技術の実用例 ~製品紹介~ ムラタの技術力と長い実績を誇るMADE IN JAPANの多層LCフィルタ群

使用されている主な技術: 通信部品設計技術, 無機材料技術, グリーンシートプロセス技術, 熱処理技術, シミュレーション技術, 金属材料技術, めっき技術, 計測技術, 信頼性技術, 精密加工技術, アプリケーション/ソリューション設計技術

多層LCフィルタ群

要約

  • ムラタの多層LCフィルタ群は、インダクタ(L)とコンデンサ(C)を形成したセラミックシートを積み重ねた製品で、フィルタやダイプレクサ・カプラ・バランなど、通信規格の進化に対応した多機能製品を揃えています。
  • ムラタの多層LCフィルタ群の強みは、日本国内の一貫生産と、独自のCC Co-fire技術とで、小型・低背品のラインアップを実現し、微細な特性調整にも柔軟に対応出来ることです。
  • ムラタの多層LCフィルタ群は、通信技術の高度化に伴い、実装スペースの制約と多バンド対応のニーズや、新たな技術要請に対して、柔軟かつ迅速に対応し続けています。

ムラタの多層LCフィルタ群とは

製品解説

ムラタの多層LCフィルタ群は、インダクタ(L)とコンデンサ(C)をセラミックシートに形成し、積層構造で電気的共振を利用する製品です。

不要な周波数信号を遮断し、必要な信号だけを通過させる「LCフィルタ」、2つの周波数を分波する「ダイプレクサ」、RF信号の一部を分岐してパワーの出力値のモニタリングを行う「カプラ(方向性結合器)」や、平衡と不平衡のインピーダンス変換を行う「バラン」などの品種を取り揃えています。

製造工程では、ガラス成分を混合したセラミックシートに、インダクタとコンデンサの回路パターンを形成し、その薄いシートを積み重ねてプレス、焼成、カットし、外部電極をめっきして完成します。

ガラス成分の混合により低温焼成が可能となり、内蔵配線には導体抵抗の低い銅の使用が可能となります。銅を用いることでイオンマイグレーションの発生を抑え、低損失で優れた電気的特性を実現しています。

インダクタとコンデンサを1つのパッケージに内蔵し、多層構造にすることで、小型化を実現しています。

多層LCフィルタの積層図

製品の強み

ムラタの多層LCフィルタ群は、日本国内で一貫生産され、高品質・低ばらつきを実現していることが強みです。
独自のCC Co-fire技術により、小型・低背化を達成し、柔軟に製品特性を微調整することで、設計効率の向上にも貢献しています。

  • 一貫生産:設計から材料の選定・調達・生産・販売およびサービスにわたる全ての段階を日本国内で一貫管理・生産することで、安定した品質と性能ばらつきの低減を実現しています。
  • 小型・低背化:CC Co-fire技術は、最大3種類の異なるセラミック材料を同時に焼結出来るムラタ独自の技術です。これにより小型化と低挿入損失・高減衰を兼ね備えた高性能フィルタを実現しています。
    セラミックシートを他社比で半分以下の厚みにすることで、製品の低背化を達成し、モジュール内蔵部品としての適正を高めています。
  • 製品特性の微調整:内部のインダクタやコンデンサのパターンを変更するだけで、周波数帯域や特性の微小な差異を容易に調整可能です。インダクタ(L)とコンデンサ(C)がワンパッケージ化されているため、ユーザーによるマッチング調整は不要で、設計の容易化・部品ばらつきの低減・スペース効率向上につながります。
  • 幅広いラインアップ:300MHz〜40GHzまで対応する単体フィルタ・ダイプレクサ・カプラなど、豊富なバリエーションを揃えています。Wi-FiTMやRF回路に必要なフィルタ類をまとめて提案出来るため、部品選定の効率化に貢献します。
特性比較
実装面積比較

CC Co-fire技術の採用効果

製品の進化

ムラタの多層LCフィルタ群は、通信規格の進化に合わせて製品を多様化し、独自技術による小型・低背化を実現することで、高性能で高信頼性の通信部品へと進化してきました。

1989年、積層コンデンサで培ってきた材料技術や積層技術を駆使し、コードレス電話向けにフィルタを開発しました。その後、携帯電話の普及や通信規格の進化に伴い、ダイプレクサやカプラ(方向性結合器)・バランなどを展開してきました。2000年には世界初のBluetooth®用バランスマッチドフィルタを商品化しました。

通信技術の高度化に伴い、実装スペースの制約と多バンド対応が求められる中、CC Co-fire技術やセラミックシートの薄膜化によって、高性能を維持しながら小型化・低背化を推進しています。誕生当時5.7mm × 5.0mmあったサイズは1.0mm × 0.5mmになり、高さも2.25mmから0.3mmへと進化しています。

また、外部電極をパッケージ底面に配置したLGA(Land Grid Array)端子構造を取り入れ、隣接部品との距離を短縮し、狭ピッチ実装に対応しています。

更に、フィルタの上部に隣接する金属シールドからの影響による特性劣化を最小限に抑えた「シールドロバスト」を商品化しました。携帯電話の低背化により実装部品の密度が高くなる中でも、安定した性能を持つ製品を提供しています。

進化し続ける通信市場や新たな技術要請に対しても、ムラタの多層LCフィルタ群は柔軟かつ迅速に対応し続けています。

多層LCフィルタ群の進化

大きい画像を見る 別ウィンドウで開く

製品の用途

ムラタの多層LCフィルタ群は、スマートフォン・ルーター・ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器をはじめ、基地局・通信インフラ・車載機器・医療機器・IoTデバイス・スマート家電など、無線通信を必要とする幅広い用途で活用されています。

特に通信インフラとして、災害支援や過疎地域への物流、FA環境での活用が期待されるドローンに対しては、軽量で小型の製品が大きく貢献します。

ウェアラブルや医療モニター分野では、公規格に準拠し、厳しい信頼性試験に合格した多層LCフィルタ群が活用されています。

今後も、無線通信の多様化・高度化に伴って用途はさらに広がり、幅広い領域において、信頼性と性能を兼ね備えた製品を提供し続けます。

製品仕様などは、製品情報サイトをご確認ください。

その他の実用例 ~製品紹介~

ムラタの技術