2020/11/10
株式会社村田製作所
代表取締役社長 中島 規巨
株式会社村田製作所(以下、当社)は、当社技術であるイオニシモ技術※1(以下、本技術)が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2※2)に対する不活化効果をもつことを奈良県立医科大学に委託研究し、実証されました。なお、今回の確認は密閉した試験空間で実施したものであり、実使用空間における確認ではありません。
当社は今後も技術開発を進め、人々が安心・安全に過ごせる社会の実現に貢献してまいります。
実験委託先
奈良県立医科大学 医学部 微生物感染症学講座(矢野寿一教授、中野竜一准教授)
本技術の新型コロナウイルス不活化効果 確認内容
データ
・実施時期:2020年8~9月
・対象:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
方法
・ウイルス液をシャーレに20 μl 付着させ静置し、乾燥
・密閉された6.7lの空間にウイルス付着の試験⽚を静置し、イオニシモ技術を用いて発生させたオゾンをファンにて⼀定時間照射
・空間の中には試験⽚は1つのみ設置し、作⽤時間終了後に試験⽚を取り出し
・⼀度取り出した後はリセットして新たな試験⽚を設置し、再度0 分から新たな作⽤時間を開始
・作⽤時間後にSCDLP 培地※3を2ml 試験⽚に滴下させ、セルスクレーパーを⽤いてウイルスを回収
・回収液を⽤いてVero E6/TMPRSS2※4 細胞に感染させ、ウイルス感染価※5(PFU/mL)をプラーク法※6にて測定
・オゾンを照射しない試験片をコントロールとした
・試験は、湿度50.0〜59.7%、温度19.6〜21.8℃の環境で各3 回実施
・オゾン濃度は試験片がない状態で事前に測定した値
結果
日本産業衛生学会が定めるオゾン許容濃度:0.1ppmにおいて、120分後に99.9%以上の不活化効果を確認。
※今回の確認は、本製品を試験槽環境下にて実験した結果であり、実機搭載・実使用環境での効果を示すものではありません。
図1.オゾンによるウイルス感染価の推移
ウイルス感染価の実測値(n=3の平均値)
※コントロール(図1紫の線):オゾン暴露なしの空気環境
図2.オゾンによるウイルス減少率の推移
※ウイルス感染価の結果より減少率を算出。検出限界を超えた減少率を>99.997%と表示しています。
表1.オゾンによるウイルス減少率
オゾン濃度 |
0分 |
20分 |
40分 |
60分 |
120分 |
360分 |
720分 |
0.1ppm |
- |
90.425% |
- |
98.550% |
99.939% |
>99.997% |
>99.997% |
0.5ppm |
- |
95.531% |
- |
- |
>99.997% |
- |
- |
6.0ppm |
- |
99.492% |
99.941% |
>99.997% |
- |
- |
- |
※1 針状電極(約70umの細い金属ワイヤ)に直流の高電圧を印加することで、イオンを生成します。イオンは電荷を持っており、この電荷のクーロン力により浮遊微粒子をキャッチすることができます。同時に当社のイオニシモ技術は、針状電極の周りにセラミック基板上に電極を形成する事により、除菌や消臭などに効果があります。
※2 Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2、略称: SARS-CoV-2。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因となる、SARS関連コロナウイルス(SARS-CoV)に属するコロナウイルスのこと。
※3 ウイルス回収用の液体培地
※4 新型コロナウイルスが感染可能な細胞
※5 細胞感染性を持つウイルス粒子の数
※6 ウイルスの分離や定量などの目的で用いられる手法
2021年4月12日に変更
ムラタについて
村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
村田製作所トップページを見る