材料技術 金属材料技術

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要約

  • 一般的な金属材料技術は、自動車ボディに代表される機械的性質を活かした構造材料や、化学的性質を利用した触媒材料など、幅広い分野で活用されています。エレクトロニクス分野でも、電流や電磁気の利用を目的に多様な金属材料が用いられ、電気信号や電力を伝える電気導体はその代表例です。
  • ムラタの金属材料技術は、「金属材料の性能を引き出す技術」「金属材料を複合化する技術」「金属材料を加工する技術」で構成されています。
    これらの技術は製品の信頼性を高めることに寄与します。セラミックコンデンサの内部電極厚さは部品の小型化により0.2µmまで薄くなっています。電極の平滑性やセラミックスとの密着性がこれまでとは比較できないほど高いレベルで要求されてきています。
    また、磁性コア材料などの機能性金属材料の性能を引き出すことにも寄与します。電子部品の小型化が進むにつれて、限られた材料の体積からより多くのエネルギーを利用することが求められており、機械や熱による加工で性能が劣化するのを防ぐだけではなく、異なる材料と複合化することで単体では得られない効果を発現することが重要です。

ムラタの金属材料技術とは

技術解説

ムラタの金属材料技術は、小型で高機能かつ高信頼性の電子部品を実現するため、電極や磁性コア材料を自社開発し、高度な制御によって性能を最大限に引き出しています。この技術は、「金属材料の性能を引き出す技術」「金属材料を複合化する技術」「金属材料を加工する技術」で構成されています。

金属材料の性能を引き出す技術:熱処理などによって金属組織を変化させ、所望の特性を得る技術です。金属材料には、規則的な結晶構造に加え、固体同士が溶け込んだ固溶体や不規則なアモルファス構造など多様な形態があり、これらの構造は材料の性質に大きく影響します。
具体的には、電子部品の内部電極形成において、ニッケル・銀・銅といった金属材料をセラミックスと同時に焼成し一体化する時の焼結挙動を、金属粒子の粒子サイズ・表面状態・結晶化度・微量添加物といった因子を最適化し精密に制御する技術です。高精度で均質な電極を形成するためには均一混合・粉砕・分級といった技術も不可欠です。

電極材料の複合化プロセス

金属材料を複合化する技術:金属粒子の表面を被覆処理したり、樹脂と混合するなどして複合的な構造を形成する技術です。複合化することで新たな機能や優れた機能を発現させることが可能です。均質で高品質な複合構造を得るためには、化学的性質への深い理解と粉体の精密なハンドリング技術が求められます。例えば、被膜の種類や膜厚の制御、金属材料と樹脂の組み合わせの新たな設計、均質に混合するプロセスの開発をしています。

複合化材料の構造例

金属材料を加工する技術:材料を製品の形状へと精密に成形する技術です。例えば、直径2mmのインダクタを作る場合、金型の小さな穴に原料粉末を充填し、均一かつ正確に圧力を加える必要があります。圧力が過剰でも不足しても性能が劣化するため、繊細な調整と工夫が求められます。

技術の強み

ムラタの金属材料設計技術の強みは、長年にわたり蓄積してきた材料科学の知見と高度な加工・制御技術を基盤に、用途や性能要求に応じた材料構成を精密に設計できる点にあります。特に、金属材料の加工前の状態と最終製品になるまでの中間状態を、よく観察・分析し、制御することで、理想的な性能を備えた金属材料へと仕上げています。

金属材料の性能を引き出す技術の強み:独自の粉体制御と混合技術を駆使し、用途ごとに最適な電気特性と高い信頼性を備えた電極を設計できる点にあります。長年蓄積してきた膨大な知見をもとに、材料選定から加工条件までを総合的に制御し、製品性能を最大限に引き出しています。
その一例がLCフィルタです。1つの製品の中に、①コンデンサを形成する容量電極、②インダクタを形成するライン電極、③層間を接続するためのビア電極、④製品を基板と接続する外部電極、という4種類の銅電極を組み込み、機能に応じて設計指針を変えています。例えば容量電極には薄く平滑でガラスセラミックスとの密着性が高い設計を用い、ライン電極には細く厚く大電流に耐えられる設計を採用します。
こうした機能の異なる金属材料は焼結温度が異なるため、微量添加物による成分調整や金属表面のコーティングによって、近い温度で焼結するよう制御します。さらに、製造プロセスでの安定性を考慮し、電極材料設計を最適化しています。
LCフィルタに限らず、ムラタのセラミック電子部品の全てにおいて同様の最適化が行われており、その過程で蓄積した長年の経験と技術知見の集合体こそが、「金属材料の性能を引き出す技術」の基盤となっています。

LCフィルタの断面構造図例

金属材料を複合化する技術の強み:金属と樹脂を組み合わせ、単一素材では得られない機能や性能を創出できることです。このためには、製造工程で生じる材料の変化を徹底的に分析し、金属材料と樹脂の界面状態を明らかにして、目に見えないミクロな構造を制御しています。
代表例が、パワーエレクトロニクス回路で使われるメタルアロイパワーインダクタです。金属磁性粉と絶縁性樹脂を組み合わせた複合材料に、熱と圧力を加えて充填率を高め、性能を向上させています。磁性コアの高性能化のためには、高信頼性の樹脂を金属粒子に均一に被覆させることが重要です。被膜が薄すぎても厚すぎても製品特性は劣化します。樹脂材料の選定や界面の制御方法、混錬方法の向上に取り組んでいます。
培った設計ノウハウにより、高効率で高信頼性の金属複合材料製品を提供しています。

巻線メタルアロイの構造と外観
巻線メタルアロイの断面図

メタルアロイパワーインダクタの断面構造図例

挿入画像の参照元: パワーインダクタ基礎講座-第1章別ウィンドウで開く

技術の進化

金属材料の性能を引き出す技術の進化:電子部品のさらなる小型化や高信頼性化の進展に合わせて進化してきました。1970年に積層セラミックコンデンサが実用化された当初、内部電極の厚さは10〜20µmでしたが、現在では最も薄いもので0.2µm以下にまで微細化されています。さらに、高周波帯で伝送ロスを低減するためには、内部電極には高い導電率と表面平滑性が求められます。このため、粗大粒子や不純物を極力減らし、より微粒な金属粉末を精密に制御することで、内部電極材料技術は進化を続けていきます。
また、持続可能な社会の実現に向けて、電極材料においても環境負荷の低減は避けられない課題です。リサイクル原料由来の金属材料の活用や、環境影響の少ない化学物質を用いた電極材料設計に取り組み、性能と持続可能性の両立を目指しています。

課題 技術の進化
内部電極の厚さ 0〜20µmから最薄0.2µm以下へ
高周波帯の伝送ロス 粗大粒子や不純物の削減
微粒な金属粉末の精密制御
環境負荷の低減 リサイクル原料由来の金属材料の活用
環境影響の少ない化学物質を用いた電極材料設計

内部電極材料技術の進化

金属材料を複合化する技術の進化:金属材料を複合化する技術は、DC-DCコンバータに用いられるメタルアロイパワーインダクタの進化を支えています。
金属磁性粉は、電流による磁場で磁化・蓄エネルギーを行い、電流が減ると放出します。しかし、過大電流では損失増や磁化飽和が生じ、十分な蓄エネルギーが得られないという問題があります。このため、低損失材料の採用、表面絶縁性の向上、粒径分布の最適化などにより磁化飽和を抑制してきました。特に大粒径と小粒径の粉を組み合わせて充填効率を高め、磁束経路を改善することで対応できる電流を増加させています。
こうした工夫により、メタルアロイパワーインダクタは高効率かつ大電流に対応する部品へと進化してきました。AIの進化によりエレクトロニクスのエネルギー消費はますます深刻な課題となっていますが、ムラタはパワーインダクタの金属材料技術を一層進化させて持続可能な社会の実現に寄与していきます。

金属粒子間の被膜厚さ(隙間)が不均一で、磁束が乱れエネルギー蓄積が少なく、局所的に磁気飽和が発生。
被膜厚さを均一化し、磁束が安定して高エネルギーを蓄積でき、大電流に対応可能。

複合化状態と磁束との関係

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金属材料技術の実用例 ~製品紹介~

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