技術の実用例 ~製品紹介~ 小型・高精度・高信頼性をリードするムラタのサーミスタ

使用されている主な技術: グリーンシートプロセス技術, 無機材料技術, 熱処理技術, めっき技術, アプリケーション/ソリューション設計技術, センシング設計技術, 材料分析技術, 信頼性技術

サーミスタ

要約

  • ムラタのNTCサーミスタおよびPTCサーミスタは、非常に高い特性精度と信頼性を実現しています。特に、NTCサーミスタは、セラミック材料の粒径制御や積層セラミックコンデンサで培った積層構造技術によって、安定した温度特性と高い熱応答性を実現しています。PTCサーミスタは、内部電極の酸化を抑制しながらセラミックスを焼成する積層構造技術を確立し、これにより低抵抗の過電流保護用リセッタブルヒューズとして利用可能です。
  • さらに、ムラタはSMD(表面実装)タイプの小型化や鉛フリーはんだ対応など環境対応技術も推進しており、世界最小クラスとなる0402サイズ(0.4mm × 0.2mm)を実現したことで、電子機器の小型化・高性能化に貢献しています。

ムラタのサーミスタとは

製品解説

ムラタのサーミスタは、温度変化に応じて抵抗値が変化する半導体素子であり、高精度温度センサとして実現しています。主に「NTC(Negative Temperature Coefficient)」と「PTC(Positive Temperature Coefficient)」の2種類があります。

NTCサーミスタ:マンガン酸化物やコバルト酸化物などの酸化金属系セラミックスで構成され、温度が上がると抵抗が下がる特性を持っています。安定した温度特性と高い熱応答性に優れ、様々な機器の温度検知や温度補償の役割を広く担っています。また、標準的なADC(Analog-to-Digital Converter)を備えたマイコンで容易に温度検知回路を組める扱いやすさも特徴です。

PTCサーミスタ:ポジスタと呼ばれ、1959年にムラタが世界で初めて商品化したチタン酸バリウム系セラミック素子です。抵抗が急激に増加し、温度上昇時に過電流や過熱から回路を守る役割を果たします。異常が解消すれば抵抗値が元に戻るため、リセッタブルヒューズとして使用でき、繰り返しの保護動作と特性の安定性に優れています。

温度検知・温度補償用 NTCサーミスタ使用回路と出力特性
過電流保護用 PTCサーミスタ使用回路と出力特性

製品の強み

ムラタのサーミスタは、独自の材料技術と加工技術により、非常に高い特性精度と信頼性を実現していることが強みです。

NTCサーミスタ:セラミック材料の粒径や形状を非常に高い特性精度で制御し、高密度かつ均質に分布させる独自の加工技術を確立しています。また、積層セラミックコンデンサ開発で培った薄いセラミックシートを積層する技術を応用することで、温度特性の安定化と熱応答性の高速化を実現しています。

PTCサーミスタ:内部電極の酸化を抑制しながらセラミックスを焼成する積層構造技術を確立しています。チタン酸バリウム系材料の特性を活かし、抵抗変化の再現性や繰り返し動作時の安定性を確保しており、過電流保護や過熱防止といった安全機能を高精度で実現しています。

原料調合から製造・検査までの一貫生産体制と、国内外で統一された品質管理により、安定供給と高品質を両立しています。加えて、鉛フリー対応や耐熱・耐候性向上など環境面にも注力し、高精度かつ長期信頼性が求められる温度検知・保護用途で幅広く採用されています。

設計精度に応じて異なる温度誤差特性を持つNTCサーミスタ製品ラインアップ
高温域におけるB定数許容差を低減したNTCサーミスタ

製品の進化

ムラタのサーミスタは、時代のニーズに応じて着実に進化を遂げ、現在は電子機器の小型化と高密度実装のニーズに応え、SMD(表面実装)タイプへと進化しています。特に、世界最小クラスとなる0402サイズ(0.4mm × 0.2mm)を実現し、スマートフォンやウェアラブルデバイスなど、極めて限られたスペースにも実装可能となり、機器の軽量化・省スペース化に大きく貢献しています。この小型化を支えるのは、セラミック材料の粒径制御や内部電極の極薄化など、ムラタ独自の高度な加工技術です。

さらに、2025年5月には、世界初となる樹脂モールド構造でワイヤボンディング対応のパワー半導体用NTCサーミスタを商品化しました。これにより、パワー半導体近傍での正確な温度検知が可能になり、機器性能の最大限の活用に寄与しています。

さらに、耐熱性向上や鉛フリーはんだ対応などの環境対応を強化しつつ絶え間ない技術革新を重ねることで、小型・高精度・高信頼性の温度検知や過電流保護ソリューションを提供し、電子機器の発展と社会の多様なニーズに応え続けます。

※ Link: 当社調べ(2025年4月時点)。別ウィンドウで開く

製品サイズの小型化(温度特性を維持)
ムラタのサーミスタの歩み

製品の用途

ムラタのサーミスタは、その非常に高い特性精度と信頼性を活かし、多様な分野で利用されています。
通信や民生機器分野では、スマートフォンやPCなどのモバイル機器におけるバッテリーやプロセッサの温度監視に採用されています。
モビリティ分野では、電気自動車(EV)やハイブリッド車のバッテリーマネジメントシステム、医療機器の体温測定や装置内部の温度管理にも用いられています。
産業機器分野では、モータやインバータの過熱検知、冷却ファンの制御I/O端子の短絡保護など、多岐にわたり採用されています。
近年では、IoTやウェアラブルデバイスの普及に伴い、小型化・高精度化のニーズが高まり、そのニーズに応える形で技術を進化させ続けています。こうしてムラタのサーミスタは、私たちの身の回りの電子機器の安全性や快適性、省エネルギー化を支える重要な役割を果たしています。

製品仕様などは、製品情報サイトをご確認ください。

その他の実用例 ~製品紹介~

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