技術の実用例 ~製品紹介~ 高性能半導体の電源設計を支えるムラタのコンデンサ・インダクタiPaS

使用されている主な技術: アプリケーション/ソリューション設計技術, パワーモジュール設計技術, 実装技術, シミュレーション技術, 計測技術, 信頼性技術, めっき技術, 有機材料技術

iPaS

要約

  • iPaS(アイパス:Integrated Package Solution)は、独自のコンデンサおよびインダクタ技術を基板に内蔵し、電気特性やサイズを用途に応じて柔軟に設計できる基板ソリューションです。
  • iPaSは、電気的特性の向上と省スペース化を両立し、高性能・高密度な電源設計を実現します。
  • iPaSは、半導体メーカーとの対話をきっかけに開発が始まり、試作と改良を重ねて進化を遂げ、将来的にはコンデンサとインダクタの一体内蔵化を目指しています。

ムラタのコンデンサ/インダクタ内蔵基板iPaSとは

製品解説

ムラタのiPaSは、単なる部品の埋め込みではなく、ユーザーのシステムに合わせて仕様をカスタマイズできる、設計自由度の高い基板ソリューションです。

コンデンサiPaS

自社の導電性高分子アルミ電解コンデンサ技術と多層基板技術を融合して生まれた、コンデンサ内蔵型の基板製品です。

内蔵されるアルミ電解コンデンサは、独自の設計・製造プロセスにより、厚さ0.3~0.35mmの薄型シート状に加工され、基板内蔵に最適化されています。

コンデンサ内部にはスルーホールを備え、上下面にはレーザービア接続が対応可能なフラットな銅電極を配置することで、基板内から表面までの電気的接続が可能です。

さらに、アレイ構造を採用した設計により、インピーダンス特性・サイズ・回路配線・フットプリントなどの基板仕様をユーザー要求に応じてカスタマイズできます。

コンデンサ内蔵基板構造図
コンデンサ内蔵基板構造図

インダクタiPaS

フラットコイルを内蔵したインダクタ一体型基板製品です。

平面状に巻かれた複数のコイルを並列配置し、基板に内蔵することで、10A以上の電流に対応するパワーインダクタとして使用できます。

コイル径や線幅をカスタマイズ可能で、用途に応じて特性値を調整できます。

インダクタ内蔵基板構造図
インダクタ内蔵基板構造図

製品の強み

ムラタのiPaSは、受動部品を基板内に内蔵する独自技術により、電気的特性の向上と省スペース化を同時に実現し、高性能かつ高密度な電源設計を可能にすることが強みです。

ムラタのコンデンサiPaSの強み

コンデンサiPaSは、高周波帯域のインピーダンスを低減し、応答速度を向上させることで、システム全体の動作安定性を高めます。キーとなるのは内部に形成したスルーホールで、これにより電流経路を最短化し、ESL(等価直列インダクタンス)を低く抑えられます。また、大電流にも対応できるため、垂直電源供給(VPD)に最適であり、低消費電力化も可能にします。

  • ※VPD: 従来の水平電力供給システムと比べて、電源と負荷の配線距離を最小限に抑えて抵抗損失を減少させることで、システム性能を向上させる技術
内蔵コンデンサ断面図
内蔵コンデンサ断面図

ムラタのインダクタiPaSの強み

インダクタiPaSは、ソレノイドコイルを展開して平面配置したコイルアレイを基板に内蔵しており、高さ制約の影響を受け難い構造です。また、磁束集中のない構造であるとともに、閉磁構造であるため漏れ磁束が小さく、基板上にICを搭載して低背なモジュール設計を可能にします。

インダクタ内蔵による低背モジュール
インダクタ内蔵による低背モジュール

製品の進化

半導体メーカーとの対話がきっかけで、部品内蔵コンセプトの検討が始まりました。

社内での検討を進める中で、様々な種類のコンデンサの基板内蔵化を試みた結果、大容量内蔵に適したアルミ電解コンデンサの技術で開発を進めることを決定しました。その後、数多くの試作と改良を重ね、工程や設計の確立に至り、今日の製品へと進化させています。

現在は、コンデンサiPaSとインダクタiPaSをそれぞれ開発していますが、将来的には両者を同じ基板内に内蔵することを目指しています。これにより、さらなる高密度実装と安定した電源供給の実現が可能となります。

Power Deliveryを最適化するパッケージング技術の進化
Power Deliveryを最適化するパッケージング技術の進化

製品の用途

ムラタのiPaSは、特に、AIデータセンター市場のニーズに応えるために開発された製品です。

AIデータセンター市場では大電流化が進み、ますます高性能な半導体が求められる一方で、消費電力の増加が大きな課題となっています。そのため、高性能と低消費電力を両立させる半導体パッケージ技術や電源設計の重要性が、これまで以上に高まっています。大電流化に伴って増加する受動部品を、基板内に内蔵化できるiPaSは、こうした課題解決に貢献します。

ムラタのコンデンサiPaSの用途

大電流(>100A)を必要とする高性能半導体向けの電源モジュール基板やパッケージ基板に最適です。
用途例:AIプロセッサ向け電源モジュール基板・パッケージ基板

コンデンサiPaS適用イメージ
コンデンサiPaS適用イメージ

ムラタのインダクタiPaSの用途

高さ制限が厳しいAIデータセンターのハードウェア向け電源モジュール基板に最適です。
用途例:AIアクセラレータ向け電源モジュール基板・光トランシーバ向け電源モジュール基板

インダクタiPaS適用イメージ
インダクタiPaS適用イメージ

製品仕様などは、製品情報サイトをご確認ください。

その他の実用例 ~製品紹介~

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