社会とムラタ

自社労働者の人権への対応

労働人権に関する考え方

ムラタでは、多様な人材が活躍しイノベーターとなるには、個々人の人権が尊重されることが必要不可欠であると認識しています。人権方針ではすべての役員、従業員一人ひとりが、すべてのステークホルダーの基本的人権を尊重し、擁護し、それを侵害しないことを明示していますが、なかでも、自社の労働人権を遵守しその実践を波及させることが、バリューチェーン全体の労働人権尊重の強化に繋がると考えています。

Link: 人権の尊重

社内で発生し得る人権課題に特化した運用体制

「人権労働マネジメントマニュアル」に沿った「人権労働マネジメントシステム」を各事業所で運用しています。
リスクアセスメントを実施し、目標および計画立案と運用、監視および評価と是正を実施し、年1回のマネジメントレビューを通して、確実なPDCAサイクルを目指していきます。
事業所の事案は「人権・労働」担当役員に報告され、適切な関連部門と相談しながら体制を強化しています。

運用体制図

Link: コーポレート・ガバナンス体制

人権課題への対応実績

高リスク拠点に対する人権影響調査/負の影響の軽減に対するモニタリング

バリューチェーン全体を対象とした人権への影響調査ならびに人権マネジメントシステムでの年次リスクアセスメントに基づき、人権リスクの高いと思われる拠点においてステークホルダーエンゲージメントを行っています。2023年度、2024年度には一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC)の協力をいただいて現地調査を実施しました。

Link: 一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン 村田製作所2023年人権影響評価報告書別ウィンドウで開く

対象とした拠点 国名 実施時期 主に対象としたステークホルダー 結果概要
Murata Electronics Singapore (Pte.) Ltd. シンガポール 2023年10月 直接雇用労働者 / 移民労働者
  • 外国人労働者/移民労働者が適切な採用プロセスに則っていることが確認されました。
  • 生活賃金が保証されていることが確認されました。
  • 多言語での緊急避難経路説明や、全従業員に対応が徹底されるよう避難訓練の充実が必要であるとの指摘がありました。
出雲村田製作所 日本 2023年11月 直接雇用労働者 / 間接雇用労働者 / 外国人労働者
  • 安全な労働環境の確保のための環境整備がなされていることが確認されました。
  • 一部の協力会社で有期契約労働者への無期転換ルール周知が不充分であるとの指摘を受けました。(2025年3月現在、協力会社の教育状況モニタリングし、改善が確認されています)
東北村田製作所 日本 2023年12月 直接雇用労働者 / 間接雇用労働者
  • 安全・防災の管理体制の確立により労働災害が低減していることが確認されました。
  • さらなる労働者の安全のためには、備品確認の履歴を明らかにすること、記録をオープンにすることなど、透明性を高める必要があることの指摘を受けました。(2025年3月現在、さらなる労働者の安全確保のため定期的に防災顧問の巡回を行い、防災に関する不具合箇所を未然に防止する活動を行っています。)
金沢村田製作所 日本 2024年7月 直接雇用労働者 / 間接雇用労働者 / 外国人労働者
  • 入社時のオリエンテーションにおいて、必要事項が予め十分に説明されていることが確認されました。
  • 外国人労働者を含む従業員インタビューにおいて、福利厚生への満足度も高いことが、従業員インタビューで確認されました。
Murata Manufacturing Vietnam Co.,Ltd. ベトナム 2025年1月 直接雇用労働者 / 間接雇用労働者 / 国内移住労働者
  • 過去に一部従業員負担となっていた入社時健康診断受診料が返金されていることが従業員インタビューにおいて確認されました。
  • 労働時間のモニタリングにより長時間労働の低減が図られていることが確認された。
  • 過去に一部割増賃金の支払いが不足していた可能性が指摘されました。(2025年3月現在、一部発生していた割増賃金不足部分は補填され、再発防止として勤務体制が変更されていることが確認されています。)
2023年度人権影響評価の写真1
2023年度人権影響評価の写真2

過重労働の防止に対する対応

法令遵守に留まることなく、より積極的に長時間労働の是正を進めています。労働者の過労は生産性の低下、離職の増加、怪我および疾病の増加とつながりがあるとされており、心身ともに健康な生活を送るために過重労働リスクの低減に努めています。村田製作所では月間の時間外労働時間上限を35時間と定めており、深夜時間帯に時間外労働を行う場合は労働組合への申請を行うことなどのルールを労使で設けています。また、管理職を対象に適正な労働時間の把握および、健康管理のため、労務・健康管理研修を実施しています。さらに、必要に応じて労働組合・所属長・人事担当者による労働時間状況のヒアリングを実施するなど、労使でのモニタリングを定期的に行い、従業員が心身ともに健康で安全であることを最優先に時間外労働の抑制に努めています。

国籍や宗教など、文化的背景に対する合理的配慮

さまざまな国籍・民族・宗教の従業員が働いています。社内案内や避難経路の案内表示、食堂メニューの拡充、祈祷室の設置など、合理的配慮を行い、働きやすい環境を整備しています。

エレベータの案内表示と祈禱室

派遣・請負従業員の人権

自社の労働者だけではなくサプライチェーン上で働く労働者を含め、強制労働をはじめとする人権侵害を発生させないことが必要と考えています。特に外国人労働者を雇用する人材派遣会社や採用エージェントにはムラタの人権方針へ合意いただくとともにSAQや監査など人権侵害を監視する仕組みを構築しております。また、ムラタの考える人権について理解、共感いただくため、協力会社様を通じて人権・ハラスメント防止教育を実施するとともに、人権・ハラスメントに関わるご意見・通報・苦情があった場合には、必要に応じて共有をいただき共に対応する体制を整えています。方針の遵守状況の確認および潜在的な人権リスクを特定するためのプロセスを進めており、是正が必要な事例が出てきた際には協力業者様のご協力のもと是正を行っています。

<是正措置>
これらの取り組みの中で、日本で働く外国人労働者の中には、産休や育休などの制度を認識していない人がいることが分かりました。取得を妨げられているような事案は発生していませんが、協力業者様での定期教育によって周知徹底を行い、同様の事例がないよう努めていただいています。
また、海外工場での外国人労働者採用エージェントにおいて、労働者の渡航キャンセル防止のため労働者より預り金を受けていたことが分かりました。採用エージェントの働きかけにより、労働者による一時負担を停止させるとともに、新規採用される労働者にヒアリングを行うことで、再発がないことを確認しています。

差別・ハラスメント教育

2019年度より毎年、ハラスメント防止教育として、国内全従業員を対象に人権方針および嫌がらせやセクハラ・パワハラ、SOGIハラ、通報窓口についてeラーニングでの教育を行っており、全従業員がハラスメント防止の重要性を認識する機会としています。当社社員だけでなく、各企業様ご協力のもと派遣社員や請負社員の皆様にも参加いただいています。業務内容に応じて人権を含めた教育も実施しており、職場でハラスメントの可能性がみられた場合の一次対応ガイドラインも策定しています。差別的な行動や嫌がらせがあった場合には懲戒規定に基づく懲戒の実施を行い、規定に従い(個人情報が特定されない形で)公表を実施しています。

  • ※SOGI:Sexual Orientation & Gender Identity/性的指向と性自認
eラーニング
一般教育 管理者教育 新人研修
連結(国内) 97.8% 95.9% -
村田製作所 99.1% 98.0% 99.7%
  • ※従業員のみ:新人研修については一部拠点のみeラーニングで実施を必須としているため、eラーニングで実施の拠点分のみ

人権に対する従業員の意識を高めるために、人権方針を英語や中国語に翻訳して伝えるとともに、階層別教育の中で人権教育を実施していることに加え、2024年4月に人権の尊重、多様性の尊重を含む行動指針を改定し、国内外全従業員に対してeラーニングなどを利用した周知を行っています。また、各国グループ会社においても、各国法令や事案に対してハラスメント研修を実施しています。

ハラスメントへの対応

ハラスメントや人権侵害が発生してしまった場合に備え、すべての労働者が社内・社外ともに匿名で使用可能な相談窓口を設け、この窓口を利用した労働者やその他の利害関係者に対する報復を禁止しています。必要な際にすぐ通報窓口に連絡できるようにカード型の通報窓口の案内文書を作成して配付し、さらにeラーニングでの周知にも努めています。
2024年度に従業員および派遣社員からハラスメント相談窓口に寄せられた相談件数は、匿名のものも含めて179件ありましたが、児童労働や強制労働の訴え、訴訟につながるような重大な問題は発生しておりません。受け付けた相談に対しては、相談者の意向を踏まえた上で各関連部門と協働し、全件対応を完了しています。
上記窓口に加え、従業員がハラスメントの問題を含むコンプライアンス違反について報告・相談できる窓口があります。詳細はこちらをご覧ください。

Link: 内部通報制度・相談窓口

公正な職場環境と人事制度づくり

村田製作所では、電機連合加盟の労働組合が組織されており、労使協議の中で不当に差別しない職場環境と人事制度を構築しています。労使間の問題は相互理解と信頼によって、話し合いを基調に解決することを確認し、労使それぞれの立場から企業の発展と従業員の生活の安定を目指しています。労働時間・休日・休暇・賃金など、労使に関わる制度や基準の設置、その変更や見直しについては労働組合との協議の上で実施しています。
労働組合では、従業員からの労働条件に関する要望・苦情を取りまとめて、長時間労働(残業時間)をはじめとした、労働者に関わる様々な内容をモニタリングし、その改善のために協力しています。また、労働組合のない国内グループ会社には、管理職を除くすべての正社員が加入する社員会といった従業員代表組織が結成され、経営層との協議や意見交換のほか、従業員間のコミュニケーションを図っています。なお、労働組合や社員会に属していない管理職や新任役職者に対しては、労使に関わる制度や基準に関する説明会を適宜実施しています。

労働組合委員長より人事担当役員への要求書のイメージ
労働組合委員長より人事担当役員への要求書

労働者の人権にかかるモニタリング状況

  • 法規制を遵守します。また、労働関連法令に関わる重大な違反として監督官庁からの指摘は発生していません。
  • 国内外ムラタグループ従業員で労働組合・労働協約の対象となる割合は49.6%です(2025年3月末時点)。
  • 過去1年間において、事業所の運営または操業に関わる、公衆のデモ、抗議活動などは発生しておりません。
  • 調査の結果、海外も含めたすべての事業所・工場において、児童労働・強制労働に関する案件は発見されませんでした。
  • 給与体系や人事制度は従業員に正しく周知し、賃金は定期的に全額を期限内に支払います。また、控除は給与明細に記載し行います。
  • 心身ともに健康な生活を送るために過重労働削減に努めます。
  • 会社が提供する寮や職場は、十分な居住・作業スペースを確保し、清潔で安全な環境(換気・照明含む)を整えています。出入りに不合理な制約は課していません。
  • 食堂を提供する場合は、清潔で衛生的な食品保存・調理設備を備え、定期的に衛生確認を行っています。
  • 懲戒処分を目的とした賃金の控除や減給は行っていません。
  • 労働組合や従業員代表と協議を行い、生活水準を維持するために必要な賃金を支払います。
  • 法に定める労働時間・休日・休暇・最低賃金の水準に留まらず、その向上を図るように努力しています。
  • ※児童労働の発生を防ぐため、従業員の雇用に際しては身分証明書の確認を行っています。
地域の最低賃金に対する標準最低給与の比率(村田製作所)
地域の最低賃金 16万4,106円
標準最低給与 20万円
地域最低賃金に対する比率 122%
  • ※主な生産拠点の数値であり、平均値ではありません。
  • ※2025年4月末時点