巻頭言

社会基盤となったデジタル、通信を、ノイズ対策でしっかり支える

株式会社村田製作所 代表取締役社長 村田 恒夫

1951年京都府に生まれる。1974年同志社大学経済学部卒業、株式会社村田製作所入社。
1988年Murata Europe Management GmbH ゲシェフツフューラー。1989年村田製作所取締役、常務取締役、専務取締役、副社長を経て、2007年代表取締役社長に就任。
趣味は、蘭の栽培、写真撮影。

急成長を遂げたスマートフォンがその典型ですが、モバイル機器は、小さなボディーの中に、ディスプレイ、高速デジタル信号処理部、高周波回路部があり、それらにパワーを供給する電源回路部があり、外部と接続してデータをやりとりするインターフェース部があり、これらが安定して動作しなければなりません。相互に妨害を与え、受けることがないように、電源電圧が一定を保つように、高周波回路が期待の性能を出すように、EMI部品をお使いいただいています。『metamorphosis』第18号では、電磁障害 (Electromagnetic Interference) をテーマに取り上げ、ノイズ対策部品とインダクタに関する技術や商品をご紹介しています。

EMI部品の年表をあらためてながめてみて、材料、工法、そして設計の技術を組み合わせたり、あらたに獲得しながら、なんとかニーズにお応えしてきたこれまでの歩みを再認識しました。なかでもノイズ対策部品は、ノイズ問題で困っておられるお客様へご提案し、お客様と一緒に生み育ててきた歴史があります。ノイズの出し手としてのエミッション対策、ノイズの影響の受け手としてのイミュニティ対策を進める、ソリューション提案の面を強くもっています。これからも、お客様と一緒に歩んでまいります。また、電源系でお使いいただくパワーインダクタを中心に、小型化だけでなく、エネルギーが熱に変わってしまうロスを減らして電池寿命を延ばし、温度上昇を抑える開発の方向には、揺るぎはありません。

東光 (株) との連携により、対応できる技術の幅が広がりました。お互いに得意としてきたところがあり、これまで以上に広範囲にお役立ちできると考えております。たとえば車載、さらにはHEMS (Home Energy Management System) 、BEMS (Building Energy Management System) では、機器がコンパクトになっていくとともにデータ通信機能との融合も進みます。両社の連携により、ノイズ対策でもパワーインダクタでも、材料、工法、設計の技術を駆使したあらたなご提案の可能性が広がります。

もちろん、高周波小信号用のインダクタでも、電気的特性を確保しながらより小型化することを通じて、社会に貢献し続けます。これからもムラタにご期待ください。

※東光株式会社は、2013年2月13日に締結した資本業務提携の強化に関する合意に基づき、2014年3月26日付で、当社の連結子会社となりました。