技術の実用例 ~製品紹介~ 5GからIoTまで対応!最先端SAWデバイス

使用されている主な技術: 通信部品設計技術, 薄膜・微細加工技術, シミュレーション技術, 無機材料技術, 金属材料技術, 信頼性技術, 計測技術, めっき技術, IE技術

SAW Filter 1109size

要約

  • ムラタのSAWデバイスは、シミュレーション技術を活用した設計最適化、薄膜・微細加工技術を活用したIDT(Interdigital Transducer)作製、パッケージング技術を活用した樹脂封止を経て製造されます。
  • ムラタのSAWデバイスの強みは、良好な共振子Q特性・温度特性・高放熱性を持つI.H.P. SAW(Incredible High Performance SAW)と小型化を追求した幅広いサイズのラインアップを保有していることです。
  • ムラタのSAWデバイスは、通信技術の高度化に伴う限られた実装スペースへの高密度部品配置のニーズや5G技術に対する新たな仕様要求にも柔軟かつ迅速に対応し続けています。

ムラタのSAWデバイスとは

製品解説

ムラタのSAWデバイスは、圧電基板と櫛歯電極(IDT)で構成される高選択性のフィルタリングデバイスです。櫛歯電極の設計や圧電材料の選定により、特定の周波数を効率よく抽出し、通信信号の安定化を図る役割を持っています。これにより、電子機器の高性能化に貢献しています。

  • フィルタリング特性:櫛歯電極の間隔によりフィルタリングする周波数が決まり、使用する圧電材料で帯域幅が設定されます。この電極設計と材料選定を、先進的なシミュレーション技術を駆使して最適化することで、フィルタ損失が最小限に抑えられます。
  • 製造方法:製造過程では、まず圧電基板上に櫛歯電極をフォトリソグラフィ技術で形成し、その後ダイシング技術で個片化し、パッケージ基板と接合します。最後に、樹脂で封止して完成品化しています。
  • デバイスの特長:最大の特長は「高選択性」です。特定の用途に向けた無線周波数を効率的に抽出できるため、通信関連の電子機器に欠かせない存在です。
SAW Filter 1109size
SAW Filter 1109size

挿入画像の参照元: I.H.P. SAW技術を用いた高性能ISM2.4GHzフィルタの商品化別ウィンドウで開く

一般的なWi-FiTM向けSAW Filterの通過特性です

製品の強み

ムラタのSAWデバイスは、業界トップクラスの「高性能化」と「小型化」を同時に実現する独自技術を備えていることが強みです。

  • 高性能化:本来、SAWデバイスは、温度変化による特性変動の影響を受けやすいですが、ムラタでは、これを最小限に抑えるTC-SAW(Temperature Compensated SAW)技術を確立しています。従来品が-50ppm/°C程度の温度特性を持つのに対し、ゼロppmに近い温度安定性を実現しています。
    さらに、従来SAWでは対応が困難でバルク弾性波デバイス(BAW)が主流だった高難度領域にも、優れたQ特性・温度安定性・高放熱性を持つI.H.P. SAWの開発・量産化によって、対応可能としています。
    ゼロppmに近い温度特性を実現したTC-SAW技術
    ゼロppmに近い温度特性を実現したTC-SAW技術
    優れたQ特性で低挿入損失&高減衰を実現したI.H.P. SAW技術
    優れたQ特性で低挿入損失&高減衰を実現したI.H.P. SAW技術
  • 小型化:設計の最適化と進化したパッケージング技術により、チップサイズを大幅に小型化しています。具体的には、Single Filterでは0907サイズ(0.9mm × 0.7mm)において世界最小、Duplexerでは1411サイズ(1.4mm × 1.1mm)、Quadplexerでは1612サイズ(1.6mm × 1.2mm)を実現しています。これにより、限られたスペースに高性能なデバイスを搭載することが可能となり、スマートフォンやウェアラブルデバイスなど、さまざまな製品に適用されています。

※ Link: 当社調べ。2019年6月末時点。別ウィンドウで開く

製品の進化

ムラタのSAWデバイスは、通信技術の進化に伴い、ほぼすべての新しいセルラー通信周波数に対応したラインアップを揃え、かつ製品の小型化を実現してきました。

最初にセラミックパッケージ封止タイプを立ち上げ、その後CSP(チップサイズパッケージ)技術を導入することでコンパクト化しています。CSPタイプにおいても、2010年と比較して製品の面積を半分以下に縮小しています。更に最新の技術であるI.H.P SAWを開発し、より高い性能と放熱性を実現しています。

また、公規格の改定により、新しいセルラー通信周波数が次々と登場する中で、CA(キャリアアグリゲーション)やEN/DC(E-UTRA NR Dual Connectivity)の5G技術への対応では、複数バンドの送受信フィルタを1つのパッケージで実現するマルチプレクサを量産しています。このように、ムラタのSAWデバイスは、常に進化を続ける通信市場に柔軟かつ迅速に対応し、顧客ニーズに応える製品を提供しています。

SAW Filterのサイズ変遷
SAW Filterのサイズ変遷

製品の用途

SAWデバイスは、携帯電話に加え、Wi-FiTMルーター・GNSS(全地球航法衛星システム)・スマートウォッチといったウェアラブル端末・IoTデバイス・スマート家電・モビリティなど、幅広い分野で活用されています。

特に、GNSSのように高い周波数選択性や微弱信号の取り扱いが求められる用途では、SAWデバイスの持つ高選択性が重要な役割を果たしています。

さらに、新しい通信方式として宇宙衛星を利用した非地上系ネットワーク(NTN)が実用化されており、既存のセルラー通信と同様にSAWデバイスの高選択性が不可欠です。

今後も、無線通信の多様化・高度化に伴って、その用途領域はさらに拡大していくことが見込まれます。

製品仕様などは、製品情報サイトをご確認ください。

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