Pick Up
Language
metamorphosisの各号に掲載されている製品情報は発行当時のものであり、最新情報とは異なる場合があります。製品に関する最新情報については、当社の製品サイト をご覧ください。
山崎 俊信 / Thoshinobu Yamazaki タイミングデバイス事業部 事業部長
1984年福井村田製作所入社。 長くコンデンサ事業部にて事業企画およびマーケティングを担当。5年間、激動する中国・上海に販売拠点長として駐在し、顧客視点での事業活動の重要性を実感した。2014年より現職。趣味は、ゴルフ、バドミントン、読書。
近距離無線通信技術の発達により、通信でつながるようになった電子機器。これら機器の周波数同期のために必要不可欠な部品が、タイミングデバイスだ。今後の課題は、モバイルやウェアラブルに向けた超小型化と、業務用の無線、データ通信、基地局などに向けた高精度化。革新的な製品でマーケットを切り拓いていく。
ムラタのタイミングデバイスの歴史は、圧電セラミックスを使用した製品「セラロック®」で、水晶振動子を置き換えてきたものでした。用途ごとに必要な性能を見極め、サイズや価格などで使い勝手のよい製品を商品化してきました。圧電セラミックスを用いた製品には、発振子以外にも、フィルタ、ブザー、アクチュエータなどがあり、どれもが世界シェアNo.1であり、ムラタの中で大きな実績を上げています。
特に、車載市場では、長年のお客様とのビジネスを通して、長期的な品質保証ができる技術やモノづくりを追求してきており、お客様から厚い信頼をいただけていると思っています。車載向けの品質管理を特別なものとせず、当たり前にできるモノづくりを実践しており、ますます広がる車載市場からのニーズに、今後とも貢献できると信じています。
電子機器が動作する基準となる信号を出すタイミングデバイスは、「産業の塩」ともいわれ、電子回路には必ず使われるものです。特に、モバイル機器やウェアラブル機器では、タイミングデバイスも小型化が求められています。例えば、世の中に存在するさまざまな機器に通信機能をもたせ、インターネットに接続し相互通信するIoT (Internet of Things) の時代、膨大な情報を集めて処理するビッグデータの時代になると、高速で大量の通信が必要です。そこでは、お互いの基準となる周波数の精度がよくないとトラブルが起きるため、機密性を保つための暗号化が必要です。身近なところでは、Wi-Fi®や光通信、データ通信などでも精度の高いタイミングデバイスが必要になっています。そこでは、セラミックスよりも高精度である水晶が求められています。東京電波の子会社化によって、水晶をラインアップに加えることができました。東京電波の社歴は約80年。古くより水晶振動子を手がけ、戦前から通信機などの用途で使用されていて、水晶デバイスでは有力な企業です。その水晶の技術を取り込んで、ムラタのタイミングデバイスはいよいよ充実したものに。今後への期待が高まります。
東京電波との提携で、「HCR®」という製品を出しました。従来の概念を覆した製品ということで、お客様に驚きを持って受けとめられています。水晶振動子ですが、パッケージなどで使っている技術はセラロック®の技術。つまり、セラミック発振子のムラタが、水晶という技術を得たことで、両方のいいところを合体させ、パフォーマンスの高い製品を発売したわけです。一般市場で、水晶振動子のメインは3225 (3.2×2.5mm)サイズ。量も多ければ、価格も安い。そこへ、ムラタが一回り小さい2016 (2.0×1.6mm) サイズで、同じ水晶振動子を提案しました。主な用途は、HDD、USB、SSDなど小型の記憶媒体。その良さが最近広く認識され始め、大きくビジネスを伸ばしています。水晶を用いたこの画期的な製品は水晶ビジネスへのムラタの意気込みの表明でもあります。民生市場だけでなく、車載市場でも、従来のものより小型のものを、安く供給してほしいというニーズがあったのですが、それらに応えることができる製品ではないかと思っています。
水晶のタイミングデバイスは、ほとんどがキャビティ構造のセラミックパッケージを採用しており、セラミック多層基板の中に水晶ブランクを収納し、金属板もしくはセラミック板でふたをする構造となっています。現在は、3225 (3.2×2.5mm) サイズが主力商品です。ムラタはセラロック®で培ったパッケージ構造を応用、セラミックスの代わりに水晶を入れて、必要な精度を確保した2016 (2.0×1.6mm) という小型化と低価格化を実現しました。
これからの電子機器にとって、無線通信ネットワークは不可欠。10~20m程度をカバーする必要があります。機器間で無線通信を行うためには、周波数の同期をとらなければならず、タイミングデバイスが重要な役割を担います。今後の近距離無線通信技術の一例をあげると、次のとおり。
民生機器はスマートフォンや携帯電話をはじめ、テレビやチューナ、PC、ウェアラブルに至るまで、ほとんどが通信でつながっていきます。ムラタがターゲットとしているのは、BLE(Bluetooth Low Energy)やWi-Fi®など、近距離での無線通信ですね。HCR®よりも精度の高いものを作ると、使っていただけるというのが見えています。
HCR®はセラロック®の技術を水晶振動子に展開しているので、内部を真空にしない樹脂による大気封止です。これをさらに金属で真空封止に進化させた製品を出しました。この製品構造は小型品の開発に優位なものであり、今後お客様がより小型品が欲しいというにニーズに応えていけると思っています。
東京電波は、高品位な人工水晶のモノづくり力があり、高周波を必要とする産業用無線向けの精度の高い製品で長くビジネスをしてきました。
ムラタと事業活動を一体化することで、これまでの製品展開やお客様との関係を発展することができます。通信インフラ、ネットワーク、無線機など産業用無線市場は、今後のビッグデータの時代で大きな成長が期待されます。またより高精度な製品が必要とされ、技術革新が続くでしょう。
ムラタと東京電波の強みを合わせて、産業用無線市場で求められる、より高精度でパフォーマンスの高い製品や新しい提案にチャレンジしていきたいと思います。
ムラタのタイミングデバイスは、セラミックスと水晶の2種類。アプリケーション (用途) 別、サイズ別、パッケージ別で分類。セラミック発振子は、従来から実績のあるセラロック®。水晶振動子では、コストパフォーマンスの高いHCR®、精度の高い金属による真空封止品をラインアップ。さらには、温度補償回路を内蔵し広い温度範囲にわたって特性が得られるTCXO (温度補償水晶発振器) があります。サイズ別にみると、セラロック®は3213サイズ。水晶は、2520サイズから1612サイズまで。さらに現在、1210サイズの開発を進めています。