3層ポートフォリオ
3層目「新たなビジネスモデル創出」

3層目に取り組む背景・位置づけ

5Gの普及にともなうデジタル化の進展や自動車の電装化、それにともなうOut-Car領域での新たな事業機会など、ムラタを取り巻くエレクトロニクスの領域が拡大するとともに、お客様の定義が変化していくことが予想されます。たとえば、通信の領域ではこれまでスマートフォンメーカーに部品やモジュールを提供するビジネスが中心でしたが、ローカル5Gや遠隔医療など、通信を活用したアプリケーションの拡大にともない、お客様の求める価値がソフトウェアやソリューションへシフトしていきます。こうしたお客様に対しては、電子部品のみの販売だけでなく通信の活用方法までを含めたソリューションとしての提案が求められます。今後も変容していく社会の中でお客様に対して価値を提供し続けるためには、ムラタが提供できる価値を広げていく必要があります。
このような背景のもと、ムラタは3層目として、1層目、2層目との組み合わせやこれまで培ってきた通信などの知見を活かすとともに、市場や商材、事業形態などの従来の枠組みにとらわれることなく、幅広く可能性を見出して、新たなビジネスモデルを構築していきます。
従来のムラタの基盤事業である1層目、2層目の技術革新により価値を提供し続けることに変わりはありません。3層目はムラタが長期的に発展していくために、チャレンジしていく領域として位置付けています。また、これまでのムラタの能力や枠組みの延長線上では取り組むことが難しい領域については、社外との共創も含めて検討を進めていきます。

ムラタの将来のコア能力の構築

新たなビジネスモデル創出に向けたステップ

中期方針2024では、3層目事業が2030年以降にポートフォリオの柱となっていくことを目指す第1ステップとして、クイックサクセス、スモールサクセスを積み重ねながら、ムラタの強みを活かせる領域を見極めていきます。さらに3層目の新たなビジネスを創出していくために、従来の社内の枠組みでは対処できない課題への取り組みとして人材や組織のあり方も含めた戦略の具体化を実行していきます。

アイデア創出の仕掛けづくりの実行

3層目ビジネスの育成に向けたイノベーションを促進するための仕掛けとして、当社の技術をお客様やパートナーにお見せできる「技術のディスプレイ」をつくり、社外との「知のコラボレーション(協働)」を積極的に推進しています。各種取り組みで生まれたアイデアを事業化することで3層目ビジネスの発展につなげていきます。

KUMIHIMO Tech Camp with Murata

ムラタの製品をスタートアップに提供し、新製品・サービスのアイデアを募るとともに、実用化に向けた試作機の制作や量産・販売のサポートまでパートナー企業とともに行うプロジェクト。

「KUMIHIMO Tech Camp with Murata」の詳細はこちら別ウィンドウで開く をご覧ください。

狙い
  • ムラタの高信頼・高精度センサデバイスなどの認知度向上
  • スタートアップと一体になって新製品・サービスの市場投入を支援

「MURATA みらい MOBILITY」

当社の車載市場向けソリューションや技術の取り組みを紹介する施設。

「MURATA みらい MOBILITY」の詳細はこちら別ウィンドウで開く をご覧ください。

「Murata Interactive Communication Space」

知のコラボレーションを促進する施設。未来の技術やアプリケーションにつながる当社の技術・製品の展示が体験可能。

狙い
  • 技術交流など外部との連携強化
  • 研究開発拠点との連携強化
  • 業界をリードする革新的な製品や技術の創出

VC(ベンチャーキャピタル)への出資を通じた新規技術と事業領域の探索

国内外のVCに投資を実施。世界各国のスタートアップ企業、市場、技術の情報収集。

狙い
  • 自社技術の新たな事業化
  • 共創機会の獲得
  • 新しい事業領域への挑戦

自社工場の「ショーケース化」の取り組み

工場のショーケース化とは、当社商材を当社工場に導入し、お客様に見て・触れて・体験していただくことでビジネス機会の創出を目的としています。
当社が掲げる3層目事業のひとつとして、社会課題へのソリューション提供を目指しています。社会課題にはさまざまなものがありますが、人(従業員)の安全・健康や脱炭素、防災などは、当社グループ事業所や生産拠点における課題とも共通するものです。そのため、これらの課題について、当社工場が適切な実証モデルとして自社製品の検証を行い、データを積み上げ、お客様に利便性や価値を示すことが可能です。
当社では、自社工場のショーケース化を積極的に進め、社会実装に必要とされるデータも提示することで、3層目事業の推進を図っていきます。

事例1 金津村田製作所クリーンエネパーク

当社独自の制御技術(efinnos)を活用した再エネシステムを導入しています。本システムは大規模ソーラーパネルと蓄電池ユニットに、生産計画・電力消費・気象情報・発電予測の各情報を統合管理し、リアルタイムでエネルギー使用の最適化を行うことができる当社独自のエネルギーマネジメントシステムを組み合わせています。
金津村田製作所(福井県)がある北陸地方は日射量が少なく、積雪が多い地域です。厳しい条件下で得られた知見やデータを活用し、製品の改良や運用の改善につなげています。また、これらの実証データを活用した最適な効果シミュレーションをお客様にご提案することも可能です。

「統合型再エネ制御ソリューション(efinnos)」の詳細はこちら 別ウィンドウで開く をご覧ください。

事例2 製造現場向けスマートものづくり⽀援ツール「JIGlet」

JIGlet(ジグレット)は現場の見える化・業務改善支援ツールです。JIGletは、ITの知識がない製造現場の担当者でも、簡単に設備や人の状態を記録・蓄積して工程のばらつきやムダをグラフで見える化でき、さまざまな改善活動や課題解決に活用可能です。また、デバイスを既存設備に後付けできるため、大規模な設備導入・投資が不要で簡単に導入できます。
当製品を導入している自社工場を「ショーケース化」することで、まずは社内で効果実証を進め、お客様が抱える多様な課題に対する最適なソリューションの提供を目指していきます。

「JIGlet」の詳細はこちら別ウィンドウで開く をご覧ください。

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