生産技術 熱処理技術

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要約

  • 一般的な熱処理技術は、材料や部品に熱を加え、その性質や性能を変化させる加工方法を指します。
  • ムラタの熱処理技術は、単に熱を加えるだけではなく、熱処理設備を反応槽と捉えて、設備内で発生する化学反応を制御することを重視しています。主にセラミック部品の脱脂・焼成・外部電極焼付などの工程で活用されています。
  • ムラタの熱処理技術は、セラミックスや金属粉末を成形後、低温でバインダー除去、高温で焼結させ最適な結晶状態を実現する重要技術です。「プロセス」「設備設計・製作」「道具材」「マテリアルハンドリング(マテハン)」の4要素から成り、温度や雰囲気制御、道具材選定・配置、製品搬送を最適化し、新製品創出や生産性向上に貢献しています。
  • 垂直統合で開発を進めていることもあり、材料・製品に応じた最適熱処理技術を開発・製造部門と連携して提供できることに強みがあります。なお、熱分析技術・専用設備を多く所有しており、設計提案や現場課題解決も行います。
  • 時代とともに、薄層化・小型化や大量生産に対応してきました。従来の暗中模索から、熱処理途中の現象を理解するシミュレーション技術を有効活用する等で、より科学的根拠に則った工法・設備の開発を実現しています。また、環境負荷低減対策も展開し、高品質・高信頼性と環境対応を両立、持続可能なモノづくりを実現しています。
  • 本技術は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)・EMI商品・圧電商品・多層商品など、ムラタの多くのセラミック電子部品の製造に応用されています。

ムラタの熱処理技術とは

技術解説

ムラタの熱処理技術は、各材料に求められる熱環境を理解し、その環境を創りだすことで材料性能を最大限に引き出し、電子部品としての命を吹き込みこむ、最重要技術のひとつです。

主な電子部品は、セラミック粉末(チタン酸バリウムやフェライトなど)や金属粉末(NiやAg、Cuなど)をバインダーや溶媒と混合し、製品形状に成形されます。部品特性を発現させるために、低温域で不要なバインダー溶媒を分解・除去し、高温域ではセラミックスを焼結させて狙いの結晶状態を作り出す必要があります。この様に製品に熱を加える一連を熱処理工程と言います。

ムラタの熱処理技術は、この工程を支える「熱処理プロセス技術」「熱処理設備の設計」「製作技術」「道具材技術」「マテリアルハンドリング(マテハン)技術」からなります。

  • 熱処理プロセス技術:材料・製品の特性を十分に理解し、温度だけでなく周囲の雰囲気の制御も含めた最適な熱処理方法を探求・創出します。これにより、各製品性能を最大限に引き出す条件を構築しています。
  • 熱処理設備の設計・製作技術:プロセス技術で導き出した最適条件を実現する環境、すなわち「炉」を具現化する技術です。これには温度・雰囲気を高精度で制御できる機構設計や、耐久性・省エネ性を兼ね備えた構造設計が求められます。
  • 道具材技術:製品を炉に投入する際に用いる皿状の治具に関する技術です。この道具材は製品と直接接触することがあり、繰り返し高温にさらされるため、材質や形状の選定に高度なノウハウが必要です。また、生産性向上や不良発生・バラツキ防止のためには、道具材上での製品の配置方法も重要な要素となります。
  • マテリアルハンドリング(マテハン)技術:製品を所定の位置へ正確かつ効率的に移動させるための自動機制御技術です。この技術により、熱処理工程における均一性と安定性が確保され、量産においても一貫した品質を保つことが可能になります。
ムラタの熱処理工程とそれを支える技術

技術の強み

ムラタの熱処理技術の強みは、材料や製品の特性に最適な熱処理方法を提供できることです。この背景には、自社内の各開発部門と密接に連携し、開発段階から材料や製品の詳細な物性を把握していることがあります。さらに、熱処理の各段階で起きる化学反応や物理的変化を解析できる、自社開発の多様な熱分析技術・装置を備えており、知見を蓄積しています。これらの情報をもとに、温度や雰囲気などを精密に制御できる生産設備や治具を具現化しています。また、熱処理の視点から材料や製品の設計部門へ提案し、熱処理しやすい構造や仕様に変更を依頼することもあります。各開発部門と協働することで、熱処理技術の力を最大限に活かし、新製品をタイムリーに創出することに貢献しています。

加えて、製造部門から現場の課題や改善要望が忖度なく共有されるため、プロセスと設備の両面から総合的に課題を解決できます。こうした製造部門との連携活動を通じて、プロセスや設備の継続的な改善を進め、より高品質かつ安定した生産を実現しています。

製品に最適な熱処理技術の提供

技術の進化

ムラタの熱処理技術は、製品の薄層化・小型化の進展に伴い、熱処理環境の影響を最小限にできるよう、より複雑かつ精密な制御へと進化してきました。加えて、生産数量の増加に伴い、1回の熱処理で数百万個を超える製品を、バラツキなく効率的に処理できる体制も確立しています。

従来は、高温かつ密閉された炉内での変化を直接観察することが難しく、熱処理後の製品を確認しながら試行錯誤を繰り返して条件を探るしかありませんでした。しかし、自社の熱分析技術や装置開発によって、熱処理中の変化をIn-Situで捉えることを可能にしました。これにより、熱処理中の課題を明確化し、理想的な条件を抽出できるようになっています。さらにシミュレーション技術を駆使して、炉体の熱歪み・温度分布・ガス流れ・反応状態などを事前解析し、この結果を設備設計に反映することで、温度や雰囲気を精密に制御できる独自の熱処理方法を実現しています。

また、環境負荷低減の観点から省エネルギー化に取り組み、熱効率の高い炉やエネルギーリサイクル技術を導入しています。こうした取り組みにより、安定した高品質・高信頼性の製品製造と、持続可能なモノづくりの両立を実現しています。

ムラタの熱処理技術の進化

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