高い技術と強い個性を持つメンバーをどのように勝利に導いたのか。

脚立25m走とトイレットペーパー投げに挑戦した村田製作所の2チームを率いた総合リーダーは、ムラタセイサク君・ムラタセイコちゃんの開発者でもある福永でした。共に高い技術と強い個性を持つ2つのチームのメンバーをどのようにまとめ上げ、そして勝利に導いたのでしょうか。技術に対する思いやこだわり、チーム運営の難しさ、さらに今後の村田製作所のエンジニアへの期待について、インタビューしました。
※本ページは番組内容のネタバレが含まれます。

Member

福永 茂樹
モノづくり技術統括部
統括部長

プロジェクト参加の経緯

今回のプロジェクトに参加した経緯は?

福永:
村田恒夫相談役からの一言がきっかけです。それは気軽なやり取りだったのですが、番組コンセプトが我々生産技術の組織のビジョンである「感動を呼ぶモノづくりに夢中」に合致していると思いました。このビジョンは、私がムラタセイサク君・ムラタセイコちゃんを開発したときに感じたことを言葉にしたものです。参加には会社を代表して良い結果が出せなかった場合のリスクもあります。それなら自分がやってみようと思い参戦を決意しました。

電子部品メーカーである村田製作所が、なぜムラタセイサク君・ムラタセイコちゃんを開発したのでしょうか?

福永:
私が専らとする生産技術は、村田製作所で使用する生産設備の設計・開発を担っています。開発した設備は、製造現場からも高い評価をもらっていて、仕事には誇りを感じています。しかし、これらの生産設備にどんな技術が込められているかは極秘であり、公にすることができません。電子部品の生産設備に込められた技術と情熱。これをなんとかして、村田製作所の製造現場から離れた場所にも伝えていきたいと思い開発しました。

松岡・中島両リーダーを抜擢した理由は?

福永:
今回のプロジェクトへの参戦を決めたとき、これまでに私が体験してきたチャレンジ精神や感動を、ほかの従業員にも体験してほしいと思いました。松岡・中島とは、以前から技術への思いをひとつにして業務に取り組んできました。そして、この両名なら日頃生産技術という仕事で培った技術力を、完全にオープンな形で社会に訴える力があると思い抜擢しました。

総合リーダーとして挑んだ魔改造の夜

総合リーダーとして大きな責任を背負い挑戦した魔改造の夜。その重圧の中で福永は何を感じていたのでしょうか。

プロジェクトに対しての感想は?

福永:
参加へのレギュレーションは多くありましたが、その最後に「失敗しても構わない」という言葉がありました。この言葉は技術者にとって大切な心構えです。そしてこの言葉が「チャレンジしよう」という原動力になりました。参加する技術者の心の大切な部分に訴えかける素敵なプロジェクトだと思いました。

参加にあたって最も恐れたことは?

福永:
観ていただく方々に「残念だ」と思われること。このプロジェクトでは「モンスター」を作り出さなければなりません。逆に、もし記録が出なくても、「モンスター」を生み出せていれば失敗ではないと思いました。夜会の場で、ムラタのモンスターを紹介したとき、会場は「残念だ」という雰囲気にはなりませんでしたし、そこで掲げたスペックはまさに堂々たる「モンスター」でした。そしてそのスペックにこだわり抜いて、大きな賞賛を得ることができました。この賞賛は「記録が出た」という結果より「攻めた」という姿勢に対するものであると、私は受け止めています。

改造期間での印象的なエピソード

日常業務で扱う生産設備とは機構がまったく異なるトイレットドラゴンとSTELA。メンバーが、これらを作り上げていくなかで起こったエピソードについてお聞かせください。

印象的なエピソードは?

福永:
ひとつはトイレットペーパーの美しい射出にこだわりました。トイレットペーパーを射出する際、紙をたるませると、紙が切れないように飛ばすことはできます。しかし紙のたるみは射出時に紙が描く軌跡に悪影響をおよぼします。そこで我々は紙のたるみをなくすため、射出タイミングを数ミリ秒レベルで調整し、撮影スタッフがあきれるほどのレベルにまで抑えました。もうひとつの脚立では、最適設計を重要視しました。脚立の外観と機能を残しつつ、重量を抑えて高いパワーウエイトレシオを実現するとともに、しなやかな動きと高い速度を目指したことです。

思い通りにいかなかったことは?

福永:
技術的な面では試行錯誤の連続なので、思い通りにいかなかったことの方が多かったです。しかし、多くのアイディアやこだわりがあるなか、短時間で採用/不採用を決めていかなければなりません。さらに採用したアイディアがうまくいかず、落胆したり記録が思うように伸びなかったりといったこともありました。そのようなときは、総合リーダーとしてメンバーが気持ちを切り替えて前に進んでいけるよう努力しました。一方で気の緩みに対しては厳しい声をかけたこともありました。メンバーの気持ちが奮い立つなら、私は悪者でもいいと思っていました。

ムラタのエンジニアの強み・ムラタらしさとは?

好成績を残したムラタのエンジニアたち。彼らの高い技術力もさることながら、他のさまざまな要素も重なり合って今回の結果に結び付いたのではないでしょうか。そこで、ムラタのエンジニアの強みと、ムラタらしさについてお伺いしました。

ムラタのエンジニアの「強み」とは?

福永:
一般に、「ムラタの強み」に対する評価としては「総合力」が挙げられています。これは、ここ一番というところで協力し合える連携力によるものだと思っています。たとえば、技術に対するこだわりの強さはもちろん、必要なら拠点を超えて協力することができます。さらに挙げるなら「勝負強さ」があります。今回の魔改造でも、例えばトイレットペーパーはロットによってごくわずかに状態が異なるのですが、夜会本番で用意されたトイレットペーパーが運良くムラタの射出機構に適したものになってくれていたり、脚立の重大な問題点が本番直前のテストで判明して修理がギリギリ間に合ったりといったことがありました。

「ムラタらしさ」とは?

福永:
モノづくりを「頑張る」のではなく、「夢中になろう」ということを大切にし、夢中になれる環境づくりに努めている点です。これにより、技術的な意見の対立も衝突ではなく前向きな力に変えることができます。今回は「モンスターを作ろう」というシンプルな目標に対してメンバーが邁進したので、全員が前向きに取り組むことができました。このように、夢中になれる目標設定が大切であると思っています。

ムラタのエンジニアたちへの期待

厳しい時間とコストの制限、そして一発勝負という経験を通じて、エンジニアの新たな課題も発見されたと思います。今、総合リーダーとして、また生産設備の開発者として将来のムラタのエンジニアに期待したいこととは何でしょうか。

今回のプロジェクトを通じてムラタのエンジニアに期待することは?

福永:
今、モノづくりの分野ではさらなるスピードが求められています。今回のプロジェクトは短時間での勝負だったので、メンバーにはスピードを上げるための裁量を最大限に与えました。そしてそれが結果に結び付きました。ムラタにはステップを踏んで着実に結果を出すという姿勢があります。その点、今回は量産品ではない一発勝負に特化したモノづくりです。「余計なものはすべて省く開発」という日常業務とはまったく異なる経験を今後のモノづくりに活かしてほしいと思います。

目指すべきエンジニアとは?

福永:
今回の魔改造では、ライバルチームがどんな改造をしているのか夜会本番まで分かりませんでした。これは生産設備の開発も同じです。さらに今回はムラタセイサク君・ムラタセイコちゃんとは違って「勝負」でした。ライバルが見えない状況では、自分自身が「これでいい」と思ったところが限界点になります。そしてこの限界点が勝負の分かれ目になる。自分自身の限界という見えないライバルとの戦いは、他の挑戦者も同じです。ムラタのエンジニアには、その戦いに負けない強くこだわりを持った挑戦者であって欲しいと思います。

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