子部品の進化と共に、有機材料技術は「成形加工補助」「機能維持成形」「機能発現成形」の各分野で進化を続けていきます。

ムラタの有機材料技術へのニーズと進化

本技術の応用例

本技術は、研究開発から量産段階にあるムラタの製品とその製造に適用されています。

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